beacon

準決勝で帝京大可児上回り、決勝でも質の高さと「戦い、走り続ける」力示した中京が岐阜制覇!

このエントリーをはてなブックマークに追加

質の高さと走力で岐阜制覇を果たした中京高

[6.5 インターハイ岐阜県予選決勝 中京高 3-0 県岐阜商高 長良川球技メドウ]

 巧さと走る力示した中京が全国へ――。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)への出場権を懸けた岐阜県予選決勝が5日に行われ、中京高県岐阜商高に3-0で勝利。18年大会以来4度目のインターハイ出場を決めた。

 準決勝で湘南内定MF鈴木淳之介を擁する帝京大可児高を3-3からのPK戦の末に破った中京と、快進撃を見せて歴史的な決勝進出を果たした古豪・県岐阜商との決勝戦。試合は序盤からボールを支配した中京が1タッチ、2タッチのテンポ速いパスワークから、相手のポケットへ侵入してゴール前のシーンを作り出す。

 ダイナミックにスペースへ動いて崩しに係るFW瀬谷巧(3年)や、Jクラブも関心を寄せているという注目CB小林巧弥(3年)の左足フィードもアクセントにサイド攻撃。一方の県岐阜商は「前向きに守る」(林貴義監督)ことを徹底し、球際での強度高い守備で対抗する。

 相手に入れ替わられることもあったが、左SB川瀬慶太主将(3年)らがアグレッシブにインターセプトを狙い、ゴール前では中京の選手よりも必ず先にボールへ触れて、決定打を打たせない。25分のピンチではGK藤井陽平(3年)がファインセーブで逃れるなど前半を無失点で切り抜けて見せた。

 だが、中京は後半2分、右サイドでボールを持ったMF桑原柊斗(3年)が交代出場FW井上大舞(3年)とのワンツーで中央へ潜り込み、左足で県岐阜商ゴールを破る。6分にも、MF野田嵐志(2年)のスルーパスで抜け出した井上が右足で決め、2-0と突き放した。

 この日、中京の福留直人総監督が選手たちに求めたのは「戦走」「走力戦」だ。MF中村侑哉(3年)とMF塩田航輝(3年)、そして桑原の3人を軸にスピーディーなパスワークを披露した中京だが、ベースにあるのは走る部分。福留総監督は「105×68mのピッチで『戦い、走り続ける』」「自分たちの総てを出して走る」というメッセージを送り、選手たちの心に火をつけた。

 桑原は「(総監督の言葉を受けて)その通りだと思いましたし、チームで戦って、走り切る。そういうチームなので今年は。ポゼッションをしながらも走るところはベースにある」と語り、塩田も「(自分も)『全力を出す』と思いました。最初は硬かったというのがあるんですけれども、走り切ることができました」と振り返る。

 県岐阜商は後半21分、交代出場のMF杉山蒼(2年)が右サイドからワンツーでPAへ切れ込み、26分には交代出場FW竹中凌生(3年)のスルーパスでFW坂井勇輝(3年)が抜け出す。中京はこの日、精神的支柱であり、準決勝のPK戦で3本をストップしているGK秦主将(3年)が怪我で欠場。だが、ゲーム主将のCB岩本駿也(3年)と小林、そして「キャプテンや他の人に負けないように、練習後の自主練だったりいっぱいしてきました」というGK東條秀哉(3年)を中心に得点を許さない。

 そして、最後まで「戦走」「走力戦」のメッセージ通りに走った中京は後半35分、MF倉本航耀(3年)のスルーパスから井上がこの日2点目のゴールを奪い、3-0で優勝した。「色々なことができるようにしている。ちょっとずつ進化している」(福留総監督)という中京が快勝。この日は細かなミスが増えていたことは確かだが、今年は山梨学院高(山梨)や矢板中央高(栃木)相手に互角以上の戦いを見せているというだけに楽しみなチームだ。

 選手たちは競争しながらより質と走る力を高めて全国へ。東條は「スタメンで出ても、無失点で行けるように頑張りたい」と誓い、井上は「(チーム目標は)ベスト8なんですけれども優勝を目指してやりたい」と力を込めた。かつて岐阜県は岐阜工高をはじめとした公立勢が優位だったが、今回の県予選は中京、帝京大可児、大垣日大高と私学勢3校が4強入り。昨冬の選手権で印象的な戦いを見せた帝京大可児に続いて今夏、私学勢の中京が全国で大暴れする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

TOP