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童話の国で生まれた新たなおとぎ話…結束の“魔法陣”を作ったデンマーク指揮官「私には想像できない」

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最終節で奇跡を起こしたデンマーク

[6.21 EURO B組第3節 ロシア1-4デンマーク コペンハーゲン]

 デンマーク代表が奇跡を起こした。EURO2020開幕2連敗で敗退の危機に追い込まれていたが、最終節のロシア代表戦で4-1の快勝。他会場の結果を受け、最下位から逆転でのグループリーグ突破を果たした。

 12日の第1節フィンランド代表戦でMFクリスティアン・エリクセンが前半途中に意識を失って倒れ、救急搬送されるというアクシデントに見舞われたデンマーク。長時間の中断を経て0-1で同試合を落とすと、17日の第2節ベルギー代表戦では先制しながらも1-2で逆転負けを喫した。

 グループリーグ敗退の窮地に陥る中、手術を終えて無事に退院したエリクセンが18日に代表チームを訪問。帰宅する前にチームメイトたちと再会し、最終節に向けてエールを送った。

 背番号10の意思を引き継いたデンマークはロシア戦の前半38分、MFミッケル・ダムスゴーアの鮮やかなミドルシュートで先制する。後半14分には相手GKへのバックパスのミスを見逃さなかったFWユスフ・ポウルセンが追加点を奪取。一時2-1と1点差に詰め寄られたが、同34分にDFアンドレアス・クリステンセン、同37分にDFヨアキム・メーレが決め、4-1でロシアを振り切った。

 他会場ではフィンランドがベルギーに0-1で完封負け。すでに突破を決めていた首位ベルギーが3連勝を飾り、残り3チームが勝ち点3で並んだ結果、最下位だったデンマークが得失点差で2位に浮上し、決勝トーナメントへの切符をつかんだ。

 ロシア戦が終了した後のピッチには、デンマークの選手やスタッフが肩を組んで輪になる光景があった。フィンランド戦では救命措置を受けるエリクセンを隠し、無事を願いながら作った結束の輪。今回はベルギー対フィンランドの結果を祈るようにして待ち、突破が決まると一気に感情を爆発させた。

 カスパー・ヒュルマンド監督はイギリス『BBC』を通じて「フィンランド戦の結果が出ていないのに喜んで駆け回るはどうかしていると思ったので、円陣を組んだ」と説明し、グループリーグ突破の喜びを語っている。

「魔法の夜になることを願っていた。私たちを応援してくれている全ての人々に感謝したい。これが選手たちに影響を与えていることを実感した」

「モチベーション、チームスピリット、選手間の友情は素晴らしいものだった。誰かがこれに値するのなら、それは私たちの選手だ。彼らがあのような状況からどうやって立ち直ったのか、私には想像ができない」

 データサイト『オプタ』によると、デンマークは開幕2連敗から決勝トーナメント進出を果たしたEURO史上初のチームだという。

 イギリス『BBC』のコメンテーターを務めるガイ・モーブレー氏は「これは(童話作家の)ハンス・クリスチャン・アンデルセンの国で書かれた、もう1つの素晴らしい物語だ。悲劇と絶望から、完全な、完全な喜びへ。あんな風にストーリーが描かれることはそう多くはない」とデンマークを称えた。

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