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“抜きん出た存在”への挑戦。関東一は競争で選手層高めて東京全冠とプリンス昇格狙う

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関東大会予選初戦、関東一高CB池田健人主将がシュートを放つ

 “東京で抜きん出た存在”、常に全国上位を争うチームになる。昨年度、関東一高(東京)は3年ぶりに全国高校選手権出場。大会得点ランキング2位タイ(計4得点)のFW笠井佳祐(現桐蔭横浜大)やMF類家暁(現神奈川大)を中心に攻守両面で力のあるチームだったが、2回戦でPK戦の末に敗れて上位進出することはできなかった。

 選手権経験者で新主将のCB池田健人(3年)は、「去年、選手権の2回戦で悔しい思いをしたので、まずは全国に行くことを当たり前にするように。練習から全国基準でもっとやっていかないといけないと思いましたし、東京ではもっと頭一つ抜けていかないといけないなと思っています」と力を込める。

 全国で上位に入るためには、日常からより高いレベルの試合を経験していかなければならないという考えだ。小野貴裕監督も「環境の中から育つような土壌を作っていかないといけないと思います」と口にする。

 そのために、重要になってくるのはリーグ戦だ。現在、関東一はAチームがT1(東京都1部リーグ)、BチームがT3リーグ(東京都3部)に参戦中。池田が「(Bチームの)T3は絶対にT2に上がるし、全国で上に行くためにも絶対にプリンス、プレミアに上がらないといけないので今年、絶対にプリンスに上がるということは決めています」と口にするように、プリンスリーグへの昇格を重視している。

 関東のJクラブユースや高体連の強豪チームと戦う場に身を置き、より意識・強度の高い日常を作ること。インターハイ東京都予選4連覇(15~18年)や選手権予選2連覇(16、17年度)、15年インターハイ3位、17年同8強など東京・全国で活躍してきた関東一は再び東京で一歩抜け出し、全国上位で戦うために土台を高める。まずは、4月4日のT1リーグ初戦で成立学園高に4-1で快勝。好スタートを切った。

 都内のトーナメント戦全てで優勝することも目標だ。4月11日の関東大会予選初戦は、昨年から先発のMF藤井日向(3年)やMF若松歩(3年)らがボールを動かし、新10番のFW肥田野蓮治(3年)とFW坂井航太の両翼が仕掛けにチャレンジ。押し込み続けてMF倉持耀(2年)や池田が決定的なシュートを放ったが、CB福元竣(3年)やGK林遼夢(3年)を中心に守る明星学園高攻略に手こずり、逆に相手の10番MF山本蒼己(3年)に先制ミドルを決められてしまう。

 それでも、「自分は能力が高いわけでもないので、小まめに小まめに小さなミスをしないように。(また)試合中の雰囲気は自分が声を発していかないといけない。失点したりすると暗くなることがあるけれど、去年よりも自分がやらないといけない」という池田がチームを引き締め、後半は相手の足を止めて縦パスの本数を増やす。

 そして、残り10分頃からFW熊田龍輝(3年)とMF神山寛尚(3年)がゴールを奪って苦しみながらも初戦を突破。池田は「(トーナメント戦は)もちろん3冠を狙っていますし、まずこの1個目の関東大会で今日みたいに苦しい試合が続くと思うんですけれども、粘って苦しい試合を勝ちに持っていければ良い」。苦戦も今後の糧にしていく。

 昨年は個の力が勝因になっていた部分もあったが、現状は抜きん出た存在がいない。池田は「全員で協力してハードワークしていくこと」と語り、小野監督は「チーム全体のレベルを上げていかないといけない。『今年は絶対競争だな』と思っている」と語る。

 この日は試合後に伝統校・暁星高のAチームと練習試合。多くの選手が毎週試合できるようなスケジュールを組んでいるという。リーグ戦とトーナメント戦のスケジュールが密になっても、勝ち続けられるような戦力へ。期待の新1年生も複数Aチームに食い込んできている関東一は、より選手層の厚みを増してリーグ、トーナメント戦の“全制覇”に挑む。

(取材・文 吉田太郎)

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