beacon

ゴール前にそびえ立つオレンジの壁。大宮U18DF小澤晴樹は「もっと上」を見据える

このエントリーをはてなブックマークに追加

大宮アルディージャU18のCB小澤晴樹(15番)は自身のゴールに笑顔

[5.16 プレミアリーグEAST第6節 市立船橋 1-4 大宮U18 グラスポ]

 183センチのサイズ以上に、ピッチの中で15番の背中が大きく見える瞬間が増えてきた。期待値は以前から高かったが、その周囲の評価に対して、実力が目に見える形で追い付いてきた感も強い。「プレミアでの全試合フル出場は目標に掲げているので、ケガをしないようにコンディションを整えていきたいですし、ここからはトップチームでのデビューもそうですし、U-18の代表にも選ばれ続けて、U-20ワールドカップにも出場できるように頑張りたいと思います」。大宮アルディージャU18のグラディエーター。DF小澤晴樹(2年=大宮アルディージャU15出身)は力強く、ゴール前にそびえ立つ。

 市立船橋高と対戦したこの日のゲームは、スコアこそ4-1で快勝を収めたものの、後半は押し込まれる時間も長く、やや劣勢を強いられる展開となった。小澤もその45分間を振り返り、反省の弁を口にする。「1つ引いて守ろうとしたんですけど、センターバックと中盤とフォワードで間延びしてしまったので、しっかりブロックを作ってから守備に行けば良かったなと反省しています」。

 また、個人としても課題だと認識している部分に、さらなる反省点を感じていた。「ビルドアップの所が全然まだまだなので、ファーストタッチで一発で止めて、もっと視野を広くして、フリーの選手に付けられるようにしたいです。特に後半は、もっとマイボールにできたら良い流れにできたはずですし、自分たちのリズムでサッカーができたかなというのは感じました」。ビルドアップにはまだまだ向上の余地があると、自身でも感じている。

 ただ、持ち味の空中戦の強さを生かして、チームの4点目を記録。MF阿部来誠(2年)が蹴った右CKに、高い打点のヘディングで応え、ゴールネットに叩き込む。「来誠から良いボールが来て、自分もマークが外せてフリーだったので、決めないとヤバいなというのは感じていました。打った瞬間はちょっとヒヤッとしたんですけど、入って良かったです」。少し左に逸れかけた軌道に肝を冷やしたが、しっかり入ってくれたボールに、安堵の表情を浮かべた。

 5月上旬に行われたU-18日本代表候補合宿にも招集され、レベルの高い周囲のプレーに大きな刺激を受けたという。「代表は強度のレベルが高かったので、アルディージャでもその強度の高さを忘れずにやっていくのは大事だなと思いましたし、1つ1つの基準を上げていかなきゃなというのは感じました。良い経験ができましたし、1個上の代表なんですけど、年齢は関係ないと思うので、もっと上に行けるように頑張っていきたいですね」。

「柏レイソルU-18の升掛友護(3年)くんとは結構話して、あとは自分たちの代の福田師王(神村学園高2年)と植田悠太(京都サンガF.C.U-18 2年)、大川佳風(流通経済大柏高2年)とはよく話していました。普通にサッカーのことも話しますし、しょうもない話もしていました(笑)」と多くの選手と親交を深める中で、同じポジションでプレーした1歳上の“先輩”は、自身の今後を考える上でも1つの基準になった。

「工藤孝太選手(浦和レッズユース3年)は左足の技術も、守備の対応も、全部レベルが高いなと思いました。でも、やっぱり負けたくはないですね」。同じ県内のライバルクラブに所属しており、既にトップチームデビューを飾っているレフティの背中は、これからの大事な指標として捉えている。

 好きな選手はレアル・マドリーのDFセルヒオ・ラモス。「キャプテンシーも凄いですし、センターバックに必要なものをたくさん持っている選手だと感じています」。スペインを代表する闘将に憧れを抱きつつ、さらなるステップアップを虎視眈々と狙っている。

 笑顔はまだ17歳のあどけなさが残るものの、ピッチに立てばその表情は既に戦う男のそれ。小澤がここから重ねていく成長は、アルディージャというクラブにとっても、より重要な部分を占めていくであろうことは間違いない。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2021特集

TOP