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[MOM3468]静岡学園MF古川陽介(3年)_幼馴染の“ピピ”と技磨き合い、静学で10番、No.1ドリブラーへ進化

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静岡学園高の10番を背負う絶対的なテクニシャン、MF古川陽介

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.30 インターハイ静岡県予選準決勝 浜松開誠館高 1-1(PK6-7)静岡学園高 藤枝総合]

 世界で戦うMFに「負けへんというライバル心はあります」。MF古川陽介(3年=京都サンガF.C.U-15出身)は、21年度の静岡学園高の10番を背負う絶対的テクニシャン。絶対の自信を持つドリブルでこの日も存在感を放った。

 1対1の状況ではまず止まらない。1つ、2つとフェイントを入れてDFを剥がし、得意とするスピードに乗ったドリブルで空いたスペースへ切れ込んで行く。そして、急停止して相手の足を止め、また縦、中へと潜り込んでクロス、シュートを狙った。

 浜松開誠館高のディフェンスも鍛えられており、粘り強く食い下がってくる。そして厳しく身体を寄せてきていたが、上手く背中で受け流してキープ。奪われることなく、味方にボールを繋いでいた。

 この日の静岡学園は、浜松開誠館の圧力の前にビルドアップが後ろ向きになってしまうなど思うようなサッカーができた訳ではない。川口修監督は「マン・オブ・ザ・マッチ? いないよ」と厳しかったが、「プレーが良かったのは、古川がドリブルで違いを見せていた」と10番のプレーは評価。それでも本人に満足感は全く無かった。

「自分のドリブルというのは止められる雰囲気はあまりなかったので、自信を持ってやっていたんですけれども、シュート、怖いプレーができなかった。10番背負っているのでシュートとかゴールで助けられたら良かった。満足していません」。PK戦での勝利時には前転をするなど喜んでいたが、すぐに切り替え、10番としてのプライドを口にしていた。

 古川には負けたくないライバルがいる。それは、レアル・マドリー(スペイン)の育成組織に所属する“ピピ”ことMF中井卓大だ。同学年の中井は、アズー滋賀時代のチームメート。「幼馴染で、小1から小5くらいまで一緒にやっていて、刺激をもらっていた」という存在だ。

「(中井は)上手かったです、めっちゃ。タッチが速かったです」。出会った当初から図抜けていたという中井。当時はドリブルのことを全く知らなかったという古川だが、中井と切磋琢磨しながら技術を磨き、自身もチームの中心選手、Jアカデミーから評価される選手へと成長した。

 中井がスペインへ渡った際は「その時はあまり実感というか、凄いというのが分からなくて」。だが、現在は彼が日本はおろか、世界でも注目される存在になっていることを理解している。「(トップチームに練習参加したり、)レアルでどんどん上がっていっている。負けへんというライバル心はあります」と対抗心を口にした。

 静岡学園で2年間以上をかけて磨き上げてきたドリブル。それはライバルにも負けない武器だ。「ドリブルは絶対に誰にも負けへんとやっています。(中井と比較しても)ちょっと違うのかなと思います」と自信を口にする。

 その古川については、J1を含めた複数のJクラブが注目。インターハイ予選後には練習参加する可能性が高そうだ。自分のドリブルでJリーガーたちにチャレンジし、パスやシュート、守備の部分で足りないところを確認する考え。すでにプリンスリーグ東海では4得点を挙げてチームの開幕6連勝に貢献しているが、インターハイでさらに注目度を高める意気込みだ。

 まずは、この日の悔しさもバネにインターハイ予選優勝へ集中。「自分の特長を出して目立っていけたら、またプロの世界で(中井と)出会えたらって」。世界で成長を続けるライバルは、最近も誕生日に連絡したような仲。日本で評価を高め、いつか“ピピ”と同じステージで戦う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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