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39年ぶり広島決勝進出の崇徳は堂々の戦い。小さくまとまらず、より個を伸ばして冬へ

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後半5分、崇徳高はFW辻村颯真が右足で同点ゴール

[6.13 インターハイ広島県予選決勝 崇徳高 1-3 瀬戸内高]

 39年ぶりという決勝進出も、初のインターハイには手が届かなかった。それでも、「学校でも何度も声を掛けてもらったり、勇気づけてもらって」(重里求昭監督)という崇徳高は前評判の高い瀬戸内高を苦しめ、後半途中まで1-1。最後はゴール前での寄せの部分など細部で瀬戸内に差を付けられたものの、堂々の準優勝だった。

 この日は立ち上がり5分に失点。悪い入りとなってしまったが、ここで崩れなかった。強烈なタックルやヘッドが印象的な186cmDF山田満一ムヤヤ(2年)とDF河崎晃平(3年)、DF向原樹(3年)の3バックが相手の攻撃を食い止め、GK羽山温音主将(3年)も好セーブを披露。前線、中盤の献身的なプレスバックもあってボールを奪い返し、丁寧なビルドアップも見せていた。

 前半の同点機は相手の好守に阻まれたが、後半5分に俊足右WB西林佑真(3年)がスピードに乗ったドリブルで右サイドを独走。そして、逆サイドへの展開からFW辻村颯真(2年)が右足で同点ゴールを奪った。

 今大会で抜擢された2年生は準決勝に続く貴重なゴール。勝ち越すことはできず、逆に突き放されたが、10番MF長谷川陽平(3年)が膝の負傷で先発を外れる中、FW田岡忠治(3年)やMF田口遥翔(3年)が攻撃を引っ張るなど全員がまとまって良く戦っていた。

 チーム始動時はまとまりがある世代ではなかったという。だが、練習に対する姿勢が徐々に変化。特にエース長谷川が離脱後の「伸びは大きかった」(重里監督)。全国大会には手が届かなかったものの、地区予選からの計7試合で各選手が自信をつけたことは確か。10月に復帰見込みという長谷川を加え、また全国に挑戦する。

 重里監督は「またもう一回、一からですね。(瀬戸内とは)個人の差があると思うので、小さくまとまらずに、もう一回、一人ひとりの個の部分をしっかりと変えながら。最後チームに持っていきたい」と語った。ここで成長を止めるのではなく、より土台の大きなチームになって選手権を戦う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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