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欧州SL創設の中心人物、レアル会長が口を開く「魅力的な試合少ないCLは金を生めない。私たちが危機的状況のフットボールを救う」

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フロレンティーノ・ペレス会長が口を開いた

 欧州スーパーリーグ発足を宣言した12クラブの中心人物であるレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長が、創設の理由を初めて語った。

 レアル、アーセナル、アトレティコ・マドリー、チェルシー、バルセロナ、インテル、ミラン、ユベントス、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムは18日、今後自分たちで運営する独自の欧州大会の発足を発表。この動きの仕掛け人とされ、初代会長を務めるのが、ペレス会長だ。

 ペレス会長は発足発表の翌日、スペインのテレビ番組『チリンギート』に出演。このサッカー討論番組で、欧州スーパーリーグ発足の理由が新型コロナウイルスによる経済的打撃、フットボール人気の低下を心配してのことだと語った。チャンピオンズリーグのテレビ放映権収入は頭打ちであり、そのために動きを起こしたのだという。

「これ以上、テレビの収入が増えないならば、解決法は魅力的な試合をより多く行うこととなる。全世界のファンが全ビッグクラブの試合を目にするというね。私たちはチャンピオンズの代わりにスーパーリーグを発足するという結論に至った。私たちが失ったものを緩和するためにね」

「イングランド、イタリア、スペインの重要なクラブは、とてもひどい状況に陥った。だからフットボールに対して解決法を与えなくてはならないんだ。私たちは50億ユーロを失った。それは、とてもひどいことだ。私たちの昨季予算は8億ユーロで、今季は9億ユーロになるはずが7億ユーロに落ち込んだ。6億ユーロの収入を確保できるかも分からず、2シーズンで4億ユーロも減らすことになる。レアル・マドリーの一クラブのみでだよ。私たちは本当にひどい状況に直面している」

「フットボールは進化しなくてはならない。企業、人間、メンタリティのように。フットボールは変わらなくては、今生きている時代に適応しなければならない。フットボールに対する興味は失われている。視聴者数は下がり、権利料が下落している。何かを施さなければならない。私たち全員が壊滅的な状況だ。フットボールはグローバルなスポーツであり、私たち12クラブと、ほかのいくつかのクラブは世界で最もファンを抱えている。私たちが現在のテレビ事情に適応できるよう変化する必要があるんだよ」

「若者はもうフットボールへの興味がない。なぜだ? それは多くの試合の質が低く、興味をひかないからだ。気晴らしのためのフットボールではないプラットフォームを手にしているからだ」

「現状はクオリティーのない試合が存在する。バルセロナ対マンチェスターは、マンチェスターとチャンピオンズの慎ましいクラブとの試合よりも面白い。全世界が求めているものは何かね? 私たちは全世界にファンがいる。それが金を与えるものであり、ほかの大会に金を与えなくなるものだ。そしてその金は、みんなのものなんだよ。これは一つのピラミッドだ。上が金を持ってさえいればいいが、そこで金が生まれなければ、金は存在しない」

 レアルが率いるビッグクラブ団体は、現在12ある創設クラブに3クラブを加えて、さらに5クラブを招待して合計20クラブでリーグ戦を行う方針。5クラブは、どのように選定されるのだろうか。

「5クラブはスポーツ面の功績でやって来る。セビージャ? 完璧に当てはまる。スーパーリーグは開かれている。閉じられたリーグではないんだよ。私たちは全クラブの価値を信じている」

「私たちが行動を取ったのは、フットボールを救うためだ。フットボール全体を救うためなんだよ」

 一方で、欧州スーパーリーグの開始時期について問われると、こう返した。

「できる限り早くスタートさせたい。私たちはUEFAとFIFAと話し合う。なぜ、彼らが怒らなければいけないのか、理解ができない。UEFAはCLの違うフォーマットを提示したが、第一に私はそれが理解できない。次に、フットボールを救うために必要な金を生むことができない。私の言うフットボールを救うは、フットボールのすべてを救うということだ。」

「私たちはベルナベウから受け継いだものは、フットボールを救うことにほかならない。少なくとも、今後20年のフットボールが平穏であるようにね。状況は急を要するんだ」

 UEFAは欧州SL創設クラブの所属選手が代表チームでプレーできないこと、また今季CLから該当のクラブを追放する動きを見せているが、この件についてはどう考えているのだろうか。

