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[MOM727]駒澤大MF荒木駿太(4年)_祝・鳥栖内定、明大撃破の1G1A

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.29 関東大学L1部第7節 明治0-2駒澤 保土ヶ谷]

 自ら祝砲を打ち上げた。まずは前半12分、MF荒木駿太(4年=長崎総合科学大附高/鳥栖内定)は右サイドで獲得したCKを蹴ると、FW米谷拓海(4年=駒澤大高)の頭に合わせて先制点をアシスト。そして終盤の後半39分には、MF江崎巧朗(4年=ルーテル学院高)から出た浮き球で左サイドを抜け出すと、エリア内で右足に持ち替えて、逆サイドに勢いよく蹴り込んだ。

 駒澤大がリーグ戦で明治大を下すのは、実に11年ぶり。試合前から意識を十分にしていたようで、荒木は「素直に心の底から嬉しかった」と満面の笑みを浮かべると、「得点シーンはオフサイドかと思ったけど、ラインズマンを見たら(旗を)上げていなかったので、きつかったけどスピードを上げて、右足で打てたのが良かったかなと思います」と充実の表情で振り返った。

 プロの世界でも走力で勝負するつもりだ。中学まではあまり走りに自信がなかったというが、高校、大学と走りの練習に定評のある学校に身を置いた。高校時代は名将・小嶺忠敏監督の指導の下、「6キロ走が楽」だと感じるほど、走り込みに精を出した。さらに大学もみっちり走り込みを行う駒大を選択。努力で自らのサッカースタイルを作り上げた。

 進化の過程にある駒大サッカーのキーマンにもなっている。以前はロングボール主体のサッカーを取り入れていたが、19年から元JリーガーでOBの深井正樹コーチを招聘。「蹴るだけじゃなくて、短いボールタッチで早くゴール前に運ぼうというサッカー」(秋田浩一監督)に取り組んでいる。

 そこで急成長をみせているのが荒木だという。「連続プレーができるようになった。90分間動いてくれというのは難しいけど、それに近い頑張りをしてくれている」と絶大な信頼を語った秋田監督は、「あとは点数を取れるようになった。ゴールに行かない選手は怖くない。そこも成長したのかなと思います」と目じりを下げた。

 そんな荒木はいち早く卒業後の進路を決めた。鳥栖からの興味が伝えられたのは昨年12月。帰省していた時に、1月の練習参加の打診を受けた。そしてそのままキャンプにも帯同。その時点で正式オファーはなかったが、チームに戻ってすぐに獲得を打診され、4月に契約書にサインした。

 本人は何より、地元・九州でプロ生活をスタートさせられることに喜びを感じている。「出身が福岡なので、親も鳥栖だったらすぐに見に来れて、喜ぶと思った。それが今できる恩返しだと思った」と笑顔で話す。「(鳥栖は)走るチームだし、プレースタイルが合っている。一緒に内定した4人?連絡はまだ取り合っていないけど、菊地(泰智=流通経済大)は高校選抜でやっていたので、また一緒にやれることになるのは嬉しいです」。

 過去にはFW巻誠一郎やFW赤嶺真吾といった実力者をJリーグに送り込んできた名門だが、近年はやや低調。サッカースタイルの印象もあってか、個人の評価を難しくしているようだ。ただ荒木は「駒大のサッカーと真逆とは思わない」と話す。そして「駒大でやってきたことは絶対にプロでもやっていけると思う」と強調すると、「プロに行っても走力は忘れずにやっていきたい」とプロでも“駒大魂”で戦うことを誓った。
●第95回関東大学L特集

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