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U-17代表候補初招集MF北村一真、自身の“ヒーロー”憲剛コーチから学習中の「止める・蹴る」も力に国見復活へ

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U-17日本代表候補初招集のMF北村一真(国見高)

 13日午前、U-17日本代表候補は高円宮記念 JFA夢フィールド合宿2日目の練習を行った。11対11でのビルドアップでは、相手を動かしてボールを繋ぐことや、奪った直後の5秒間失わないことなどを意識しながらトレーニング。常連組だけでなく、10人を超える初招集組も相手の逆を取るアイディアを見せ、森山佳郎監督らスタッフを唸らせていた。

 4日間開催されている今回の合宿には、昨年限りで現役引退した「名手」中村憲剛ロールモデルコーチが帯同。U-17世代のプレーヤーたちに「止める・蹴る」をはじめサッカー人生で培ってきたことについて伝えている。選手たちにとっては憧れのプレーヤーによる金言ばかり。中でも積極的に吸収しようとしているのが、初招集のMF北村一真(国見高)だ。

 2年生ながら伝統校の10番。九州高校U-17大会(九州高校新人大会)では、国見にとって14年ぶりとなる優勝に大きく貢献し、評価を勝ち取った選手だ。攻撃的なボランチを主戦場とする北村にとって、中村コーチは「波がなくて、チームの起点となってボール回るというところは小さな頃から憧れでした」という存在。自身の“ヒーロー”が、ロールモデルコーチとして帯同することが決まり、「中村憲剛さんが来ると聞いた瞬間、話を聞こうと」と考え、臆することなく行動に移している。

 合宿初日の練習前ミーティングで中村コーチに「止める・蹴るを直接教えて下さい」と直訴した2名のうちの一人が北村。「無駄な動きをせずに止まったり、ファーストタッチで前を向いてパスを出すことを聞いて。止める・蹴るに関しては自分から聞きに行って参考にしています」と微笑んだ。

 初参加しているU-17日本代表候補合宿は、日常ではなかなか経験できないような「止める・蹴る」の精度や強度に「付いて行こうと思っています」という状況。それでも、同じポジションのライバルなど周りの選手たちのプレーを見て必死に吸収しようとしている。

「(代表常連の)大迫塁選手(神村学園高)だったらトラップしてからの判断が速くて、パスに対してもメッセージがあって学んでいます」と北村。一方、ファーストタッチで相手を剥がすことなど強みを発揮できている部分もある。今後は負けたくない武器だという左右両足のキックなどでよりアピールすること。三重の紀州エスフォルソという街クラブから国見、年代別代表という「大きな場」で経験を積んでいる北村は「上を目指して行こうと思っています」と意気込んでいる。

 そして、「来ていない選手たちにこうだったよ、と伝えて(国見を)強いチームにしていきたいです」。戦後最多タイとなる6度の全国高校選手権制覇を誇る国見も、10年度選手権が最後の全国舞台。当初「重かった」という「10」だが、中心選手としての責任感が増し、チームを強くしたいという思いは強まっている。代表で憧れの中村コーチやライバルから学んだことをまずはしっかりと自分のものにすること。その力を国見のチームメートに伝え、レベルをより引き上げて今年、名門を必ず復活させる。 

(取材・文 吉田太郎)

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