beacon

「オーバーエージは必要だと感じた」JFA反町技術委員長が3月シリーズの内幕明かす

このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本サッカー協会(JFA)は27日、反町康治技術委員長の連載手記『サッカーを語ろう』第9回を公式サイトに掲載した。3月に行われた日本代表、U-24日本代表による国際試合の舞台裏が明かされている。

 反町氏は冒頭で「2021年3月は、SAMURAI BLUEとU-24(24歳以下)の日本代表が日本国内で久しぶりに活動することができた。実現にあたってはスポーツ庁を初め、出入国にかかわる各省庁、試合や練習会場のある自治体、宿泊施設、空港、航空会社など関係者の皆様のご理解と多大なご支援をいただいた。この場を借りてあらためて厚く御礼を申し上げたい」と感謝を伝えた上で、新型コロナ禍で行う国際試合の難しさをつづった。

 今回の代表活動では、海外からチームに合流した選手の他、対戦した韓国・モンゴル・アルゼンチンの選手・スタッフの待機期間が免除される特例措置が認められなければ、国際試合を行うことができなかった。「手前味噌になるが、日本サッカー協会(JFA)の職員たちが関係各方面との折衝に大いに奮闘してくれ、幸いにも今回は日本政府から特例が認められた」と職員の奮闘を称えた反町氏は「万全を期して我々が用意したプロトコルは相当に厳格なものだったが、活動に関わったすべての人がそれを順守してくれたおかげで、なんとか無事に終わらせることができた」と振り返った。

 また「中でも一番大変だったのは選手だったと思う」と指摘した。

「一般社会から隔絶された、いわゆる「バブル」と呼ばれる環境の中で彼らは毎日を過ごした。動線は一般の人と完全に切り離されていたので、チームと行動をともにした私も選手宿舎となったホテルの舞台裏にずいぶんと詳しくなった。即戦力としてホテルでバイトができるのではないかと思ったくらい」。

「ホテルの出入りは従業員用や荷物の搬入口を使い、エレベーターも非常用のものを利用した。部屋の掃除は3日に1回くらいにしてハウスキーパーと極力接触しないように努め、替えのタオルや歯ブラシは所定の場所から自分でピックアップ。合宿中はほぼ毎日、新型コロナウイルスの検査を受けた。食事も海外組と国内組は別々。時間をずらし、場所もパーテーションを立てて分け、黙食も徹底。万が一、感染者が出ても、可能な限り、濃厚接触者を抑えられるように。宿舎と練習・試合会場の移動は公共交通機関を一切使わず、貸し切りバスで移動。バスの運転手さんも検査対象とした」

 感染拡大防止対策を仔細に述べた反町氏は「日本の選手は本当に真面目で『黙食をお願いします』と頼めば、本当に黙食する。たまには外の空気を吸いたくなるだろうに、バブルの中での単調な毎日にじっと耐えてくれた」と選手たちを労う言葉もつづった。

 その他、反町氏は国際試合4試合の所感を述べつつ、日韓戦については「我々のスタンスは『強い相手とやらないと真の強化にならない』ということなので、エースのソン・フンミンの不参加は残念だった。韓国のチーム関係者によると、これまで日本で試合をしたことがないソン自身も今回の日韓戦を非常に楽しみにしていたという」というエピソードも明かした。

 また五輪代表活動については「あくまでも技術委員長としての所感を述べれば、東京オリンピック本番で試合巧者になるために、オーバーエージ(OA)は必要だなとも感じた」との見解も。「吉田麻也(サンプドリア)なんかはオーラが全然違った」と名指しでA代表主将の名前を挙げ、MF守田英正とともにチャーター機で帰国したことに触れつつ「そういう周りのサポートに、この二人も意気に感じることが多々あったのだろう。特に吉田は試合前からチームの士気を盛り上げ、快勝に一役買ってくれた」と称えた。

 全文は日本サッカー協会公式サイト(https://www.jfa.jp/about_jfa/sorimachi_column/news/00026815/)で読むことができる。

●カタールW杯アジア2次予選特集ページ
●東京オリンピック(東京五輪)特集ページ

TOP