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28年ロス五輪世代のU-16日本代表候補が強豪と2連戦。第1試合は藤枝明誠と2-2ドロー

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U-16日本代表候補の189cmFW磯崎麻玖(大宮U15)は勝ち越しゴールを決めた

[5.12 練習試合 U-16日本代表候補 2-2 藤枝明誠高]

 05年生まれ以降で構成されたU-16日本代表候補は静岡合宿3日目の12日、ともにプリンスリーグ東海に所属する藤枝明誠高(静岡、20年度選手権16強)、JFAアカデミー福島U-18と練習試合を行った。藤枝明誠と対戦した第1試合はMF宮原勇太(興國高)とFW磯崎麻玖(大宮U15)のゴールによって2度リードを奪ったものの、終了間際に追いつかれ、2-2で引き分けている。

 05年生まれはロサンゼルス五輪が開催される28年に23歳となる世代。合宿冒頭、森山佳郎監督から選手には「(28年五輪の)一番上の世代だから」と説明があったという。普段であれば、国内合宿や海外遠征で強化できるところだが、コロナ禍によってこの世代は「活動が2回目、海外経験ゼロ」(森山監督)という状況だ。その中で彼らの成長を加速させるべく、この日は高校3年生を中心とした強豪のAチームと対戦。高校1年生がほとんどで、8人の06年生まれ世代も加わっているU-16代表候補にとって、貴重な経験となった。

 第1試合で対戦した藤枝明誠は前線のキーマンであるFW李渡玭が怪我によって不在。また、注目DF増田七翔主将が長期離脱からの復帰直後で先発を外れていた。だが、CB野口楓真やMF渡辺翔太ら主軸が先発した相手の細かな技術力の高さ、奪い返しの速さにU-16代表候補は苦戦を強いられた。

 奪ったあとのパスを2本、3本と正確に繋ぐ藤枝明誠に押し返され、サイドから崩されてピンチも。ただし、U-16代表候補はCB松本遥翔(JFAアカデミー福島U-15)らが踏ん張る。また、FW小田晄平(昌平高)の奪い返しからゲーム主将のFW後藤啓介(磐田U-18)が決定的なシュートを放ち、MF幸喜祐心(琉球U-18)とMF森一琉(鳥栖U-18)のダブルボランチが落ち着いてボールコントロールして速攻に繋げたりしていた。

 そして、左サイドの宮原が徐々に目立ち出す。強度の高いゲームでも足技を駆使し、チャンスを創出。そして後半9分、左SB早川隼平(浦和ユース)の折り返しを狙うと、一度ブロックされながらもゴールへねじ込み、先制点を挙げた。

 藤枝明誠は21分、抜け出したMF矢萩大雅のシュートがGK嶋田晄樹(鹿島ユース)を弾いてポスト。だが、26分、198cmMF木吹翔太(JFAアカデミー福島U-15)の前進を止めた藤枝明誠は、矢萩の仕掛けからMF香川太朗が1タッチでゴールを破って同点に追いつく。

 だが、U-16代表候補は32分、自陣でボールを奪うと木吹が左サイドへ展開。エネルギッシュな動きを見せていたMF鈴木陽人(名古屋U-18)が縦へ運んでからPAへボールを配給すると、189cmFW磯崎麻玖(大宮U15)が左足で勝ち越しゴールを奪った。勝利に大きく近づいたU-16代表候補だったが、終了間際に交代出場の藤枝明誠CB増田に突破を許し、PKを献上。これを増田に決められて2-2の引き分けに持ち込まれた。

 前日は「成長の角度を変えるためにここに来たので。2部練習で2回しっかりやりたいということで大分練習しました」(森山監督)。12日の練習試合のための練習ではなく、先を見据えて強化に取り組んだ。そのため、疲れもある中での練習試合となったが、最後までやり切ることを求められた選手たちはハードワークを貫いた。

 21年U-17ワールドカップが中止となったことで、05年生まれ世代は世界で戦うチャンスの一つがなくなった。コロナ禍によって貴重な国際経験の機会が昨年、今年と失われている。それでも、関係者たちの協力によって開催された今回の合宿から、可能な限りの強化を続け、将来の飛躍へ。「かなり集中力も高いし、意欲的で、特徴あるやつもいる」(森山監督)という“ロス五輪世代”は逆境を力に成長を続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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