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[関東]覚悟と決意のラストイヤー。順天堂大MF白井海斗は「去年の自分を超える」

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覚悟と決意の1年に臨む、順天堂大のMF白井海斗(4年)

[5.15 関東大学L1部第6節 順天堂大3-1法政大 東金]

 ここ2試合で3ゴールという確かな結果を出して、チームの連勝に貢献したものの、これで満足するつもりなど、さらさらない。「今年はこのチームでやる最後の1年になりますし、集大成でもあるので、今までで一番結果を出さないといけない年だと思っています。ここから全部勝つくらいの気持ちでやっていけば、自ずと自分もチームも結果が出ると思うので、強い想いで今年を戦っていきたいです」。順天堂大の攻撃を牽引するMF白井海斗(4年=清水桜が丘高)は今、決意の1年に全力で臨んでいる。

 前半からボールが入ると、雰囲気はあった。ようやくシーズン初勝利を収めた前節に続き、少しでも勝ち点を積み上げていきたい今節の法政大戦。左サイドで白井が前を向くと、何かが起きそうな空気感が漂う。だが、押し気味にゲームを進めていたチームは前半29分に先制点を許し、1点のビハインドで最初の45分間を終える。

 後半も攻勢を強めながら、決定機を作り切れない嫌な流れの中で、MF小林里駆(2年=FC東京U-18)がPKで同点弾を沈めると、主役に見せ場が訪れたのは29分。左サイドでボールを持つと、視界が一気に開ける。「里駆が同点ゴールを決めてくれて、良い雰囲気の中で自分がスローインの流れから受けて、ゴールを見て狙ったというよりは、もう思いきり打った感じでした」というミドルシュートは、完璧な軌道を描いてゴールネットに突き刺さる。

「拓殖戦の時もカットインからファーサイドにゴールを決められていて、その良いイメージがあったからこそ、今日も打とうと思ったのかなと。自分でもビックリしています(笑) 最近ああいうゴールが結構入るので、運なのか何なのかわからないですけど、とりあえず良かったです」。ガッツポーズにも気持ちが籠もる。終盤にも追加点を挙げた順天堂大は3-1で勝ち切り、2試合続けての白星を手繰り寄せた。

「今日も4年生がスタメンで4人出ていたんですけど、自分たちが中心となって声を掛けて鼓舞することで、集中力も切れなかったり、最後まで足が止まらなかったりするのは凄く大きいと思うので、最近は“声”の所も意識しています」。プレーのみならず、メンタル面でもチームを牽引する意識が高まっている白井だが、自身でも転機だと捉えている試合が昨シーズンにあった。

 11月に行われた、関東大学リーグ1部第18節の早稲田大戦。それまでなかなか結果を残せていなかった白井は、教育実習を終え、復帰してすぐのゲームにスタメン起用されると、いきなり2ゴールを叩き込み、5-0という快勝の立役者に。すると、定位置を掴んだラスト5節で4得点を記録してしまう。

「なかなか試合に出られなかった時に、『チャンスが来たら絶対に結果を出してやろう』とずっと思っていて、去年の後期の早稲田戦で結果を出したことによって自分に自信も付いてきて、どんどん積極性も出てきたと思うので、その時期ぐらいからプレーも良くなっているんじゃないかなと思います」。今は確固たる自信を携えて、伝統のユニフォームに袖を通している。

 清水エスパルスジュニアユース時代に発覚した心臓の持病のため、ユース昇格を断念した過去もあり、現在もプロ志望ではあるものの、今後の進路は不透明だという。「もちろんサッカーはやりたいですけど、やれる環境が日本にないとなったら海外に行くかもしれないですし、もしかしたら海外でも上を目指すレベルではやれない可能性もありますし、そうなった場合は就職という形にはなると思うので、3月末ぐらいから就職活動もしながら練習をやっていて、いろいろな事態を想定している感じです」。それゆえに、まずは目の前の1年を全力でやり抜きたいという意志は、誰よりも強い。

「去年はリーグ戦で後期から出て5点で終わってしまったので、まずは得点で去年の結果を超えることと、ゴールだけではなくて、自分が基点になってのアシストもそうですし、チームの得点全部に絡めるぐらいのパフォーマンスを出して、『去年の自分を超える』ということを目標にしてやっています」。

「中学の時もユースに上がれないということが現実的にあったので、プロ入りは厳しい状況かもしれないですけど、だからと言ってサッカーを怠ろうとは思わないですし、結果も出しまくって、『何でアイツがプロに行かないんだ?』って言われるぐらいの結果を出し続けるのが今の自分の目標なので、もしかしたら競技者としてはサッカーから離れる可能性もあるかもしれないですけど、この4年の、大学最後の1年で、自分の全てを出し切って、チームの結果に繋げていきたいなと思っています」。

 サッカーを続けられていることに大きな感謝を抱きつつ、白井は大学ラストイヤーに今までの自分をすべてぶつける覚悟で、これからもピッチに立ち続ける。

(取材・文 土屋雅史)
●第95回関東大学L特集

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