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ドリブル突破とスピードは「樺山よりも……」。興國の1年生10番MF宮原勇太がU-16代表候補の先制点奪取!

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U-16日本代表候補の注目アタッカー、MF宮原勇太(興國高)が先制ゴール

[5.12 練習試合 U-16日本代表候補 2-2 藤枝明誠高]

 今年、J1の横浜F・マリノスに4選手、さらにツエーゲン金沢にも1選手を送り出した興國高(大阪)。近年、立て続けにプロ選手を輩出している“育成軍団”の新10番を背負っている1年生MF宮原勇太が、U-16日本代表候補合宿で結果を残した。

 藤枝明誠高(静岡)戦の後半9分、左SB早川隼平(浦和ユース)の折り返しを受けると、一度はシュートブロックされながらも右足でゴールへねじ込んだ。「SBの隼平が試合前に、『必ずマイナスのクロスを見て』と言っていたので。あそこに来るのは分かっていたので、一発で仕留めたかったですけれども、獲れて良かったと思います」。ゴール前で違いを生み出す部分も評価される宮原の一撃が先制点となった。

 その宮原は、幼い頃から徹底して磨いてきたというドリブルでも魅せた。立ち上がりからボールを持つとドリブルでの仕掛けにチャレンジ。ゴールへ向かってシュートに持ち込むだけでなく、ファーストDFをかわしてからのパスでチャンスの起点になり、左サイドから鋭く切れ込んでラストパスを配給した。

 止まった状態からでもわずかなフェイントでDFの重心をズラして振り切ってしまう。特に圧倒的なスピードは魅力。この日は2歳年上の強豪チームとの対戦だったが、プリンスリーグ関西で出場を重ねるMFは自分のドリブルやスピードを試合の中で表現し、攻撃の中心になっていた。

 昨年、興國の10番を背負っていたMF樺山諒乃介(現横浜FM)は今季のJ1開幕戦で先発デビュー。突破力を発揮し、ルヴァン杯では公式戦初ゴールも記録した。興國の内野智章監督は新旧10番の1年時について比較し、「ゲームメイクするのは樺山の方が上だと思います。(だが)樺山よりもドリブル突破とスピードは(宮原の方が)上ですね。樺山本人も宮原の方が上だって認めてます。めちゃくちゃ足速いです」と説明。RIP ACE(大阪)に在籍していた中学3年時に横浜FMへ練習参加した注目の才能・宮原は、U-16日本代表候補でも自分の武器で存在感を示している。

 だが、宮原は「他の選手よりも自分の持ち味は出せたと思うんですけれども、高3相手でも自分はもっとできないといけないと思うし、興國の10番としても、1点じゃなくて3点獲れるレベルじゃないといけない。もっと練習しなければダメだと思いました」と首を振る。進化に貪欲だ。

 今回の合宿中には、ミーティング後の森山佳郎監督の下へ単独で向かい、「どうやったら上(年代の代表チーム)に上がれるのか」直球質問。指揮官は「本当にそうしたいんだなと」感じたという。森山監督からはドリブルを認められた一方、守備の強度などをより求められた。

 同じU-16世代のMF橋本陸斗(東京Vユース)がトップデビューを果たし、FW貴田遼河(名古屋U-18)やDF舩木大輔(横浜FMユース)が上の世代の代表チームでプレーしている。「高いレベルでないと成長しないと思う」と語るMFは、自分もアピールを続けてより成長するための場所を勝ち取る考えだ。横浜FMへの練習参加でフィジカル面強化の必要性を感じ、体重も意識的に増加。「世界に出るのは当たり前だと思っています」と言い切る興國の新たな才能が、世界へ視線を向けながら日常に取り組む。

(取材・文 吉田太郎)

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