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今季初先発の32歳が見せた輝き…浦和FW武藤雄樹が考えた「1トップらしくない」動き

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浦和レッズFW武藤雄樹

[4.3 J1リーグ第7節 浦和 2-1 鹿島 埼玉]

 6節終了時点でピッチに立ったのは2試合。わずかに13分間だった。しかし、第7節鹿島戦で今季初となる先発出場の機会をつかんだ浦和レッズFW武藤雄樹は、自身の役割をきっちりとこなしてチームに4試合ぶりの白星をもたらした。

 1トップの位置に入りながらも、その動きは「1トップらしくない」。最前線に張り付いてボールを待つだけではなく、「僕が降りたところを2列目の選手が飛び出そうという話もしていた」と相手選手の注意を引き付けつつ、周りの選手を生かそうとしていた。

 前半37分にはポジションを落としたことで、相手最終ラインの注意を引き、生まれたスペースをMF明本考浩が突いて先制点が生まれる。さらに後半18分には下がった位置でボールを受けると、明本へのスルーパスでPKを誘発。数字には残らなかったかもしれない。しかし、32歳を迎えた男のプレーが得点を呼び込んだことに間違いはなかった。

 今季は苦しい時間を過ごしてきた。J1リーグでは2試合に途中出場のみ。ルヴァン杯では1試合に先発したものの得点はなかった。「出場機会がないのは選手として悔しいこと」と唇を噛みながらも、「ただ、僕がキャンプから完璧なパフォーマンスを続けていたかというと納得いかないプレーが多かったし、もっとやらないといけないと思っていた」と現実を受け止め、自身と向き合ってきた。そして、3月28日に行われたエリートリーグ札幌戦では2ゴールと結果を残した。

「当たり前だけど、日々の練習から努力し続け、その中でエリートリーグで自分の良さを見せる良いきっかけになった。前の選手はゴールを決めるだけで気持ちが乗ってきたり、自信がつく。良いパフォーマンスができたところで、リカルド(・ロドリゲス監督)が使ってくれたし、その期待に応えたかった」

 攻撃的な選手である以上、ゴールという結果を求めるのは当然のこと。武藤自身も「正直言うと、なかなかチャンスがない中で、練習や練習試合でゴールでアピール」することは考えていたが、その中でも「自分のできることをしっかり見せないといけないと思った」という。

「ボールを引き出すとか、チームにとって重要な存在にならないといけない。たくさんゴールを決めたい気持ちもあるけど、考え方の整理ができたのが良かった」

 チームの勝利のために何をすべきか。整理できたという考え方をピッチ上で実践し、勝ち点3をもたらす。先発に抜擢したリカルド・ロドリゲス監督も、「彼は練習から良いプレーしていたし、エリートリーグでも結果を出しながらここまでやってきたので、今までのパフォーマンスを評価してスタメン起用した。ボールを引き出す動きや、チームのつなぎの流れを作ってくれる役割をやってくれ、良いプレーをしてくれた」と称賛するプレーとなった。

(取材・文 折戸岳彦)
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