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[MOM3475]福井工大福井FW長谷川魁星(3年)_泥臭く先制ゴール!雪辱の舞台へ導く

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前半30分、福井工大福井高FW長谷川魁星が先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.4 インターハイ福井県予選準々決勝 福井工大福井高 2-1 藤島高 日東シンコースタジアム丸岡人工芝G]

 前夜から降り続いた雨の影響でスリッピーになったピッチでプレーするのは簡単ではない。加えて対戦相手の藤島高は、高い集中力を活かした固い守備が売りのチームでもある。決して楽ではない状況が揃う中、前半から上手くいかない場面も目立った福井工大福井高を救ったのは、10番を背負うエースのFW長谷川魁星(3年)だった。

「こういう天候で難しい状況になるのは試合前から分かっていたので、その中で自分ができることをやろうと思っていた。いつも通り、貪欲にゴールに向かっていこうと意識していた」。その意気込み通り、前線にボールが入ると積極的な仕掛けで相手ゴールに迫った長谷川に最初のチャンスが訪れたのは前半30分。MF八木拓磨(3年)のスルーパスから、ゴール前に抜け出すと、全身を使って思い切りよく放ったシュートがゴールネットに突き刺さった。

「あれが自分の持ち味」と評する形で先制点を奪ってからは、「相手のマークが自分に集中した時は周りを使って、もう一回ゴール前で貰えるような動きを意識している」と起点になる動きを続けた。

 機を見て貪欲に2点目も狙い、後半18分には右サイドを抜けたMF永棹翔のパスから、シュート。25分には八木のスルーパスが相手DFに当たると、PA内でボールを拾い、ゴールを狙った。

 周囲との違いを感じさせるプレーを随所で見せた一方で、チャンスを活かせなかった悔しさもある。試合後の長谷川は、「今日決められなかった分を明日決めたい。新人戦の時は先制点を決めながら、丸岡に逆転負けしたのでリベンジしたい」と口にした。

 中学時代は、チームメイトのMF林大雅(3年)らと共に武生FCでプレー。高校進学を考えた際に浮かんだのは近年、県代表の座を分け合う丸岡と福井商ではなく、第三勢力ともいえる福井工大福井だった。その理由について、長谷川はこう話す。「強いのが分かっていた丸岡と福井商に行くんじゃなくて、工大で1年目から試合に出て、2チームを倒したかった」。

 描いた青写真通り、1年目から出場機会を掴んだが、インターハイ予選は準々決勝で、福井商高に敗戦。選手権予選も準々決勝で、丸岡の前に涙を飲んだ。迎えた2年目の昨年度の選手権予選も準々決勝で福井商に敗れた。満足の行かない結果が続いてきたが、選手として積み上げてきた成果はプレーに還元されている。

 岸本浩右前監督が唱えてきた「スーパーハードワーク」の意識が高まり、守備への貢献度がアップ。新チームが立ち上がってからは、丸岡と福井商に負けないようチーム全体で、練習から球際の意識を強めてきた。そうした成果がこれまで果たせなかった8強越えに繋がったのは間違いない。

 地元開催のインターハイ出場がかかった準決勝では、丸岡と対戦する。リベンジを果たす格好の舞台であると共に、高校生活で成長した姿を見せつける舞台でもある。彼が再びエースとしての仕事を果たすことができれば、自ずと結果もついてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

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