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ど迫力の戦いを見逃すな! Santen ブラサカグランプリ 2021は30日開幕、石川直宏氏を虜にした“魅力”とは?

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今大会の応援リーダーを務める石川直宏

 約1年半ぶりのブラインドサッカー国際大会となる「Santen IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 2021 in 品川」は5月30日に東京都・品川で開幕。一週間に及ぶ熱い戦いは、コロナ禍で無観客での開催となったが、オンライン上の全試合ライブ配信が決定したことで気軽に楽しめる形にもなった。

 出場国は日本(世界ランク12位)、アルゼンチン(1位)、スペイン(3位)、タイ(13位)、フランス(14位)の5か国。総当たり戦のグループリーグを行い、決勝トーナメントではグループ1位と2位が決勝を、3位と4位が3位決定戦を行う。日本は今月30日の初戦でフランス、31日の第2戦でタイ、6月1日の第3戦でスペイン、3日の第4戦でアルゼンチンと相まみえる。

 ブラインドサッカーをまったく知らない人もいれば、迫力あるスポーツと知っている人もいる。一試合を通して観れば面白さがわかるというが、今大会は大きなきっかけになるはずだ。元サッカー日本代表・石川直宏氏も、オンライン配信を観戦したことがきっかけで、ブラインドサッカーの魅力を知った一人。今大会の応援リーダーを務める同氏に、競技の魅力や注目選手、そして大会の意義を聞いた。

ブラインドサッカー日本代表

──ブラインドサッカーとのつながりができたきっかけは何でしょうか。
「膝の手術で入院していたときに、観戦したのがきっかけなんです。オンラインで観ていたんですけど、目が見えない選手たちのプレーを観て、衝撃を受けました」

──そこで競技の魅力にハマった。
「自分も入院中で手術もしているし、しっかり怪我を治して復帰しなければならない という状況。マインド的に落ち込んでいる時期だったんですけど、勇気を持ってチャレンジしている選手たちを見て、負けてらんねえわっていう心が生まれたんです」

──オンラインで初観戦したときの印象を教えてください。
「単純に驚きました。選手たちは見えているんじゃないかというくらいの感覚で普通にプレーしている。その中で得点が入ったときの感動はすごく共感できました」

──サッカー選手として凄さがわかった部分も。
「僕自身もドリブラーで、カットインからのフィニッシュをよくやっていました。ブラインドサッカーでも、最初ドリブルがゴールに向かっていない状況で、そこから角度を変えてククッてカットインしてシュートを打つ。ボールタッチを細かくして進んでいくんですけど、角度を変えてゴールに吸い寄せられていくというか。そういうシーンは力が入りますね。そこからフィニッシュってすごく難しい。ゴールは本当に特別な瞬間ですね」

──実際にブラインドサッカーを体験されたこともあるんですね。
「選手が簡単にやっているので、僕もサッカーをやっているし、足下の技術なら……と思ってアイマスクをつけてやってみたんですけど、すべてが別次元。感覚的には視覚って大事ですけど、それが閉ざされた中で、声とボールから鳴る鈴の音だけを頼りにプレーする恐怖は驚きでした」

石川直宏氏が語る

──サッカーとはまた感覚が違う。
「実際にアイマスクを着けると、感覚が研ぎ澄まされるというんですかね……音と空間認知で、自分がどの位置にいて、どういった状況なのかをイメージしなくてはいけない。一番難しかったのは、ドリブルしている相手に寄せる、その距離感ですね。あと声掛けが大事で、GKだったり、ガイドの方々の声だったり、試合中だと監督の声もですけど、そういった声が本当に頼りになる。そういった一つひとつの感覚が研ぎ澄まされるところがひとつ魅力ですね」

──トップレベルの選手たちはその感覚に慣れているんでしょうか。
「慣れながらとは言っていますけど常に怖さはあるでしょうし、試合を観ていても、高レベルになればなるほど、そういった激しさは増します。普通に走っている中でドカンとぶつかるときがあるんですよ。人に対しても、両サイドにある壁に対しても、ハードにぶつかる迫力はすごいです」

──その迫力は画面を通じて伝わりそうですね。
「コロナ禍のサッカーの試合では、選手の声が聞こえたり、ボールの音、ぶつかり合う音が聞こえて、新たな魅力を感じたというサポーターの声が多くありました。そもそもブラインドサッカーでは選手のプレーのために試合中に観客は声を出せない。コミュニケーションの声や、壁とかボールとか人にぶつかる音が聞こえるくらい静かな状況で、ゴールが入った瞬間に歓声が出る。そこを体感できるのは、また魅力のひとつですね。今回お客さんは入れないですが、手に汗握る臨場感は味わえるはずです」

──日本代表の注目選手を教えてください。
「エースの川村怜選手は注目です。あと、ドリブラーの黒田智成選手。黒田選手のドリブルはワクワクしますね。グッとカットインしてくるので、見てほしいです。膝を怪我されていたことがあって、僕もそうだったのでそこにも親近感があるんです。“膝友”と呼ばせてもらっています(笑)」

