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ただの代役では終わらない。青森山田MF田澤夢積が踏み出した「夢のはじまり」

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チームメイトの祝福を受ける青森山田高のMF田澤夢積(右から2人目の16番)

 ゴールが決まった瞬間。大半のチームメイトが殊勲のスコアラーに駆け寄り、満面の笑みで祝福を繰り返す。「本当に気持ち良かったです。前半はかなり緊張していて、何もできていなかったので、ゴールという形で結果を出せたのは凄く良かったと思います」。青森山田高の左サイドハーフを任されたMF田澤夢積(3年)の周囲で、仲間の歓喜が弾けた。

“大会連覇”が懸かる2021年シーズンのプレミア開幕戦。浦和レッズユースとの一戦に挑むスタメン表には、田澤の名前が書き込まれる。「小原の代役として連れてきたので」と黒田剛監督も話したように、昨年からのレギュラーであるMF小原由敬(3年)の欠場を受け、左サイドハーフの先発に指名されたのだ。

「小原は去年から出ている訳で、『自分が左サイドでどんどんアピールして、スタメンを奪ってやるんだ』というくらいの気持ちでやっていました」とは本人だが、前半は緊張もあってなかなか思うようなプレーを出し切れない。

 そんな状況で迎えた後半4分。田澤に絶好のチャンスが訪れる。「自分が1人かわした時に、2対1で夢積が上がっていたので、自分で行くのも良かったんですけど、自分より夢積の方がフリーの位置でボールを受けてシュートを打てると思ったので、ボールを託しました」というFW渡邊星来(3年)のラストパスを受けると、夢中で左足を強振。シュートは右スミのゴールネットへ一直線に突き刺さる。

「夢積が今日はプレミア初出場でゴールを決めましたけど、ああいった選手がどんどん出てきてほしいなと思います」とキャプテンのMF松木玖生(3年)が話せば、アシストの渡邊も「最初は夢積も緊張していましたけど、決めるという気持ちが強かったので、ゴールの時はみんなで駆け寄りました。夢積は青森山田のムードメーカー的な存在なので、決めてくれて良かったです」と笑顔。田澤に対するチームメイトの想いが爆発した。

 大きなアピールにはなったものの、これで定位置が約束されるほど、青森山田のポジション争いは甘くない。指揮官も「ああいった所でコースにしっかりと1本決められたというのは凄く大きかったと思う。でも、イマイチ縦の勝負は陰りを見せた気はするし、あの1本以外はそんなに良くなかったかな」と注文も忘れず。再び青森の地で、次節へ向けてのサバイバルが待っている。

『夢積=ゆづむ』という特徴的な名前には、もちろん両親から贈られた大事な意味がある。「夢を積んでいくというか、夢を少しずつ積み上げていって、最終的には大きな夢を掴んでほしいという想いだと聞いています」。田澤が青森山田で思い描いている“大きな夢”はこの日、いよいよその幕が上がった。

(取材・文 土屋雅史)
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