beacon

全国8強後の大事な一年。関東予選で難しさ実感した堀越は乗り越えて殻を破る

このエントリーをはてなブックマークに追加

関東大会予選初戦、堀越高はキャプテンマークを巻いたMF宇田川瑛琉らが攻め続けたがPK戦で敗れて初戦敗退に

 チームにとって、重要な一年だ。堀越高(東京)は昨年度の高校選手権で29年ぶりに東京都予選を突破し、全国大会でも2勝して初の8強。青森山田高(青森)との準々決勝では前半に4失点したもの、後半は立て直して見せるなど自分たちの可能性、全国トップレベルの「基準」を実感する大会となった。

 昨年度はコロナ禍で難しい一年だったが、CB井上太聖(現順天堂大)が堀越初の日本高校選抜入りを果たしたことを含め、同校にとって飛躍の一年に。井上や前主将のMF日野翔太(現拓殖大)が選手権後の練習に加わり、全国トップレベルの球際の強度やスピード感を伝えてくれたこともあり、新チームは自分たちの「基準」を高めて新シーズンを迎えた。

 だが、第1シードとして臨んだ関東大会予選の初戦(4月11日)は、勝ち続けることが簡単ではないことを痛感する試合となった。自分たちに対して挑戦者として挑んできた東海大菅生高に苦戦。堀越は中盤で違いを生み出していた注目MF山口輝星(3年)やMF宇田川瑛琉主将(3年)、MF日隠ナシュ大士(3年)を中心にほとんどの時間帯でボールを保持し、強力ドリブラーの10番MF古澤希竜(3年)や左DF宇田川侑潤(3年)の攻撃参加などからゴールを脅かし続けた。

 だが、山口が「ゴール前まで行くシーンは多かったんですけれども、最後の点決めるシーンで自分たちの課題が出てしまった。最後のパスの質だったり、パスの強さだったり決め切る能力が足りなかった」と首を振ったように、延長戦を含めた100分間で得点することができず、0-0からのPK戦の末、初戦敗退となった。

 堀越は昨年同様ボールを大事に、相手のDF間を取りながら前進することに加え、「基準」を高めた球際、セカンドボールの攻防でも力を発揮していた印象だ。佐藤実監督も「競り合い、球際、セカンドボール拾うとか今日もそれはしっかりとできていた、例年のチームよりはできていると思う」と振り返る。

 それでも、『基準』に加えてゴールを決める・守る部分などで対戦相手を上回らなければ勝つこと、優勝することはできない。「僕らの中の『基準』だけで終わってしまっているだけだと、ここからの課題を越えられない。地道にやっていくしか方法論はない」(佐藤監督)。全国準々決勝でも、東京1回戦でも、自分たちの「基準」を表現して勝つこと。それができなかったことを反省し、どのような相手でも上回るようにチームを構築していく。
 
 今まで東京のトップチームに挑む立場だったのが、今年はターゲットにされる側になっている。佐藤監督は東海大菅生戦後、「難しさが如実に見えてきたのは僕らにとって収穫なのかなと思います。他のチームが本気で向かってくる、楽な展開に持っていけるシチュエーションはほぼ無い。(その相手を上回って)もう一個殻を破ってさらに成長できるのか、それともこのまま停滞して元に戻ってしまうのか。一番大事な一年になって来ると思う。そこはしっかりとチームを作り直していきたいなと思っています」と語った。

 先のことを考えるのではなく、まずは日常、目の前の一試合一試合に集中。山口は「次はインターハイ。遠くを見すぎないで、近くの大会に集中してやっていきたい」と力を込めた。殻を破るための大事な一年。選手権経験者半数を残す堀越が、殻を破る一年にする。

(取材・文 吉田太郎)

TOP