「彼らは脅迫をしてくる。選手たちは落ち着いていられるよ。実際には起こらないことなのだから。UEFAは(欧州フットボール界)を独占しているし、もっと透明にならなくてはいけない。UEFAには良いイメージがない。UEFA内で起こったことについて言及する気はないが、彼らはもっと対話をする姿勢を見せなければならないし、脅迫行為をやめなくてはいけない。彼らは誰も理解できない大会フォーマットを提示し、2024年からスタートすると言っている。2024年、私たちはもう死を迎えているよ。1億ユーロを失ったクラブだってあるんだ」

「変化があるときには、いつだって反対する人々がいる。(元レアル・マドリー会長の故サンティアゴ・)ベルナベウもそうだったが、結果的にフットボールの歴史を変えた。一体、何が魅力的なのか分かるかい? ビッグクラブ同士の試合、競争力がさらなる手段を生み出すんだ。金持ちのためのリーグだって? 私はレアル・マドリーの持ち主ではない。私たちは一フットボールクラブである、危機的状況にあるフットボールを救うために行動を起こしたんだよ」

 ペレス会長はUEFAによるチャンピオンズリーグ追放も、スペインプロリーグ機構ラ・リーガによる国内リーグ追放もまったく恐れていないようだ。

「(ラ・リーガ会長)テバス? 彼も透明性を確保しなければならない一人だ。UEFAは透明ではなかったが、そういったことは終わったんだ。独り占めは、もう終わったんだよ。私たち全員が、フットボールは破滅寸前だと言っている。チャンピオンズが私たちを追放することはない。ラ・リーガも絶対にそんなことはないよ」

「私たちは最後まで彼らと対話する考えだ。そうできない可能性もあるが、そうなった場合のことは、まあ想像に任せるよ」

 UEFAやラ・リーガが透明性を確保していないとの見解については、さらなる言及をしている。

「私たちのプロジェクトではサラリーキャップを収入の55%と設定している。サラリーは上がり、収入は下がっている。今、私たちはスポンサーについての問題を抱えているんだ。私たちはアディダスやエミレーツ航空など素晴らしいスポンサーと契約しているが、彼らは困難に直面している。そんなことはないと言う人たちもいるだろうが、本当に厳しいんだよ。私は透明性を求めたい。NBAがどれだけの収入を得ているかは誰もが知っている。なのに、なぜここではそうならない? 透明性が私たちに力を与えるんだ」

「私はレブロン・ジェームズがどれだけ収入を得ているのかを知っている。公表されているわけだからね。しかしUEFAの会長がいくらもらっているのかは知らない。私は透明性こそが重要だと思っている。マドリーは給料を引き下げたし、私の会社(建設会社ACS)でも同じことをした。しかしUEFAやラ・リーガが減給したとは思えない。UEFAではいくらもらっているのか、私は知らないんだ。私はフットボール、マドリーを愛している。今、起こっていることには大きな悲しみを感じている」

 スペイン政府の文化スポーツ省ホセ・マヌエル・ロドリゲス・ウリベス氏も欧州スーパーリーグに反対する意思を示していたが、ペレス会長はその後に理解を得られたと主張する。

「今日、大臣と一緒になり説明をさせてもらった。とても良い話し合いだったし、やはり対話をしなければならないんだ。資金を最も生み出せるのはビッグクラブであり、金持ちも貧乏も金がなければ、誰も何も持ち得ない道へと進むことになる。私たちは50億ユーロを失ったんだよ」

 フットボールが若い世代から関心を寄せられていないことを強調していたペレス会長だが、欧州スーパーリーグではフットボールの試合時間を90分より短くする考えもあるという。

「私たちは試合時間の短縮も考えている。それも会議における一テーマだった。90分間は、一部のフットボールファンにとっては長過ぎるかもしれない。試合が魅力的ではないのかもしれないし、若い世代にとって90分間は長過ぎる可能性がある」

 20クラブ参加の大会はあまりに排他的ではないかとの指摘には、次のように返答した。

「なぜ、優勝クラブが少なくなると言える? 招待枠のために競えばいい。そして2部リーグをつくるなどの継続性も持たせればいいんだよ。UEFAは欧州のフットボールが変化したことを、これまでとは異なる大会を欲している国々があることを理解しなくてはならない。スカンジナビアの人々がリーグ戦創設を望んでいると耳にした。バルカン半島の人々やベネルクスの人々も。彼らは状況を変えたいんだ。現状では、全員が死を迎えてしまうのだから」

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