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雨中で“ガンバらしい”技術力、判断力示して戦い、徹底。G大阪ユースがプレミア開幕戦を5-2で制す

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U-16日本代表FW南野遥海(左)は1得点。ガンバ大阪ユースの各選手はハードワークも見せていた

[4.4 プレミアリーグWEST第1節 G大阪ユース 5-2 東福岡高 OFA万博フットボールセンターA]

 “ガンバらしさ”に戦い抜く力、徹底してやり切る力を加える――。4日、“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 WESTが開幕。ガンバ大阪ユース(大阪)が、U-18日本代表候補FW坂本一彩(3年)の4得点の活躍などによって、5-2で東福岡高(福岡)に撃ち勝った。

 この日は試合開始前から強雨。加えてG大阪ユースは怪我人が多く、すでにJ1デビューしているU-18日本代表候補MF中村仁郎主将(3年)主将らを欠く陣容だった。セカンドチームの公式戦も同日に組まれていたため、ベンチにはわずか4人のみという状況。それでも、「ガンバらしさというか、うちの技術、判断力はより磨いて、それが相手にとってどう脅威にするか。技術の使い方プラスやるべきことを徹底してやれるように」と語る新指揮官・森下仁志監督(前・G大阪U-23監督)の下、G大阪ユースが巧さと逞しさ、徹底する姿勢を示した。

 森下監督が「このスリッピーなグラウンドであれだけ(ミス少なく)やれるんだから、僕らも関心するくらいなんですよ。(また新チームは)まだ3か月くらいですけれど、少しずつ相手が蹴ってきても戦えるようになってきている」と評したように、精度は乱れず、東福岡の縦に速い攻撃やセットプレーにも対応。前半12分には右CKの流れから坂本が相手ハンドを誘発してPKを獲得し、U-16日本代表FW南野遥海(2年)の左足シュートでリードを奪った。

 一方、大会発足から10年目のプレミアリーグを迎えた東福岡は、重心をやや下げて守備意識高く守りながら、U-15日本代表候補GK須田純弥(2年)の素早いスローなどからの切り替え速い攻撃を交えて反撃。17分には、ロングスローで獲得した右CKをC大阪U-18からの転校生MF大渕来珠(3年)が左足で蹴り込む。そして、ゴール前のこぼれ球をFW佐川玲史(3年)が右足でねじ込み、1-1とした。

 だが、G大阪ユースは野中陸(3年)と平川拓斗(3年)の両CBや左利きのMF三木仁太(3年)が多くボールに係わりながら敵陣に相手を押し込む。セカンドボールを回収して相手の背後を狙うなど多彩な連続攻撃。そして、ゲーム主将のMF浅野直希(3年)の左足ミドルなどが枠を捉える。

 東福岡はG大阪からも評価されるようなプレーを見せたGK須田が、ファインセーブを連発するなど食い下がる。だが、慌てて攻めてボールロストするシーンが増加。また、森重潤也監督が「経験値も少ないし、プレミアリーグがどのようなものなのかまだあまり理解できていない感じがします」と指摘したように、プレミアリーグでの一つ一つのプレーの重要性、わずかな甘さが失点に直結することを初戦で思い知らされる。

 41分、G大阪は東福岡のビルドアップのパスコースを消して相手GKにロングボールを“蹴らせる”。これを野中が頭で正確に前方へ跳ね返し、ボールを拾ってターンした浅野が左前方へスルーパス。最後は坂本が左足を振り抜き、“難なく”勝ち越し点を奪い取った。

 後半、東福岡はワンツーで駆け上がった左SB辻耕大(3年)や交代出場MF中原優心(3年)のクロスがゴール前に入るが、G大阪ユースは一つ一つ的確な対応。逆に31分、敵陣PA付近で細かくボールを動かすとMF和田直樹(3年)からのパスを受けた坂本が右足でゴールを破り、3-1とした。

 さらに34分には相手のクリアミスを拾った坂本がカットインからの左足シュートを決めてハットトリック達成。東福岡も果敢にゴールを奪い返しに行ったが、G大阪は39分にも南野のシュートのこぼれ球を坂本が決めて5-1と突き放す。

 防げたような失点が続いた東福岡だが、強豪相手に力も示した。40分、CB段上直樹主将(3年)の縦パス1本で佐川が抜け出してこの日2点目のゴール。終盤は相手の状況を見ながら攻め、連動した崩しからMF吉岡優希(3年)が決定的なシュートを放つなど、厳しい展開の試合から学び、前向きな形で試合を終えた。

 一方のG大阪は、点差が開いた終盤もベンチから「逃げるな!」などやるべきことの徹底を求める声。厳しさを持って選手たちと接していた森下監督は、「ウチのトップチームは代表クラスばっかりでそういうところで生き抜いてきている先輩たちなので、そこの場所に行こうと思ったら(どの試合でも)やろうとしていることを徹底してやらないと」。それは昨年まで、ユースチームからU-23チームに上がってきた選手たちの課題になっていた部分。森下監督は、個々が“巧い”G大阪ユースの選手たちがより徹底することや逞しさを身に着けて、トップチーム昇格はもちろん、年代別日本代表に選ばれる選手が増加することを期待する。

 浅野は「(森下監督から)ハイプレスのハメ方や(ボールの)受け方だったり、根本的なところを叩き込まれたので僕らも成長できたと思います。森下さんの言う通り、良く練習とかで『オマエらならやれる』と言われている。あとは戦うとか自分で声を出して味方を鼓舞するとか、足りないのでそこを突き詰めて行ければ良いと思っています」。プレミアリーグの目標は優勝。各選手はトップチームや年代別日本代表で通用する力を貪欲に求めながら、チームとして結果を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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