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[MOM3492]駿台学園DF竹富皓大郎(3年)_遅れてきた空中戦の支配者が、試合終了間際に劇的な決勝ゴール!

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後半アディショナルタイムに決勝弾を叩き込んだDF竹富皓大郎

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.12 インターハイ東京都予選準々決勝 國學院久我山高 1-2 駿台学園高]

 実は、後半に入って“3本目”のシュートだった。キッカーのFW鶴岡飛嘉(3年)がセットプレーから繰り出すキックが、ことごとく自分の所に来ていたことも感じていた。「その前にも2回チャンスがあったのに上手く行かなくて、『やっと入ったな』という気持ちでしたね。決め切れたので本当に良かったです」。駿台学園高を次のラウンドへと連れていく、決勝ゴールのスコアラー。DF竹富皓大郎(3年=駿台学園中出身)は待ち焦がれてきた全国大会へ、今から想いを馳せている。

 難敵の國學院久我山高と対峙した準々決勝。駿台学園は前半から自分たちの攻撃力を発揮し、ゲームの主導権を掌握すると、先制点まで奪ってしまう。ただ、後半に入るとすぐに失点を喫し、以降は押し込まれる展開に。「『久我山の方が上手い』とは最初から言われていて、そこで絶対走り負けちゃいけないということで、練習でも走ってきたので、それが少しは出たのかなと思います」と話したCBの竹富も、相手の多彩な攻撃へ必死に食らい付き、水際で失点を防ぐ。

 その中で、得点への活路はセットプレー。後半11分に鶴岡が蹴った右CKに、竹富が合わせたヘディングは相手GKがフィスティングで回避。終盤の40+1分にもやはり鶴岡の右CKから、竹富のヘディングは枠を捉えるも、ギリギリでクリアされる。

 迎えた40+2分。それまでの2本とは逆側の左サイドで獲得したCK。このまま劣勢の状態で、20分間の延長戦を戦うのは、体力的にもメンタル的にもかなり厳しいのはわかっていた。「あの場面で決めなきゃヤバイという所」と自覚していた状況で、鶴岡のキックは三たび竹富の頭へ向かってくる。

 イメージは二次トーナメント初戦の国分寺高戦で叩き込んだ一撃。「ちょっとゴールから遠かったのと、自分の位置が最初から中に入りすぎていて、ちょっと弱かったので、そこは修正しました」というそれまでの2本の反省も生かし、絶妙の位置取りから頭で合わせたボールは、ゴールネットへ吸い込まれる。土壇場での勝ち越し点に、チームメイトにもみくちゃにされる竹富。CBの劇的な決勝ゴールが、駿台学園を準決勝へ導いた。

 昨年もレギュラーを掴んでいたものの、徐々に出場機会を失い、高校選手権予選ではベンチ外に。西が丘のピッチに立つことは叶わなかった。「だんだん相手が強くなっていくにつれて『難しいな』と感じて、自分のレベルアップが必要だなと思いました」。悔しい経験から、自分の長所と短所を見つめ直し、日々の練習に励む。

「マークの相手を途中で放してしまっていたので、しっかり付いていくことを意識して、最近はやっていますし、メンタル的には相手に1回抜かれても、絶対カバーにすぐ入って諦めないようになりました。あと、ヘディングは自分の長所だと言われているので、絶対負けないようにやってきました」。関東大会予選でメンバーに入ると、少しずつ序列を上げ、今大会から定位置を確保。その高さは攻守において、チームの武器になりつつある。

 全国大会には確かなイメージがある。「自分が中学1年の時の3年の代が、全中(全国中学校サッカー大会)に出ていて、それに応援として付いていって、全国の凄さを見せてもらったので、そこに行けるチャンスがあるというのは大きいと思います」。その時はスタンドから見ていた全国のピッチに、自分が立つために必要なのはあと1勝だ。

「関東大会で実践学園に負けたんですけど、その時はまだスタメンではなかったんです。今回ももしかしたら実践が来るかもしれないので、やっとチャンスが来たということで、しっかり勝って、全国に出たいなと思います」。相手はその実践学園高に決まった。2つの“リベンジ”を果たすためのステージが、彼には用意されている。

 遅れてきた空中戦の支配者。大空を舞う竹富の高さが、チームを全国という最高の舞台へと羽ばたかせる。

(取材・文 土屋雅史)
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