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流経大柏は青森山田相手に“やれた”一方で「もったいない」敗戦。期待される3年生の変化

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戦う姿勢を見せていた流通経済大柏高FW渋谷諒太主将

[5.16 プレミアリーグEAST第6節 流通経済大柏高 0-3 青森山田高 流通経済大柏高G]

「もったいない……」

 0-3で青森山田高(青森)に敗れた試合後、流通経済大柏高(千葉)の選手、スタッフからは同じ言葉が発せられた。前半半ば以降は主導権を握り、全勝首位の相手を脅かすようなシーンも作った。ハーフタイムに選手たちは「やれる」という表情でベンチへ。後半に仕留めるつもりだった。

 榎本雅大監督は「やれないと思っていなかったので。ある程度、前半の戦い方を後半やれればと」。だが、後半4分、ハイサイドへ送られた相手のスローインへの対応が中途半端になってしまい、簡単にクロスを上げられるとファーサイドで合わせられて失点。些細なところから失った1点のダメージは大きかった。

 この日、左サイドで起用されて存在感を放ったFW川畑優翔(3年)が惜しいシュートを放つシーンもあったが、後半のシュートはこの1本のみ。チャンスで確実に1点を奪い取る強さ、メンタリティーも青森山田の方が一枚上だった。

 19分、敵陣でのボールロストからスルーパス1本で背後を取られてPKを献上。2点目を奪われると、取り戻そうとする気持ちを十分に表現できない。怪我明けの“精神的支柱”FW渋谷諒太主将(3年)とMF松本洋汰(3年)が交代した終盤も意地を見せることができず、CKから“もったいない”3点目を奪われて0-3で大一番を終えた。

 現在、高校サッカー界をリードする存在の青森山田との決戦。プライドをかけて自分たちが止めるつもりだった。渋谷は、「最初、『相手を過大評価しない』とみんなに言っていました。同じ高校生だし、やること変わらないので。でも受け身になってしまった」と首を振る。立ち上がりから、“かかり気味”だったチームはいつも以上に運動量、スプリント本数が増えてしまい、それも後半の失速の要因になってしまった。

 川畑のキープ力やCB田口空我(3年)の高さ、渋谷の突破など個人、チームとしてもやれる部分は十分にあった。渋谷は「凄い差があるとは感じないし、前半の終わりは自分たちの方ができたという自信があります」と頷く。

 その一方で、「ちょっとした差が全部に置いて本当に一歩上だなと。守備面でもルーズボールの差とか攻撃の質とかやり切るところとかリスペクトしないといけない」と青森山田の強さを認めていた。

 そして、渋谷が加えたのはメンタル面について。「技術面もそうですけれども、一人ひとりの個のメンタルの強さが出てしまったと思うので、自分は特に3年生がもっと貪欲にやって欲しいと思いました。もっと3年が一瞬一瞬の重みを持って戦って欲しい。僕が言うのもなんなんですけれども、全員がキャプテンという気持ちでやって欲しい」と指摘する。

 榎本監督も苦しい展開でチームを奮い立たせるような声やプレーがなかったことを残念がった。「3年マジメなんだけど。やっぱり肝心な時にまだ頼りない。突き抜けてこないと、(まずまずのプレーはできても)活躍まではいかない」。この敗戦を変わるきっかけにできるか。

 次戦は宿敵・市立船橋高(千葉)戦。渋谷は「ちょうどダービーですし、変わるチャンスかなと」と期待した。リーグ戦は開幕2連勝もその後はいずれも接戦で勝ち切れていない。悪い流れを止めるためにも、次回の青森山田戦でより自信を持って戦うためにも負けられない一戦。悔しい敗戦から少しでも変わって、ライバルを上回る。
 
(取材・文 吉田太郎)
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