エースの川村怜

「あと、寺西一選手はまさにムードメーカー。僕も前回のワールドグランプリを観に行ったときに、ハジくんが入ったときの空気感が変わるところを現地で感じました。なんか応援したくなる選手のひとりというか。もちろん交流があるので、彼のストーリーとかキャラクターは知っているんですけど、ああいう選手がチームにいるかいないかは大きな違いになる。ハジくんにも活躍してほしいです」

──ムードメーカーはチームにどのような影響をもたらすんでしょう。
「どの組織にもムードメーカーは大事だと思います。色んなキャラクターがいることで、組織はグッと強くなる。高いレベルの試合ってすごく張り詰めた緊張感があるんですけど、ムードメーカーがいることでリラックスできるような雰囲気が作れたり。ハジくんは試合に出ても結果が出せる選手。頼りになる選手なので、彼が入ってくる空気感を味わってもらいたいです」

大会に向けて合宿を行う日本代表

──今大会は一週間での短期決戦です。
「試合を観戦すれば、その後またすぐ観たくなる。次の結果が気になります。選手やスタッフにはハードな日程ですけど、短期で行う価値として、観ている人々にはその熱が伝わり続ける。そういった一週間になってほしいですし、一緒にその熱を帯びたいですね」

──アテネ五輪出場の経験から、短期決戦のコツはありますか?
「一番は自分たちを信じることですかね。本当に色んなことが起こりえるんですよ。アテネの仲間とも今では笑って話したりしますけど(笑)。想定外をも想定内にできる準備とマインド。自分たちを信じることですね。ひとつをきっかけにブレてしまうチームだと勝ち残れないですし、そこからどう自分たちの力に変えていって、結果につなげられるかだと思います」

──フランスとの初戦が大事ですね。
「初戦はめちゃくちゃ大事です。緊張していますし、独特な雰囲気だと思うんですけど、この状況で戦える喜びを表してくれるんじゃないかなと。そういう姿に期待していますし、みんなの期待がその試合に乗っかって、それを感じてプレーしてくれる選手たちがいるはずです。フランスといえば、オリンピックのU-24日本代表も同じグループで対戦しますね。前哨戦としてぜひ勝ってもらって、U-24日本代表にも刺激を与えてほしいです」

激しく競り合う場面も

──コロナ禍が続く中での開催。大会の意義を教えてください。
「開催に向けて、多くの方のご尽力があって準備が進んでいます。感染対策も含めて色んな準備が必要となる中での開催は、オリンピック・パラリンピックにもひとつの指標にはなるとは思います。ただ、何よりもこの大会をまず成功させること。それこそがひとつの意味、意義だとも思います。目の前の課題や取り組みを全力でやっていくことが今後につながる。それでこの先の見通しができれば、振り返ったときに意義があったと感じてもらえると思うんです」

「このご時勢で、できないできないっていうものが多くある中、できないものからできるようにしていくためには何が必要なのか。とことん考えて、取り組んで、みんなに協力していくことこそに、大きな意味がある。その力になりたいと思っていますし、そういった発信は反響が大きいと思います」

──そのためには勝利も必要ですね。
「もちろんです。勝つことがすべてではないですけど、勝つことによって伝えられることもあります。こういうことを積み重ねていったから勝てたんだ、と一緒に感じたいですよね。日本はそういうチームですし、勝つための戦いをしながら、魅力あるサッカーをしてくれるんじゃないかと思います」

「ボールを蹴るだけじゃなくても、自分ひとりで目の見えない中で活動したり、行動するのは難しいです。近くに声を掛けてくれる仲間がいて感じられる有難さとか、喜びや感動がある。高いレベルでプレーする選手たちが、技術以上に一つひとつの声掛けやつながり、そういった思いをボールに乗せてゴールに向かう。その姿を観てほしいです。見えない中での怖さを乗り越えて戦う姿は、一気に惹きつけられるものがあります。勇敢に、勇気を持って戦う姿を観てほしいですね」

【Youtubeライブ配信一覧はコチラ】

【大会日程】
第1節
5月30日(日)
タイ 10:30 スペイン
【Youtubeライブ配信】

日本 13:00 フランス
【Youtubeライブ配信】

第2節
5月31日(月)
フランス 10:30 アルゼンチン
【Youtubeライブ配信】

タイ 13:00 日本
【Youtubeライブ配信】

第3節
6月1日(火)
アルゼンチン 10:30 タイ
【Youtubeライブ配信】

スペイン 13:00 日本
【Youtubeライブ配信】

第4節
6月3日(木)
スペイン 10:30 フランス
【Youtubeライブ配信】

日本 13:00 アルゼンチン
【Youtubeライブ配信】

第5節
6月4日(金)
フランス 10:30 タイ
【Youtubeライブ配信】

アルゼンチン 13:00 スペイン
【Youtubeライブ配信】

3位決定戦
6月5日(土)
グループ3位 10:30 グループ4位
【Youtubeライブ配信】

決勝
6月5日(土)
グループ1位 13:00 グループ2位
【Youtubeライブ配信】

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