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身についてきた自発的に、行動できる力。長崎総科大附が後半3発でタイトル奪還!:長崎

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長崎総合科学大附高は17年以来となるインターハイへ

[6.11 インターハイ長崎県予選決勝 長崎総合科学大附高 3-0 長崎日大高 トラスタ]
 
 長崎総科大附が奪還! 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)長崎県予選決勝が11日に行われ、長崎総合科学大附高長崎日大高に3-0で快勝。17年以来4回目のインターハイ出場を決めた。

 立ち上がりから“総附らしい”サッカーで相手を飲み込みにかかった。ファーストプレーから長崎日大に圧力をかけて連続攻撃。MF竹田天馬(2年)をはじめ、頑張りのきく選手たちが連続してプレッシャーを掛け続け、ポゼッションスタイルの長崎日大に判断する間を与えない。苦しいクリアに限定させていた。

 そして、奪い返したボールをMF別府史雅(3年)らがサイド、前線へ入れてゴールを目指していく。コンビネーションでの崩しや個の仕掛け、またロングスロー、CKを連発したが、長崎日大も我慢強い守り。長崎総科大附は11分、MF芦高佑(3年)の折り返しをMF西岡紫音(2年)が狙うがGK福田雅哉(2年)にかき出され、17分にはMF大久保輝明(3年)の決定的なヘディングシュートが長崎日大DFにゴールライン手前でクリアされた。

 長崎日大はまず失点しないことを意識して守備。声を掛け合いながら、次々と仕掛けて来る相手の攻撃を水際で防ぎ続けていた。そして、少しずつではあったものの、判断して繋ぐシーンも。司令塔のMF山本和慧(3年)やMF道脇颯大(3年)が落ち着いてボールを動かしたほか、1トップのFW加藤孝太郎(3年)の奮闘や最終ラインからの好パスもあった。

 ファーストシュートはアディショナルタイムに入ってから。直後に長崎総科大附MF木本佑星(2年)の左足ボレーがゴールマウスを叩いたが、何とか無失点で前半を終えた。すると、後半立ち上がりは長崎日大にチャンス。4分、右サイドを突破したSB瀬崎耕平主将(3年)のクロスがゴール前に入り、11分には左SB池田勝博(3年)のアーリークロスをMF福田洸汰(3年)が頭で合わせる。

 それでも、準決勝まで無失点の長崎総科大附はCB児玉勇翔(3年)が落ち着いたカバーを見せるなど無失点を継続。そして後半19分、ロングボールを交代出場のFW牧田陽太(3年)が競ると、セカンドボールを収めた西岡がドリブルから左足を振り抜く。素晴らしい弾道の一撃はGKの指先を弾いてそのままゴール右上隅に突き刺さった。

 今年の長崎総科大附にはFW安藤瑞季(現水戸)やFW荒木駿太(現駒澤大、鳥栖内定)のような飛び抜けた存在はいないかもしれない。それでも別府が「良さは、みんなで声を出して、一人ひとり献身的にできるところ。スーパーな人がいなくてもみんなで頑張れる」と頷くチームは後半も落ちない。
 
 長崎日大はこの後、立て続けにメンバーを入れ替えて反撃。だが、ミスも出てなかなかチャンスを作ることができない。逆に長崎総科大附は32分、相手のミスを逃さなかった交代出場FW石山風吹(3年)がPAでのドリブルから右足で貴重な追加点を奪う。アディショナルタイムにも西岡の右クロスを牧田がニアで合わせて3-0で奪還を果たした。

 長崎総科大附はインターハイ予選で3大会ぶりの優勝。昨年度の選手権予選は決勝で創成館高に敗れて連覇が4で止まり、新人戦は初戦で長崎日大に敗れていた。2011年に県新人戦で初優勝して以降、毎年タイトルを獲得してきたが、無冠に。その中で名将・小嶺忠敏監督は今年1月から「改革をしている」という。「人から言われて行動するのではなく、自発的にできるか」。その変化が奪還に繋がっている。

 児玉は「行動力。挨拶だったり、最初は全然できていなくて、バックの並べ方一つ一つ言われて徐々にみんな良くなってきて、まだまだですけれども。まだ甘い部分もあるんですけれども、新チームになった時に比べたらだいぶ良くなったと思います」と説明。行動力の向上によって、サッカーでもそれぞれが責任感を持って行動することができているようだ。

 小嶺監督は全国大会へ向けて「簡単じゃないですよ。どれくらいできるかトライしようと思っている」。また、児玉は「今のままじゃ全国勝てない。時間もまだあるし、チームとして良い準備して戦ってきたい」と力を込めた。マジメに、自分たちから行動し、全員で戦う長崎総科大附。走り続ける力、県予選無失点の守備力も強みにインターハイで全国の強豪校にチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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