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[MOM3476]北陸MF中川慧斗(3年)_特徴出せない中でも随所でゲームメーク。福井屈指の司令塔は準決勝での10番対決に燃える

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福井屈指の司令塔、MF中川慧斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.4 インターハイ福井県予選準々決勝 北陸高 0-0(PK5-4)啓新高 日東シンコースタジアム丸岡人工芝G]

 準々決勝の北陸高は、主将のMF清水慧吾(3年)が前日練習で負傷したため、本来とは違うメンバーでの戦いを強いられた。坂井に代わってボランチに入ったのは、前線でターゲット役となるはずのFW吉田侑平(3年)。ダブルボランチとして攻守の核を担うMF中川慧斗(3年)にとっては突如としてパートナーと、受け手を同時に失った。難しい状況での戦いを強いられた中川だったが、「いないのは仕方ない。清水の分までしっかりやろうと気持ちを切り替えて試合に挑んだ」と意に介さない。

 加えて、この日は雨にも苦しんだ。「ボールを大事にしながら自陣からビルドアップして、相手ゴール前まで繋いで運んでいくのが自分たちのサッカー」(中川)だが、思うようにパスを繋げず、ロングボールが主体となった。

 それでも、松本吉英監督が「いつもとは違うメンバーでやりづらさはあったと思う。ただ、ウチのチームには王様はいないので、やりにくい状況でも上手く頑張ってくれた」と及第点以上の評価を与えたように、中川は組み立て能力を発揮し、随所でゲームメーク。的確な読みを活かしたボールハントからの持ち運びで攻撃にアクセントを加える場面も目を惹いた。

 思い通りに試合が進まない中でも、チーム全員で焦れずに我慢強く戦いPK戦で勝利。中心選手として攻守両面で奮闘した中川は、「全員で気持ちを一つにして、勝ち切れたのは大きい」と安堵の表情を浮かべた。

 持ち味であるパスに対する拘りは誰よりも強い。中学時代は丸岡高のおひざ元とも言える坂井フェニックス丸岡ジュニアユースでプレーしたが、「自陣からパスを繋ぐ北陸の方が自分のやりたいサッカーだと思った」と北陸への入学を決意した。

 1年目から出場機会を掴んだ一昨年は理想とするスタイルで選手権予選の決勝まで進んだが、丸岡に敗戦。リベンジを誓った昨年の選手権予選は、初戦となった2回戦で敦賀気比高に敗れた。

 新チームで挑んだ昨年11月の新人戦はチームが一つにまとまらず、準々決勝で福井商高に敗れるなど悔しい結果が続いているが、今年は5月からは清水を中心にチームが一つにまとまり、状態は上向き。「2チームが全国に出られるので、絶対に出なきゃいけないと思っている」と意気込む通り、地元開催のインターハイ出場をかけた今大会にかける想いは強い。

 勝てば全国行きとなる準決勝で立ちはだかるのは、福井商だ。福井商の10番を背負うFW中津悠哉(3年)は、金津中時代の同級生で今も交流が続いている。「同じ10番で凄く上手いのは分かっているので、自分がバトルで負けないよう頑張りたい」とライバル心を覗かせる中川は、「次勝てば全国に行けるので、決勝ではなくまずは明日の試合に集中したい。自分たちのサッカーを出し切って、勝ち切りたい」と続ける。大一番で持ち前の配給センスを発揮し、チームにとって94年以来となるインターハイ出場に導くつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

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