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[MOM3429]大宮U18DF大井勇人(3年)_連敗を止めたCBの決勝弾。受け継いだナンバー3は伊達じゃない

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大宮アルディージャU18に勝利をもたらしたDF大井勇人

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.24 プレミアリーグEAST第4節 大宮U18 1-0 FC東京U-18 埼スタ第3]

 3番を背負ったセンターバックのヘディングがゴールネットを揺らすと、笑顔の仲間が駆け寄ってくる。「今回の試合は自分が決めてやろうという気持ちでいたので、しっかり決められて勝てたので良かったと思います」。開幕3連敗中の大宮アルディージャU18を救ったのは、18歳になったばかりのDF大井勇人(3年=大宮アルディージャジュニアユース出身)だった。

 責任は十分感じていた。3試合続けての失点で、プレミアリーグは開幕から3連敗。「やっぱり勝てていないということで、自分たちもどうやったら勝てるのかよくわからなくて、そこから自分たちで話し合ったりして、イチから創り上げていくというイメージを共有してこの試合に臨みました」。ディフェンスリーダーとして、確固たる決意を抱いてFC東京U-18戦へ向かう。

 ボールこそ持たれたものの、センターバックでコンビを組むDF小澤晴樹(2年)とコミュニケーションを取りながら、1つ1つ相手の攻撃の芽を潰していく。守備の安定が攻撃の推進力へと繋がりつつあった前半を経て、そのチャンスは後半開始早々の2分にやってきた。「自分は守備側の人間で、ゴールに関われるのはセットプレーしかないので、そこでゴールを決めてみんなを助けたいという気持ちは常にあります」。

 左からのFK。MF阿部来誠(2年)の正確なキックに、無我夢中で飛び込む。「バックヘッド気味だったので、正直ゴールに入った所はあまり見ていなくて、ネットが揺れた瞬間が見えたらみんなの喜ぶ声が聞こえたので、『よし!』と思って凄く嬉しかったです」。リーグ戦4試合目にして、初めて奪った先制ゴール。チームに大きな勇気がもたらされる。

 以降は“本職”でも高いパフォーマンスを披露。「今週の目標が『クリーンシートで終わる』ということで、練習からもみんなで声を出して、無失点という所にこだわっていたので、この試合でしっかりそれを生かせたのは良かったですね」。自ら点を獲り、自らゴールに鍵を掛ける。大宮U18がようやく手にした今季初勝利の陰に、大井の攻守に渡る活躍があったことは言うまでもないだろう。

「自分はロングボールが武器だと思っているので、今日の試合は何本かミスしてしまったんですけど、ロングボールでチェンジサイドしてチャンスになった場面もあったので、そこをどんどん増やしていけたらと思います」と自身を分析するように、足元の巧みさには定評あり。また、この日のゴールシーンでも目を惹いた高さも併せ持ち、いわゆる現代的なセンターバックに必要とされる能力を兼ね備えている。

 目標は去年まで一緒にプレーしていた“先輩”だ。「1個上の先輩の福井啓太選手(筑波大)は凄くビルドアップも安定していて、守備面でもチームをしっかり引っ張ってくれていた存在なので、そこを見習っていきたいと思いますし、3番をしっかりと引き継いで、最終的には福井選手を超えられたらいいなと思います」。

 村上陽介(明治大)、福井と受け継がれてきた大宮U18のナンバー3。その伝統を継承しつつ、偉大な先輩たちを超える覚悟で、大井は今年のチームを最終ラインから牽引していく。

(取材・文 土屋雅史)
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