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[MOM3479]日本文理FW相澤デイビッド(3年) _解き放たれ始めたポテンシャル。196センチのストライカーは覚醒間近

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日本文理高が誇る196センチの大型ストライカー、FW相澤デイビッド

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 インターハイ新潟県準決勝 新潟明訓高 1-4 日本文理高]

「だんだん凄くなってきましたね。筋力も相当強くなってきていると思うので、その中でプレーもガラッと変わってきた感じです。あのストライドなので相手は追い付けないし、普通なら追い付かない所でも追い付くのは、本当に大したものですよね」。チームを率いる駒沢隆一監督も、その成長には舌を巻く。196センチの超大型ストライカー。日本文理高の10番を託されたFW相澤デイビッド(3年=FC福生U-15出身)、覚醒の予感。

 いきなりその身体が宙を舞った。決勝への切符を争う新潟明訓高との一戦。まだ開始1分も経っていない時間帯で、日本文理がスローインを手にすると、DF小熊優斗(2年)のロングスローに、196センチの相澤が果敢に飛び付き、そのこぼれ球からMF塩崎温大(2年)が先制ゴールをマークする。

 圧巻は、同点に追い付かれて迎えた27分。キャプテンのCB齋藤優太(3年)が練習通りのフィードを送り込み、「よく自主練とかでも練習している形」からマーカーをハンドオフで遠ざけた相澤は、そのままコンパクトに右足を振り抜く。スムーズな一連から放たれたボールは、ゴールネットを一刺し。「ああいう形で、力で押さえてというのが自分の良い所だと思うので、うまく行って良かったです。あの距離のシュートだったら、ほぼ外さないですね」と自画自賛の一撃は、特大のインパクトを見る者に残す。

 さらにその2分後には、GKの高橋巧(3年)が前方に蹴り込んだキックへ、競った相澤は飛び抜けた高さで丁寧にフリック。裏に抜け出したMF曾根大輝(2年)も豪快なボレーをゴールに叩き込み、一気に新潟明訓を突き放す。

「蹴って蹴られてのゲームになることは最初から予想していて、アップダウンが激しい中で、自分の良さを出すことが重要だと思って、仲間が良いボールを繋いでくれたので、自分は決めただけです」とは相澤だが、『自分の良さ』を的確に取り出し、駆使することの脅威を、この2つのゴールが何よりも如実に物語っている。

 加えて、この日は守備面での貢献度も絶大。新潟明訓もロングスローの使い手としてMF高田瑛生(3年)を起用してきた中で、「相手より早く飛んで、強く弾き返すという所は意識して臨んでいました」という相澤は、ことごとくエリア内へ入ってきたロングスローを頭で打ち返す。シンプルに圧倒的な高さを攻守で見せ付ける形となったこの日の相澤は、とにかく効いていたとしか言いようがなかった。

 昨年の春先からは、筋トレにも着手。自身の身体が変化してきたことに伴い、その効果を実感している。「以前より後ろから当たられた時に、『プレスが来てるな』という感じがあまりしなくなって、腕の使い方も良くなってきて、楽にプレーできるようになりましたし、あとはアジリティのトレーニングもして、ターンの速さとか、フットワークも磨いてきたので、動き1つ1つが少し速くなったという感じはしています」。簡単に飛び込めない間合いとリーチは、フォワードにとっても大きな武器になる。

 デイビッドは6人兄弟の3番目。2番目の兄は、現在ジェフユナイテッド千葉に在籍しているGK相澤ピーター・コアミ。インターハイ、高校選手権と日本文理がともに全国初出場を果たした17年度の守護神であり、年代別代表にも選出されているプロサッカー選手だ。「兄は結構家族思いの所が強いので、こういう大会がある時には『頑張ってね』とか、そういうメッセージは送ってくれます。今回はまだ来ていないですけど(笑)」。高校生らしい笑顔には、まだ可愛らしさも十分に残っている。

 目指すべき頂も、しっかりと自身で把握している。「まずはJリーグに行って活躍することが夢で、そこから世界に出て活躍する選手になりたいです。柏レイソルにいたオルンガ選手とか、海外だと(ロメル・)ルカク選手を参考にしています」。

「決勝は本当に自分がゴールを決めて勝ちたいと思っていますし、守備でもしっかり守って結果を出したいですね」。解き放たれつつあるポテンシャルには、どう考えても期待せざるを得ない。辿り着くべき全国の舞台が、相澤のさらなる覚醒を待っている。

(取材・文 土屋雅史)
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