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[MOM3419]青森山田FW渡邊星来(3年)_2ゴール1アシスト!「星に願いを」掛けるストライカーの鮮烈なプレミアデビュー

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ゴールを決めてベンチメンバーと喜ぶ青森山田高のFW渡邊星来

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.4 プレミアリーグEAST第1節 浦和ユース 0-4 青森山田高 駒場]

 いきなりの2ゴール1アシスト。最高のプレミアデビューを飾っただけあって、自然と顔がほころぶ。「1年生の時は見ている立場だったので、田中翔太さんとか武田英寿さんがいた時を見ていて、今はそんな舞台に立てていることが凄く嬉しいです」。青森山田高の2トップの一角を託されたストライカー。FW渡邊星来(3年=刈谷JY出身)が全国の舞台で躍動した。

 試合前日のホテルは2トップの相方、FW名須川真光(3年)と同部屋。お互いに翌日の活躍を誓い合う。「ナスとは『どっちかが決めないとね』という話をしていて、2トップだったので、『お互いの連携で、どっちでもいいから点を獲って、チームを勝たせよう』という話はしていました」。その約束はきっちり果たされる。

 まずは前半28分。ロングスローのこぼれを、CB丸山大和(3年)がシュートに変えると、“嗅覚”が発動する。「大和が打つことはわかっていたので、もう自分の嗅覚というか、ゴール前だったのでフォワードとして詰めたという感じです」。ワンタッチで陥れたゴール。先制点でチームもグンと勢いに乗る。

 次の得点は35分。MF松木玖生(3年)のパスをギャップで受けると、すぐさまパートナーを探す。「ターンしたらナスが見えたので、ナスに付けてもう1回もらって」ドリブルスタート。スライディングしてきた相手をキックフェイントでかわし、フィニッシュも冷静に。2トップの連携で中央を完璧に崩したゴラッソ。「思った通りにゴールに行けたので、ものすごく良かったです」と笑顔を見せた。

 後半にはMF田澤夢積(3年)のゴールをアシストしたものの、自身に訪れたハットトリックのチャンスは、クロスバーに阻まれた。「そこがまだ自分の課題だと思うので、『1本中の1本』が青森山田では言われていることで、自分でもまだそこにこだわれていないので、明日からまた『1本中の1本』にこだわっていけるように、努力していきたいと思います」。とはいえ、2ゴール1アシストは立派な戦果。今年の青森山田2トップが誇る破壊力には、どの対戦相手も苦労しそうな雰囲気が漂う。

「ナスと違って体格はそんなに大きくないので、足元で受けてターンしてナスに簡単に付けたりとか、ドリブルしてゴールを決めたり、自分をおとりにして味方を生かすプレーが自分の中では得意です」と自身の特徴を語った渡邊の理想像は、リバプールでプレーするブラジル代表FWのフィルミーノ。ゴールも奪えて、アシストもできるスタイルに憧れているという。

『星来=せら』の名付け親は母親とのこと。「星に来るって書いて“せら”なんですけど、『星に願いを込めて、願ったものが来る』ってことで“星来”になりました。だいぶ気に入っていますね。優しいお母さんです(笑)」。その名の通り『星に願いを』掛けながら、勝負の1年に挑んでいく。

「自分としては目指しているのはプロですし、弱気になっちゃダメだと思っているので、強気で全員を鼓舞する気持ちで、玖生、(宇野)禅斗、藤森(颯太)が注目されがちですけど、そこに自分も食い込んでいけるように努力していきたいと思います。チームとしては、まだ山田が獲れていない三冠が目標で、みんなもそう思っているはずですけど、自分たちの年でやるしかないので、プレミアリーグ、インターハイ、選手権という大きな舞台で三冠を獲って、この1年を終わりたいです」。

『星来=せら』。母親が願いを込めたこの名前が全国に轟く日も、そう遠い日のことではないかもしれない。

(取材・文 土屋雅史)
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