beacon

「目に見える結果とインパクト」を。FC東京U-18MF谷村峻が纏うさらなる進化の兆し

このエントリーをはてなブックマークに追加

FC東京U-18のMF谷村峻はチーム屈指のポリバレントさを誇る

[4.11 プレミアリーグEAST第2節 横浜FCユース 2-2 FC東京U-18 小机]

「去年はチームの一員としてのプレーはできていた方かなと思うんですけど、目に見える結果とかインパクトが全然残せなくて、今年はプレミアが始まる前から得点とアシストを多く獲るということを目標にやっているので、そこに関しては今日1得点1アシストできて、今後の成長に繋がる試合だったのかなと思います」。1得点1アシスト。目に見える結果とインパクトをしっかり残したFC東京U-18(東京)のMF谷村峻(3年)。今年は一味違う雰囲気。

 フォワードで出場していた前半は、ほとんど何もできずに終わる。プレミアEAST第2節の横浜FCユース(神奈川)戦。「チーム全体としてもビビっていたというか、怖気付いていたところはあって、それを前半の内にチーム全体で変えられなかったのは今の課題ですね」。横浜FCユースにボールを握られ、前線の谷村はひたすらチェイシングに追われる45分間を強いられた。

 中村忠監督の喝が入ったハーフタイムを経て、迎えた後半はボランチへとスライドすると、いきなり重要な局面がやってくる。後半5分。「最近は自主トレでも推進力を出すトレーニングをしているんです」というその推進力のあるドリブルで、PKを獲得。「あそこで絶対に外すことはできないですし、しっかり深呼吸して、目線で駆け引きしながら」きっちりGKの逆を突き、追撃の狼煙を自ら上げる。

 39分。前向きにボールを持つと、視界の片隅に上がってきた右SBの中野創介(3年)を捉える。丁寧なラストパスを送り、祈るように見つめたシュートはゴールネットへ。「今日の試合の創介は、正直周りから見るとそれまであまり良くなかったですけど、プレミアが始まる前の練習試合で自分のコーナーキックから創介がヘディングでよく決めていたので、今回も自分がパスを出した後に創介が決めて、意外と“ホットライン”があるのかもしれないですね(笑)」。FC東京U-15むさし時代からのチームメイト同士で、貴重な勝ち点1を引き寄せた。

 サッカーIQの高さゆえに、その時々で様々なポジションを任されてきたが、本人は少なからず葛藤も抱えていたという。「なかなか自分の長所を決められないというか、自信を持ってこれだと言えるところがなかったんですけど、他の人に比べていろいろなポジションの役割がわかっているからこそ、味方のプレーもサポートできますし、1つのポジションに入った時に、複数のポジションをやってきたところを生かしてプレーできるというのが、今の強みかなと思います」。

 この日もフォワードとボランチ、二足の草鞋を器用に履き分け、「自分としてはどのポジションもやっていて楽しいので、チームのためになるなら、どこのポジションでもやりたいなと思います」と口にしながら、「強いて言うなら、中学の頃はずっとボランチだったので、今日の後半みたいにボランチをやるのが、楽しいと言えば楽しいですね」とも。彼のプレーの幅が、そのまま今年のFC東京U-18の戦い方の幅に直結していることは間違いない。

 小さい頃からの憧れはヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ。トップチームに昇格すれば、ピッチ上で対戦する機会も出てくるかもしれないが、現状もしっかりと把握している。「まずは体をもう少し大きくして、走り負けない強度を身に付けたり、技術をもう一段階上げたりしないと、そのレベルにはたどり着けないと思うので、まずは自分に針をしっかり向けて、できることをしっかりやっていかないといけないなと思います」。

 FC東京U-18が誇るユーティリティプレーヤー。谷村がどのポジションを務めるかによって、今年の青赤は違った彩りを見せてくれそうな予感が漂う。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2021特集

TOP