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見えた「ドリブルする道」。初選出のMF中野裕唯がU-15日本代表候補に先制点もたらす

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1本目28分、U-15日本代表候補MF中野裕唯(FC東京U-15深川)が「道が見えた」というドリブルから先制ゴール

[5.27 練習試合 U-15日本代表候補 1-3 鹿島ユース Jヴィレッジスタジアム]

 ゴールへの「道」が見えた。U-15日本代表候補は1本目28分、左サイドでボールを受けたMF中野裕唯(FC東京U-15深川)がマークのDFを剥がしてゴール方向へドリブル。そのままペナルティーアーク近くまでボールを運ぶと、右足を振り抜いた。

 雨でやや軸足を滑らせながらも、インフロントにかけたシュートはポストインゴール。「1枚目かわした瞬間、前にスペースがありました。自分、スピードに自信があるので、敵の前に入り込んで。そうしたら、ドリブルする道が見えたというか、本当に前にスペースがあったので、そこへスピードでかわしてシュートまで行こうと思っていました」。高速ドリブラーはFC東京U-15深川でプレーしている際も、ゴールまでの「道」が見える時があるのだという。

「ドリブルしている時に、顔を上げるとコースが見えて、ここ行ったら結構行けるんじゃないかなとか感じなのはあります」。ジュニアの頃からマーカー、コーンを活用して右足のみ、左足のみ、ダブルタッチなどのドリブル練習を繰り返してきた。現在も毎週水曜日にドリブル練習。劣勢の展開の中、自分の感覚を信じて単騎ゴールへ向かい、ゴールを奪い取った。

 この日はファーストプレーでボールロスト。U-15日本代表候補は全体的にドリブルで仕掛けては奪われるようなシーンの連続だった。中野自身、鹿島ユースのプレッシャーの鋭さを感じていたが、得点場面ではその圧力を感じることなく思い通りにドリブル。「効果が出たと思います」というボールタッチと、「ストロングだと思っています」と言い切るスピードを発揮した。

 廣山望監督は中野について、攻守に置いてのポジショニングの課題について指摘する。実際、28分のゴールシーンまでほとんどボールに絡むことができなかったからだ。「でも、武器があるところを見せてくれました」(廣山監督)。期待通りにスピード、仕掛けという強みを発揮して結果を残したMFを評価していた。

 中野は今回が初の年代別日本代表候補選出。「守備とかの面であまり周りと連動できていないというか、そういうところがまだあるので、次呼ばれた時にみんなと連動できるようにコミュニケーションとってやっていきたい」。合宿中は慣れない生活で自分から行動することができず、仲間たちの後について行くことが増えていたことを反省。よりコミュニケーションを取って、自分の良さと仲間の良さをより引き出して勝利に貢献する。

 FWガレス・ベイル(トッテナム)や現レアル・マドリー監督のMFジネディーヌ・ジダンを憧れの選手として挙げるドリブラーは、世界大会出場への野心も持っている。「まだ今、候補なので。まずは日本代表に選ばれて、そこからどんどん色々な大会に出ていきたいと思っています」。守備やコミュニケーション面の他にもフィジカル、ドリブル、キック精度と本人が感じている課題は多い。初の代表候補合宿で学んだ基準を忘れずに改善し、試合では「ドリブルする道」を抜けてゴールを奪い、またアピールする。

(取材・文 吉田太郎)

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