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飛び級にも臆せずゴールで存在感。U-20日本代表候補FW千葉寛汰は貪欲に前へ、前へ

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U-20日本代表候補で存在感を放ったFW千葉寛汰(清水ユース3年)

[6.3 練習試合 U-20日本代表候補 4-5 全日本大学選抜]

『高校生だから』とか、『1つ上の世代だから』とか、そういう言い訳をしようなんて、全く考えもしないようなメンタルが、アグレッシブなプレーに滲み出る。「内容どうこうというより、まずはゴールという所を意識して試合に臨んだので、その結果が出たのはアピールにもなりますし、良かったかなと思います」。U-20日本代表候補の中でも最年少の17歳。FW千葉寛汰(清水エスパルスユース3年)は今、間違いなくゴールの女神に愛され始めている。

 今回のU-20日本代表候補合宿に招集された25人の中で、MF松木玖生(青森山田高3年)と2人だけ高校生でメンバーに名を連ねている千葉。世代最高峰の高円宮杯プレミアリーグEASTで、ともに7ゴールで得点ランキングトップに並んでいる両雄だが、よりゴールに特化しているストライカーは、シンプルな結果で今回の代表入りを手繰り寄せた。

 合宿最終日となった3日の練習試合。全日本大学選抜との一戦(45分×3本)は、2本目までにU-20代表候補が3点を先行される展開に。ただ、2本目の途中からピッチに解き放たれた千葉は、「3本目で1回仕切り直して、『絶対に逆転しよう』と(影山雅永)監督も言っていましたし、自分たちもそういう気持ちでいたので、もう1回気合を入れ直して、代表のプライドを持って、勝ちに行こうという話はしていました」と口にする。

 3本目の10分。2トップの相方、FW佐藤恵允(明治大2年)が右から折り返すと、千葉は丁寧に左へラストパス。MF田村蒼生(筑波大1年)のゴールをアシストする。さらに、2-4とリードを奪われる流れの中で、28分に点取り屋の本能が逞しく表出する。

「相手の前に入り込む所だったり、相手の視野から外れて駆け引きをしたりという所は凄く得意なので、自分の特徴が出たゴールだったと思います」。プルアウェイの動きから、MF田中克幸(明治大2年)の右クロスをニアに潜って放ったヘディングシュートは、ゴールネットへ吸い込まれる。今季のプレミアリーグでも、得点を量産している“頭”という新しい武器が、このステージでも十分通用することを、完璧なゴールで証明してみせた。

 “新・相棒”との連携は、驚くほどスムーズに構築されていったという。「恵允くんは初めてこの合宿で会いましたし、初めて一緒にやったんですけど、初日にミニゲームで2トップを組んだ時から『凄く合うな』と感じていました」。2トップを組んだ佐藤との補完性は抜群。「僕が前線で収めたりというのに対して、恵允くんは背後に抜けるプレーが得意で、お互いの特徴を理解し合えてプレーできたと思います」。3本目の4得点すべてにどちらかが絡んでおり、即席とは思えないコンビネーションで試合を盛り上げてみせた。

 4日間のトレーニングを経て、手に入れた明確な収穫と課題は自身でもよくわかっている。「大学生とJリーグの選手たちと一緒にやれるという所で、スピード感だったり、インテンシティの高さというのは凄く感じていたので、そこは成果として得られたのかなと思いますし、今日のゲームでもそうですけど、走れないという所は自分の課題だと捉えていて、ゴール前の仕事はできましたけど、チームのために走る所だったり、顔を出す所だったり、そういう所はまだまだですね」。

 ここからはまた清水に帰り、気の置けないチームメイトと切磋琢磨する日々が待っている。自分が出し続ける結果が、すなわち勝利に直結することを信じ、貪欲にゴールを目指すスタイルは、代表であっても、所属チームであっても変わらない。千葉寛汰の名前をもっと多くの人に知らしめるため、生粋のストライカーはとにかくゴールで、自らの進む道を切り拓いていく。

(取材・文 土屋雅史)

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