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突き付けられた”基準”の高さ。清水ユースMF鈴木奎吾は上手いレフティから、怖いレフティへ

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清水エスパルスユースを束ねるキャプテン、MF鈴木奎吾

[5.23 プレミアリーグEAST第7節 清水ユース 1-3 青森山田 J-STEP]

 少しうつむき加減で言葉を探す表情に、言いようのない悔しさが滲む。「フィジカル面でも、走力でも、球際でも、いろいろな所で劣っていて、自分たちの思っていた基準が、まったく青森山田さんより低かったというのが今日の印象です。戦うという気持ちをチームとして見た時に、全く違うものだったと思います」。清水エスパルスユース(静岡)を束ねるキャプテン。MF鈴木奎吾(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)は新たな“基準”を、確かに自らの身体に刻んでいる。

 全勝対決として注目されていた、青森山田高(青森)との頂上決戦。前半に先制されたものの、後半10分にはエースストライカーのFW千葉寛汰(3年)のゴールで同点に追い付く。FW斉藤柚樹(2年)のフィジカル。MF安藤阿雄依(2年)とMF渡邊啓佳(2年)のドリブル突破。鈴木とMF金子星太(3年)のゲームコントロール。個々で見れば対抗し得る要素は十分披露したが、90分間を終えたスコアは1-3。今シーズンの初黒星を突き付けられる。

「1-1になった時に、自分たちの流れは正直あったと思うんですけど、そこで相手を飲めないというか、そういう力がまだ自分たちにはなかったかなと。2点目を獲られた後にも立て直せなくて、追加点を許す形になってしまったので、踏ん張る力や相手を飲む力が自分たちにはまだなかったと思います」。少しの差が積み重なると、結果として大きな差になることを、キャプテンは痛感していた。

 ただ、5月の時点でこの“基準”を知ったことは、もちろんポジティブな要素でもある。「流経戦のようにシュート数を見たら断然の違いがあった中でも、今日もまたシュート数だけ見ると3対16という形になったので、流経戦で出た課題に自分たちは取り組んでいたつもりだったんですけど、その基準が低かったとわかりました」。

「また来週の練習からその基準を上げられるように、チーム全体で共通意識を持って、頑張っていきたいですし、そこはプラスに捉えられる部分もあるので、チームとしても、個人としても、レベルを全体として底上げできれば、次にやる時までにはもっともっと戦えるチームになると思います」。11月に控えるリターンマッチまでに、チームとしても、個人としても、さらなる成長を期す決意も定まっている。

 開幕5連勝は十分に誇れる成果。ただ、鈴木は自身の出来にもまだまだ満足はしていない。「試合の流れを作るという部分では悪くないですけど、チームの勝利に貢献できる得点だったり、アシストの部分では貢献できていないので、目に見える結果を残して、チームの勝利に貢献できれば、もっと怖い選手になれると思います」。

 左足には覚えあり。その武器に対するこだわりも人一倍強い。「小さい頃からずっと左足しか使ってきていないので、右足を使えないというのは良くないかもしれないですけど、その分も左足だけでも魅せられるようなプレーをしたいですし、それをできる力は持っていると考えています。でも、まだまだ今日みたいに、そこを見せられない部分もあったので、もっといいレフティになれるように頑張っていきたいです」。この世代の王国を牽引してきた自負を抱えつつ、格の違いを見せられるレベルまで自分を到達させていく。

 背負った“25番”という大きな数字には、2つの意味が込められている。「(ユースの先輩の)市川大祐さんの番号というのも意識していますし、セルティック時代の中村俊輔選手も意識して、去年自分で選んだ25番を今年も付けさせてもらいました。中村俊輔選手並みのフリーキックを蹴れるように日々努力していますし、そこからゴールを獲れるように頑張っていきたいです」。

 上手いレフティから、怖いレフティへ。改めて体感した確かな“基準”を見据えて、鈴木は絶対的な存在への階段を、25番と共に登っていく。

(取材・文 土屋雅史)
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