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シャビが語る監督哲学とバルセロナ帰還の未来「バルサには2回ノーと言った。急いではいない」

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バルセロナOBのシャビ・エルナンデス監督

 アルサッドを率いるシャビ・エルナンデス監督が、スペイン『バングアルディア』とのインタビューで監督としての現在地や、バルセロナ帰還の未来について語っている。

 2019年5月にアルサッド監督として指導者のキャリアをスタートさせたシャビ氏。そうなることが運命づけられていたと言われてきた元スペイン代表だが、本人にしてみれば想像していたものとはまた異なる体験もしているようだ。それでも監督業が好きかと問われると「すごくね」と前向きに答え、こう続けた。

「最初は、あまりにもいろんなことを管理しなくてはいけなくて、ちょっと面倒だった。ただフットボールを見るだけではなく、選手にそれを伝え、説得して、怒る必要だってある……。自分がそういうことをするとは思っていなかったが、でも自然とやるようになっていった」

「監督として最も必要なことは何か? 誠実さだ。その点では、僕は素晴らしい監督たちに恵まれてきた。グアルディオラ、ルイス・エンリケ、ルイス・アラゴネス、ビセンテ・デル・ボスケ、カマーチョ、ファン・ハール、ライカールト……。僕は彼らを少しずつ混ぜ合わせたような監督だ」

 その一方で現代フットボールについては、「即興が足りていない」との意見を口にしている。

「戦術的には、僕たちは限界まで到達している。フィジカルも同様にね。でも僕の意見を言わせてもらえば、才能や技術を発揮できる条件はまだ突き詰められる。思うに、選手はまだ多くのものをその内に秘めている。だけど、監督は彼らを抑圧してしまうものなんだ。現代フットボールには即興が足りていない」

 またそれに関連して、バルセロナMFペドリがより思い切ったプレーを見せるべきとの考えも示した。

「彼は並外れたレベルの選手で、それは驚きだった。もう成熟していて、18歳ながらトップレベルにある。でも、思い切ったプレーができるときには、ちゃんと思い切るように言わなくてはいけない。監督というものは多くの場合、選手をロボット化してしまうものでもある。アタッキングサードでは思い切らないと」

「だからこそ、僕は自分の経験を生かして、選手たちに言わないといけない。『お前の瞬間なんだ』ってね。ウィングが1対1の状況でボールを受ければ、『そのサイドバックに立ち向かえ、また後方に下がるときではないんだ』と言う必要がある。選手のそういう癖は、もう何度も目にしてきたんだ。僕たちは選手たちに対して、そういった状況を生かし切るための方法や信頼を与えていない。素晴らしい才能があっても、正確なことしかやらないんだ。9の力がある選手でも、5〜6でとどめてしまうのさ!」

「選手はときに、責任に恐れを感じてしまう。だから、僕は彼らに言うんだ。『見ろ、僕の場合は(安全なプレーより)失敗する方を優先する。しかし、少なくともトライはするんだ』って。リスクを取り払うことは僕にとってフットボールじゃない。自分にとってのフットボールは挑戦すること、責任を背負うことにある。そうじゃなければ、一体何のためにプレーしているんだ?」

 そしてシャビ監督は、バルセロナ帰還について「急いではいない」と強調。まだ、オファーに応じるタイミングではないという。

「この夏の帰郷でバルセロナから何か言われたか? 何もないよ。まずクーマンという監督がいるし、そこに敬意を払わなくてはいけない。次に、僕は何も急いでいないんだ。訪れるべき出来事は、いつか訪れる。そのときに考えて決断を下すよ。でも、前回バルセロナから誘われたときは、まだそのタイミングじゃなかった」

「心が痛むことだが、僕はバルセロナに2回もノーと言った。家族、プロとしての振る舞い、契約条件などいろんな状況が相まって……。彼らにノーって言うのは、本当に難しいことなんだ。僕はクレ(バルセロナファン)なんだからね。でも、まだそのタイミングじゃなかったんだよ」

「いつか、イエスという日が来ることを願っている。僕は誰にも嘘はつかないし、そうなるために成長を続けているんだ。今は、監督となった最初の日よりも準備ができている。が、バルセロナにはクーマンという監督がいるわけだよ。彼はクラブのレジェンドで、あと1年契約を結んでいる」

 バルセロナを思い、応援する日々は一切変わっていないようだ。

「ほとんどすべての試合を見ている。僕はクレなんだ。今のバルセロナは好きか? 大体の場合は、そうだね。一枚岩でプレーしているときは素晴らしい。僕はコレクティブなプレーの信奉者で、選手としてもそうならなければならなかった。速さも力もなく、器用でもなくて、だからチームが必要だったんだ。バルサが一丸となって前からプレスをかけるのを見るのは、大歓迎だ」

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