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[MOM3436]広島ユースMF高柳英二郎(3年)_今季5ゴール目!“広島のディ・マリア”がストライカーとして開花

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ストライカーとして開花中のサンフレッチェ広島ユースMF高柳英二郎。(写真はサニックス杯)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.25 プレミアリーグWEST第4節 名古屋U-18 2-2 広島ユース トヨスポ]

 プレミア開幕からの3試合で奪ったゴールは4得点。今年に入ってから、ストライカーとして開花しつつあるのが、サンフレッチェ広島ユース(広島)のMF高柳英二郎(3年)だ。

 FW真鍋隼虎(3年)とMF佐藤大晴(3年)にゴールを許し、追いかける展開を強いられた第4節の名古屋グランパスU-18(愛知)戦でも、随所で持ち味を発揮した。序盤は慣れない天然芝のピッチに戸惑い、チームとして上手く行かない時間が続いたが、「愛知県出身なので、グランパスとは中学生時代に対戦したことがある。知っている選手も多かったので負けたくない気持ちが強かった」という高柳は前線の起点として奮闘。前線のターゲット役として、MF越道草太(2年)とFW森本空斗(3年)のサイド攻撃を上手く引き出しながら、前半23分には左クロスに飛び込むなど積極的にゴールへと迫った。

 最大の見せ場が訪れたのは、1-2で迎えた後半3分。コンビネーションから左サイドを抜け出した越道のクロスに対し、タイミングよくゴール前に飛び込んで、ヘディングで合わせた。

「良いクロスが上がったので当てることに集中してゴール前に入ったら、綺麗に入った。自分でもラッキーという感じでした」と振り返る一撃によって名古屋に追いつくと、2-2のままタイムアップ。高柳は「グランパスは皆上手くて、自分ももっとレベルアップしなくちゃと思った。同点ゴールを奪えたのは良かったけど、前半のうちからもっとキープだったり、ドリブルで剥がすことをしっかりできていれば、試合を優位に進めたと思う」と反省点について口にしたが、逆境を救ったゴールを含め、チームへの貢献度は高かった。

 FCフェルボール愛知に所属した中学時代は、「持った時にワンタッチで叩くようなプレーが分からず、持ったひたすら前にドリブルを仕掛ける選手だった」。独特の間合いのドリブルは、高田哲也監督がアルゼンチン代表MFディ・マリアと比較するような武器。相手にとって掴みどころがなく、スルスルと相手エリアを抜け出し、チャンスに持ち込むことができる。

 広島ユースに入ってからも持ち味を上手く発揮し、3-4-3システムのシャドーの位置からチャンスを作り出してきた。だが、今年に入ってトップチームに合わせて4-4-2へと変更したことで、高柳も新たなポジションへと移った。

 当初はサイドハーフでの起用がメインだったが、プレミアでは本格的にFWとして起用されている。プレッシャーが厳しい最前線に入ったことでこれまでと同じように前向きでドリブルを仕掛けることは難しくなったが、ゴール前でシュートを打つ場面では巧みにマークを外すなど、培ってきた技術は活きている。

 また、高田監督をはじめとしたコーチ陣から、相手DFの裏の取り方やスペースでのボールの受け方などFWとしての動きを教わってきたのも大きい。良い動きが出来れば、MF池田柚生(3年)とMF西村岳(3年)のダブルボランチら配給役は揃っているため、チャンスの場面は自然と出てくる。「良い所にボールが出てくるから、シュートを打って決めることができている。自分は皆からのサポートによって点が獲れている」。

 主将のDF光廣健利(3年)が「前線からの守備スイッチを入れて貢献してくれている」と話す通り、アグレッシブなチェイシングでショートカウンターの起点としても機能するなど、チームへの貢献度は高い。更なる成長を続ければ、より高いステージも見えてくる。目標はトップチームへの昇格だが、本人の夢は大きい。「将来的には、ドイツに行ってバイエルンでプレーしたい。1対1が強いドイツに行って、ドリブルを磨きたい。そのためにはプレミアリーグで、1対1で負けない選手になり、貪欲にシュートを打つ姿勢を磨いていきたい」と意気込む男の活躍は、今後も続きそうだ。

(取材・文 森田将義)
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