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日韓戦での完勝後、相手はFIFAランク190位…森保監督の“油断防止策”は「内向きのモチベーション」

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 1年4か月ぶりとなるカタールW杯アジア予選の再開を翌日に控えた29日、日本代表森保一監督が公式会見に出席した。25日の日韓戦に3-0で完勝し、メンタルマネジメントも問われるモンゴル戦。指揮官は「ビッグゲームの後に試合をするという面においては難しい試合になると思っているが、対戦相手から何かを与えられるのではなく、われわれが何に向かって戦いを続けているか、どういう目的で、どういう意義で戦っているかということをもう一回再確認して向かいたい」と意気込みを述べた。

 カタールW杯予選のアジア2次予選は2019年9月に開幕。日本はミャンマー、モンゴル、タジキスタン、キルギスと同じグループに入り、それぞれ1試合ずつを終えて4試合13得点0失点という圧倒的な成績でF組首位に立っている。なかでもホームで行われたモンゴル戦は6-0の圧勝。コロナ禍の防疫対策によりアウェー扱いながらフクダ電子アリーナ(千葉市)で行われる再戦でも、FIFAランキング190位の相手を圧倒する内容が期待される。

 そうした中、森保監督は「直近の試合が韓国戦で、特別なモチベーションに自然となっていく試合だったので、その後のモンゴル戦は難しいと思っている」と述べ、格下相手という油断を排除した。

「第1戦では6-0で勝ったが、言葉で圧倒するとかではなく、選手たちが試合の中で個々の役割を100%発揮する、チームとして機能できるように意思統一する、そしてインテンシティを相手に合わせることなくスタートから最後まで続ける。そうしてモチベーションを内向きにして、『自分たちは何がやれるんだ』ということに向き合って、しっかりやってきた結果が6-0になったと考えている」。

 そう前回の大勝を総括した上で「今回の試合も内向きのモチベーションを発揮してくれることを望んでいる。メディアの皆さんを通じて試合を見ている方に『韓国戦では魂を感じたけど、モンゴル戦ではダメだったよね』ではなく、『どんな試合でもやるべきことをやれるんだ』ということを感じてもらい、見てくださった方々も『自分のことをしっかりやって頑張ろう』と思ってもらえるような試合にしたい」とモチベーションの重要性を力説した。

 だからこそ、主力組をピッチに立たせた日韓戦から大幅なメンバー変更は行わないという。「初めて集まるチームでやってきているし、韓国戦を踏まえて成果と課題を共有した上で、どう突き詰めていけるか、どうレベルアップしていけるかをモンゴル戦に持っていきたい」。そう狙いを明かした指揮官は「練習で選手がすごく頑張ってくれているし、使ってあげたいという考えもある。チャレンジは忘れないでいたいと思うが、公式戦なので、チームの軸をしっかり持っていきながら、公式戦で勝ち進むために試合に臨もうと考えている」と述べた。

 一方、韓国戦で先発したDF山根視来(川崎F)だけでなく、森保ジャパン初選出の10選手に対しては前向きな印象を持っているという。

「一番思ったことはJリーグで結果を出している選手なので、みんな実力があるな、素晴らしい選手だなと思った。個々の力をしっかり示すことができる、スペシャルなもの、特長を持っているというのは練習でも見ることができた。満足させられる使い方じゃなかったかもしれないが、特別な試合、プレッシャーのかかる試合で使っても大丈夫だと思わされた。交代枠が許されるなら全員初招集の選手を使いたかったくらい」。

「今回招集した選手たちは修羅場をくぐってきた選手なので、メンタル的にも安定していて、練習の取り組みがとても良い。練習を大切にしたいと伝えているが、コミュニケーションが難しいという中でも、練習での目的を理解してくれて、その中でベストを尽くすという点で、練習を見ていて楽しく思っている」。

 今回のW杯予選ではコロナ禍における選手の負荷軽減を目的とした特例ルールにより、交代枠が5人(回数は3回まで)。「選手たちにはチャンスはあると思うので、状況を見て経験値を上げてもらえるようにできたらと思っている」と起用にも前向きな姿勢を示した。

(取材・文 竹内達也)
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