[4.27 関東高校大会埼玉県予選準決勝 浦和西高 1-1(PK4-5)武南高]

　関東大会には手が届かなかったが、思いをぶつけた。浦和西高は主将のFW山本海翔(3年)が後半ラストプレーで執念の同点ゴール。CB珍田知輝(3年)のクロスバー直撃ヘッドのこぼれ球をゴールへねじ込んだ。「周りの支えで獲れました。(ゴールは)どこにこぼれて来るかなと思っていたら、たまたま来たので。狙っていました」。関東大会予選3得点目となるゴールで敗戦目前のチームを救った。

　山本は怪我による約5か月の離脱から今大会直前に復帰。外側から見てきたチームに対し、変化させたいと感じる部分があったという。復帰後は意識してチームに伝え、「精神面とかコミュニケーションのところで変化させられた」と頷いた。この日もまとまりの良い戦い。復帰した主将はチームにプラスアルファをもたらした。

　山本は1年時のリーグ戦でCB、2年時の選手権予選はボランチ。今大会はFW起用された。この日は交代出場でチームを加速。「(市原雄心)監督からも『途中出場する選手は良いスパイスになるように』と指示してもらっていました。何か刺激を与えて、彼らのプレーを加速させるようなことを意識していました」

　前線でボールを収めてスピードのあるサイドを活用。声で仲間を動かし、身体を張ってチームを勝利へ導くリーダーは、プレー面でもチームに好影響を与え、離脱中の悔しい思いをゴールで表現した。市原監督も「期待に応えてくれました。彼が戻ってきたのはプラス材料」。これから、よりコンディションを上げて、よりチームの勝利に貢献する。

　PK戦の敗戦について、「きょうは悔しいですね。去年は関東大会もできなかったじゃないですか。色々な人の支えで大会ができていることはありがたいことですし。これからどうなっていくか分からないですけれども、こうやって大会が開催されるにあたって応援してくれる選手、指導者、親御さんに支えられての大会だったので悔しいですね」と唇を噛んだ。そして、「感謝しつつ、今後の大会ではもっと上を目指していきたい」と宣言。仲間たちとともに浦和西を成長させて「もっと上」の目標を達成する。

(取材・文　吉田太郎)