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[MOM3447]実践学園MF村田拓己(3年)_心に刻まれたチームメイトの笑顔。献身的なドリブラーが決勝ゴール!

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実践学園高のドリブラー、MF村田拓己は献身性も併せ持つ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.3 関東高校大会東京都予選準決勝 実践学園高 1-0 成立学園高]

 ゴールを決めた瞬間。ラインの外で待つチームメイトの姿が、視界に飛び込んでくる。「興奮して、すぐにベンチに走っていった感じです。みんなが手を広げて、笑顔で待っている姿が凄く良い景色で、嬉しかったですね」。実践学園高に関東大会出場権をもたらす決勝弾を奪ったMF村田拓己(3年=Forza'02出身)は、気付けばベンチの方向に駆け出していた。

 80人近い選手が揃う、今年の実践学園サッカー部の3年生。仲の良さには定評のある世代だが、収まる気配を見せない新型コロナウイルスの感染防止対策として、公式戦とはいってもメンバー外の選手たちは、会場を訪れることも許されない。

「この状況で会場に来られない人もいて、ここで試合を見ることもできない中で、それぞれの場所で応援してくれているというのを聞いて、メンバーのみんなもその想いを胸に戦いました」と村田。勝てば関東大会への出場が決まる一戦というシチュエーションも相まって、いつも以上に気合を入れてピッチに飛び出す。

 35分。劣勢の状況で、「自分たちはカウンターを武器にしてやっているので、その1本というのをしっかり走り切ることを心に決めてやっています」と語る村田に、千載一遇のチャンスが到来する。サイドでボールを持ったMF丁大修(3年)へのサポートからパスを引き出し、中央のFW清水大輔(3年)と綺麗なワンツーでさらに前へ。

「大輔との連携は練習からやっていたことで、それがうまく行って、あとは自分のスピードに乗ったドリブルは武器としているので、1回縦に抜いていって、その後に左に行ったらコースが見えました」。左足で振り切ったシュートは、見えたコースをそのまま辿ってゴールネットへ収まる。その後は冒頭の通り。ベンチへと一目散に走り出し、笑顔のチームメイトの輪へ勢い良く飛び込む。結果的にこのゴールが決勝点。緊迫した試合を1-0で制した実践学園は、関東大会を戦う東京都の代表権を見事に勝ち獲った。

 決勝ゴールの際にも見せたスピード感あふれるドリブルが目を惹くが、実践学園のベースでもある守備面での貢献も当然重要なタスク。「カウンターの時のスピードに乗ったドリブルだったり、中央突破は自分の武器としながら、中盤での運動量を生かして、守備でも走ったりして、チームに貢献していきたいので、自分は攻撃でしっかり点を決める仕事をする人たちと、後ろでしっかり守ってくれる人たちがいる中で、どっちもサポートして助けられるように、グラウンドを走ることが自分の役割だと思います」。常に走り続けるスタイルを極めるべく、日々のトレーニングにも全力で取り組んでいる。

 今年の目標を問うと、力強い答えが返ってくる。「先輩方がコロナウイルスの影響でチャレンジできなかった悔しい想いがあるので、そういうものを胸に、自分たちが歴史を塗り替えてやるという想いは強いです。僕たちは全国ベスト4という目標を掲げて1年生からずっとやってきているので、みんなで同じ方向を向いて頑張っていきます」。

 攻守に走れる献身的なドリブラー。村田はこの日のようにチームメイトたちへ笑顔をもたらすため、これからもピッチを縦横無尽に駆け回る。

(取材・文 土屋雅史)

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