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6年目の集大成。青森山田DF三輪椋平は苦しい時こそ頼れるディフェンスリーダーに

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青森山田高のディフェンスリーダー、DF三輪椋平

[4.25 プレミアリーグEAST第4節 横浜FMユース 1-4 青森山田 小机]

 群馬は高崎から、青森の地に身を投じて6年。このエンブレムを付けて戦う最後の1年に懸ける想いは、誰よりも強い。「今年は青森6年目の集大成として、チームの目標でもある三冠を目指すために、一戦一戦全力でぶつかっていけば、結果も自ずと付いてくると思うので、勝ちにこだわってやろうという意識はあります」。青森山田高のディフェンスリーダー。DF三輪椋平(3年=青森山田中出身)が今、加速度的に成長を遂げている。

 高校選手権での準優勝を受けて、迎えた2021年度の新チーム。新キャプテンのMF松木玖生(3年)やMF宇野禅斗(3年)、サイドハーフも右の藤森颯太(3年)に左の小原由敬(3年)、前線にもFW名須川真光(3年)と、中盤より前には昨年の公式戦を経験してきたメンバーが揃う中、守備陣はGKも含めて全員が総入れ替えに。周囲の厳しい視線に晒されながら、彼らの挑戦はスタートした。

「東北新人が始まった時から、一応自分が出ていたので、ディフェンスリーダーというのは言われていました。今年は守備がカギになるとずっと言われていて、山田は守備のチームなんですけど、監督に言われていることのレベルも低くて、後ろに不安要素があるので、前の選手たちが攻撃のことを100パーセント考えられないというのがあったと思います」。そう振り返る三輪も、悔しくなかったはずがない。

 春の遠征も失点がかさむ。時之栖カップでも、サニックス杯でも、なかなか思ったような守備の強度を誇れず。「『正直このままだったらプレミアでも全敗してもおかしくない』という話をされました」と三輪。より危機感を覚えたディフェンス陣は話し合いを重ね、改めて今年1年を戦っていくための強い想いを共有する。

 迎えたプレミア開幕戦。浦和レッズユースとの一戦は前半に決定的なピンチが訪れるも、GK沼田晃季(3年)のファインセーブで凌ぐと、以降は安定した守備対応を披露し、終わってみれば4-0と無失点勝利。以降の2試合も連続完封を飾るなど、あれだけ不安視されていたディフェンス陣も、気付けば“青森山田のディフェンス陣”になっていた。

 黒田剛監督も「サニックスでも後ろのラインとか取り組みの所だけを基本的には修正してきたので、そういう意味ではたいぶ慣れてきて良くなってきているのかなと思います。あまりゴールにボールを寄せ付けない、入ってきてもセンターで弾き返せるという、山田のずっとやっている守備がだいぶ身に付いてきたかな」と一定の評価を口にすれば、「去年は(藤原)優大さんという凄く大きな存在の人がいて、それに助けられていた部分を、今年は4人でうまく補いながら、4人全員が凄く声を出してハードワークしているので、前の選手も凄く信頼して、攻撃できているかなと思います」とは松木。その中心にいる三輪への信頼感も、日増しに高まっているようだ。

 横浜F・マリノスユース戦ではオウンゴールという形でリーグ初失点を喫したものの、その事実には目を向けつつも、決してネガティブには捉えていない。「キーパーの晃季が一番責任を感じていると思いますけど、その前に結局チャンスを作られているのは自分たちディフェンス陣の問題ですし、キーパーもディフェンスも1つのミスがああいうことになってしまうんだなと。失点したことは良くないですけど、晃季も切り替えてやっていたので、今後も無失点にはこだわってやっていければいいかなと思います」。三輪が発したその言葉からは、経験を重ねてきたことによるメンタル的な余裕も透けて見える。

 青森山田中時代は2年時こそレギュラーとして全国中学校サッカー大会の日本一に貢献したものの、3年時は同じく辿り着いた決勝で無念の敗戦。高校入学後もここ2年の選手権では決勝で敗れており、所属チームが3年連続で全国準優勝を味わっているだけに、青森山田の選手として戦うラストイヤーの目標は、あえて言うまでもないだろう。

「去年の優大さんが自分にとっての理想というか、『ああいうふうになりたい』という想いはあるので、キャプテンではないですけど、ディフェンスリーダーという立場で、苦しい時とか本当にキツい時こそチームを助けられる選手になりたいと思います」。常に全力で戦える男。三輪の存在は苦しい時にこそ、きっと一層際立ってくるに違いない。

(取材・文 土屋雅史)
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