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「全国で勝つチーム」掲げる瀬戸内が広島制覇。躍進・崇徳に3発勝利

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広島制覇を果たした瀬戸内高

[6.13 インターハイ広島県予選決勝 崇徳高 1-3 瀬戸内高]

 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)広島県予選決勝が13日に行われ、瀬戸内高が3-1で崇徳高に勝利。2大会ぶり7回目のインターハイ出場を決めた。

「全国で勝つチーム」を掲げる瀬戸内が、広島県予選を突破した。準決勝で宿敵・広島皆実高を3-0で撃破。MF長谷川大貴(3年)は「自分たちはまずいつも県大会で優勝している皆実を見ていて、勝てて、(その後)チームとして緩んでいるところもあったんですけれども、しっかりと今週強度高めに意識して練習に臨めたので、今日も良い結果になったと思います」。瀬戸内は5月に3週間の全部活動停止期間があったこともあり、コンディションは万全ではなかったものの、堂々の優勝だった。

 決勝で対戦したのは、39年ぶりに決勝進出した崇徳。10番MF長谷川陽平(3年)が怪我でほぼプレーできない状況でのインターハイ予選だったが、「この大会ですごく自信をつけさせて頂いた」(重里求昭監督)というチームは、一戦一戦成長しながら決勝まで勝ち上がってきた。

 だが、瀬戸内は開始5分に先制点を奪う。右中間でボールを持ったMF江川楓(2年)が縦パス。FW風呂迫恵人(3年)がスルーしたことで長谷川が抜け出し、そのまま右足シュートを逆サイドのゴールネットへ流し込んだ。

 今年、中国新人大会準優勝、プリンスリーグ中国でも3勝1敗と好スタートを切っている瀬戸内は、その後もMF正法寺大(3年)を起点に後方からボールを繋ぎ、この日違いを示していた10番右FW佐野竜眞(3年)と左のFW越田陽輝(3年)を活用してチャンスを作り出す。

 立ち上がりの先制点一気に相手を飲み込むかと思われたが、崇徳も食い下がる。プレスバックが速く、球際の強度も高い。そして、技巧派揃う瀬戸内の中盤からボールを奪って攻め返して見せた。

 前半19分にはパス交換で右サイドを崩し、FW唐内涼(3年)が決定的なシュート。瀬戸内はこのピンチをGK大木泰希(2年)の好セーブやDF陣の粘り強い対応で何とか凌いだが、追加点を奪うことができない。一方の崇徳は瀬戸内に主導権を握られ、ピンチこそ増えていたものの、素晴らしいタックルを連発する186cmDF山田満一ムヤヤ(2年)やGK羽山温音主将(3年)の好セーブなど1点差のまま前半を終えた。

 そして後半開始直後、崇徳が同点に追いつく。5分、右の俊足WB西林佑真(3年)がスピードに乗ったドリブルで大きく前進。DF2人を剥がした西村が判断よく逆サイドへ展開すると、フリーのFW辻村颯真(2年)がコントロールから右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 大興奮の崇徳イレブン。このゴールで勇気を得た選手たちは集中した守備から勢いのある攻撃を繰り出す。だが、瀬戸内は「澤田入れてゲームがまた落ち着いたので良かった」と田中健二郎監督が振り返ったように、緩急を上手く使い分けることのできるFW澤田佳憲(2年)投入で流れを傾ける。

 そして19分、澤田とのパス交換から佐野が浮き球を豪快な右足ボレーで叩き込み、勝ち越し。27分にも、風呂迫が獲得したFKを右SB松浦隆介(3年)が左隅に決めて勝負を決定づけた。

 瀬戸内は今大会、高速SB伯野航太(3年)を怪我で欠いていたが、自力の高さを発揮。エース佐野やCB有吉勇人(3年)をはじめ、攻守にタレントも擁しており、楽しみなチームだ。田中監督はインターハイへ向けて「まあ、一個ずつです。今日も本当だったら3-0で終わらせないといけない。それを、どう感じるか。今からやっていきたい」と語った。

 過去最高成績はFW安部裕葵(現バルセロナ)を擁した16年大会のベスト8。長谷川が「初戦勝ってチームとして乗りに乗って、まずはベスト4を狙いたいです」と語ったように、目の前の一戦一戦を集中して戦い、先輩たちの記録を超える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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