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今年は「上手い」よりも「強い」チームへ。東海大相模が横浜創英振り切り、2大会連続インハイ切符獲得!:神奈川

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東海大相模高が2大会連続のインターハイ出場を決めた

[6.19 インターハイ神奈川県予選準決勝 東海大相模高 2-1 横浜創英高]

「強い」東海大相模が全国へ――。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)神奈川県予選準決勝が19日に行われ、東海大相模高横浜創英高が激突。東海大相模が2-1で勝ち、2大会連続3回目のインターハイ出場を決めた。

 雨中の熱闘を制した東海大相模の有馬信二監督は今年のチームについて、「今年は1-0で勝てるんですよね。苦しい中でも我慢して、粘り強くチャンスを待てるというか。歴代のチームとは違うかなと感じますね」と説明する。

 近年、相手の逆を取る巧さにスピード、パワーを加えたチームでインターハイに出場してきた東海大相模だが、今年は巧さに勝負強さが加わっている。準決勝も横浜創英にボールを握られる時間が長かったが、それを凌いで突き放し、全国切符を勝ち取った。

 序盤、2年生7人が先発した横浜創英に東海大相模が圧力をかける。1年時に全国を経験しているMF橋本一汰(3年)やMF山田琉矢(3年)らがスペースを取りながらボールを前進させ、右の強力DF内藤天志(3年)と左の中田大智(3年)の両SBへ展開した。

 7分に内藤が強烈なミドルシュートを打ち込むと、18分には左FKのクリアボールをMF五十嵐勇弥(3年)が折り返し、FW高橋莞大(3年)がポスト直撃のヘッド。そして22分、FW品田希望主将(3年)の左FKをファーサイドのCB石川竜(3年)が頭で合わせて先制した。

 横浜創英は宮澤崇史監督が「(序盤は経験値の低さが影響したが、)1失点してからはいつもどおりの精神状態に戻って、ウチっぽいサッカーはできたと思います」と振り返ったように、“創英モデル”のパスワークが徐々に増加。大黒柱のCB細野竣文主将(3年)や判断力秀でたMF菅原遼介(3年)が多くボールに絡みながら、相手の背中を取る形で密集を攻略していく。そして、MF木村海翔(2年)が相手を外して決定的なシュートを打ち込むが、東海大相模GK境野秀音(3年)の好守に阻まれるなど同点に追いつくことができない。

 後半も立ち上がりから横浜創英がボールを握る展開。対して東海大相模は9分、注目レフティーのFW森田青流(3年)とFW吉良優音(3年)のSH2人を同時投入し、フォーメーションを4-3-1-2から4-2-3-1へスイッチする。

 横浜創英は15分、ともに交代出場のFW熊谷元太(3年)とMF村上貴一(3年)のチャンスメークから木村海がポスト直撃のヘッド。また27分にはワンツーから木村海がフィニッシュまで持ち込むが、一方で東海大相模に中央を締められて縦パスの本数を増やせず、なかなかバイタルエリアまでボールを運ぶことができなかった。

 逆に東海大相模はショートカウンターから森田や吉良がゴールを狙い続けると33分、貴重な2点目を奪う。石川の身体を張ったクリアを起点に、森田が個でPAへまで持ち込んで左足で追加点。今大会、戦術上の理由でサブに回っている注目FWのゴールによって、2-0となった。

 この後、退場者を出した東海大相模に対し、諦めずに攻める横浜創英は後半アディショナルタイム、村上がカットインから放った右足シュートがクロスバーをヒット。直後にFW木村将己(2年)の放った右足シュートもGK境野の好守に阻まれてしまう。それでも40+6分、左SB中園颯太(2年)の右CKからCB岩崎蔵人(2年)が頭で決めて1点差。だが、再開直後に試合終了の笛が鳴った。

 東海大相模は関東大会予選で準々決勝敗退。その後、インターハイ予選へ向けて伝統的な4-2-3-1システムから4-3-1-2へ変更する。それによって先発メンバーは入れ替わったが、橋本をはじめ、「戦術理解度が高い」(有馬監督)という世代はわずか1か月間の準備期間で対応。準々決勝では中盤ボックス型の4-2-2-2で臨み、日大藤沢高を封じている。この日は横浜創英に幅を使われ、思うようなサッカーをすることができなかったが、1点リードを我慢強く守る強さを発揮。そして、エースFW森田の決勝ゴールで勝ち切った。

「上手いチームよりも強いチームになろうという話をしていて、(東海大相模は)『上手いね』とは言われますけれど、強いね、勝てるね、とは言われなかったのでそれを目指しています」と有馬監督。また、石川は全国大会へ向けて、「相模らしくパスサッカーを魅せて、一戦一戦しっかりと戦って全国優勝目指して頑張りたいと思います」。決勝(20日、対相洋高)では全国大会の第1シードを貪欲に勝ち取る構え。過去2回のインターハイは前橋育英高(群馬)や尚志高(福島)と接戦を演じた一方、計1勝に終わっているが、今年は異なる力も示して全国で勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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