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ビジャレアルを最も小さな町の欧州王者としたロッチ会長「1部昇格から23年と2日…。とても、とても幸せだ」

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 26日に行われたヨーロッパリーグ(EL)決勝、ビジャレアルマンチェスター・ユナイテッドは1-1のドローで終了し、PK戦11対10でビジャレアルがクラブ史上初のタイトルを獲得した。フェルナンド・ロッチ会長は、この優勝に感無量といった様子だ。

 バレンシア州にある人口5万1000人の田舎町ビラ=レアル。その町のリーガ2部に所属する質素なクラブだったビジャレアルは、ロッチ会長の到着によって大きな変化を迎えた。スペイン屈指の実業家一族の人間で、世界有数のセラミック会社のオーナーを務める同会長は、ビジャレアルをリーガ1部昇格に導いたのを皮切りに、リーガ1部上位やチャンピオンズリーグ準決勝に進出させるなどの偉業を達成。ロッチ会長は下部組織の徹底的な強化も施し(ビジャレアルはそのおかげで人口に対するフットボール・コート数が欧州で一番多い)、さらにクラブが一度リーガ2部に降格した際には、身銭を切って財政の改善に努める熱の入れようを見せてきた。

 そうして迎えた史上初の決勝の舞台、ロッチ会長は新型コロナウイルスに感染していた影響で試合に立ち会うことができず。ビラ=レアルからこの一戦を見届けることになったが、しかし悲願の初タイトルを獲得した事実は変わらない。22選手がキッカーを務める異例のPK戦を制したビジャレアルは、1988年にカップウィナーズカップを制したベルギーのメヘレンを超えて、人口が最も少ない町の欧州カップ王者となったのだった。

 試合後、スペイン『モビスタール・プルス』とのインタビューに応じたロッチ会長は、まず現地に赴けなかった失望を漏らし、その後に優勝への大きな喜びを表している。

「どんな気分だったか? 恐ろしかったよ。私はコロナの検査で陰性となったが、UEFAの基準では試合を見届けられないということだった。私がチームを落ち着かせたかったのだがね。妻と一緒に、遠い場所から苦しまなければならなかった」

「今日、私は2回検査を受け、陰性となった。しかしUEFAの基準があり、それを順守する以外のことができなかったんだ。とはいえ、本当に素晴らしい勝利だ。とても、とても、とても幸せだよ。巨大な喜びを噛み締めることができた」

「人生で一番幸せかって? これまでだって、とても美しい日はあったさ。しかしフットボールというテーマでは大きな飛躍だ。もちろん、財政的にもね。リーガ1部昇格から、23年と2日目にこんなことが起こった。私たちは5回目で準決勝を突破して、決勝に勝利したんだよ」

 ビジャレアルはこのヨーロッパリーグ優勝によって、アトレティコ・マドリー、レアル・マドリー、バルセロナ、セビージャに続き来季チャンピオンズリーグでプレーする5番目のスペイン勢となった。

「来季チャンピオンズは大きな助けとなるか? 今現在、経済は上向いているとは言えない。しかし私たちは財政的に良好であり、チャンピオンズ出場権があればさらなる後押しとなるだろう」

 ロッチ会長は、ポーランドから帰国するチームを出迎える考えのようだ。

「空港で彼らを迎える。行かなくてはならない。一番抱擁したい人物? 全員だ。私の息子(クラブCEO)はもちろんのこと、全員だ。飛行機まで抱きしめたい気分だよ」

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