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[MOM3458]青森山田MF宇野禅斗(3年)_不満の前半も、流経の前に立ちはだかった“山田のカゼミーロ”

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特に後半、インターセプトを連発した青森山田高MF宇野禅斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.16 プレミアリーグEAST第6節 流通経済大柏高 0-3 青森山田高 流通経済大柏高G]

 特に後半は抜群の存在感を放っていたが、本人的には決して満足の行くパフォーマンスではなかったようだ。前半は得意のボール奪取とセカンドボールの回収、そして展開力も見せていた一方、間延びした中盤を流通経済大柏高(千葉)に活用されて主導権を握られた時間があり、自身のミスパスからシュートを打たれるシーンもあった。

「自分としてはボールを回せる状況でもチームの状況が悪かったり、相手のハイプレスに押し負けるという状況だった」と青森山田高(青森)MF宇野禅斗(3年=青森山田中出身)は振り返る。ビルドアップの際には相手のプレッシングのターゲットとされ、ボール奪取も求められるレベルには到達していなかった。ハーフタイムにはスタッフから苦言を呈されたという。

「正木(昌宣)コーチだったりに言われたのは、自分は1対2や1対3の不利な状況でも勝てる選手、去年は2年生でそのくらいやっていたぞと」。ただし、その言葉に奮起した宇野は「さらに意識してやりました」という後半、相手の前に幾度となく立ちはだかった。

 開始直後に先制してMF松木玖生主将(3年)がサポートしていたこともあり、宇野はアグレッシブに動いて中盤を幅広くカバー。同点に追いつくために前へ出ようとする流経大柏のパスを再三インターセプトし、こぼれ球を拾い続けた。一見届かないような位置でも、鋭いアプローチで追いついてカット。「自分の良さだと思いますし、そこをやらないとチームも回らないと思う」という守備で相手にほとんどチャンスを作らせなかった。

 奪った後の1本のパスやロングボールの質を含めて憧れのMFカゼミーロ(レアル・マドリー)のようなプレー。ただし、「守備の面でも、攻撃の面でも圧倒的に運動量を持ってプレーしていかないといけない」という宇野は、圧倒するまでの運動量を発揮できなかったことを悔しがる。日本高校選抜、U-18日本代表候補を経験し、「色々なスタッフの方と話したり、話を聞いて、自分の見据える先の意識をどんどん変えていかないといけない」というMFは自身に求めるレベルも向上。現在は悩みも持ちながらの日々だ。

 チームに高い要求をする一方、自身は「チームの中で違いを生み出していかないといけない。自分が動いて、自分のプレーで周りにどんどん影響を与えていくようなプレーヤーにならないといけない」。その両方を考えながらプレーすることの難しさを感じ、「壁にぶち当たっている」と苦笑する。ただし、これはより意識が高まっているからこその悩み。その中で考えて、考えて成長し、より目指している姿に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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