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[MOM3507]鹿島学園MF林結人(2年)_先輩FW上田綺世と「同じ香り」がする才能、鮮烈2発と決勝アシスト!

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後半24分、鹿島学園高MF林結人が左足でこの日1点目のゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.23 インターハイ茨城県予選決勝 明秀日立高 3-4(延長)鹿島学園高]

 2得点1アシストで逆転劇の主役に。東京五輪代表に選出された先輩FW上田綺世(鹿島)と「同じ香りがする」才能が、大一番でその実力を見せつけた。

 鹿島学園高は前半に2点を先取される苦しい展開。後半はDFラインの押し上げとともにリズムを掴んでいたものの、飲水タイムを0-2で迎えていた。だが、その直後の24分、PAでこぼれ球を拾った2年生MF林結人(1FC川越水上公園出身)が間髪入れずにドリブルでマークを外し、左足でゴールを破る。

 タックルするDF、またシュートコースを消しに来たDFよりも一瞬速く振り抜かれた左足。「かわして、ゴール前は速く、正確に。(鈴木雅人)監督にもずっと言われているので、意識してしっかり枠を捉えてゴールすることができた」というファインゴールで試合の流れを自分たちに傾けた。

 その林が、2-2で突入した延長戦でスーパーゴールを決めた。同前半1分、鹿島学園は右サイドでのパス交換からMF熊倉優希(2年)がゴール方向へロングパス。林は斜めのランニングでPA内右へ飛んだボールに追いつき、柔らかい左足タッチでコントロールをする。そして、ボールが落下する前に右足で叩き、ニアサイドのゴールネットへ。アイディアとテクニックによって、明秀日立高注目の195cmGK谷口璃成(3年)から2つめのゴールを奪った。

「来るかなと思って、信じて走って、自分のところに来たので、トラップからシュートまで速く、正確に。自分でも興奮しすぎてよく覚えていないんですけれども(微笑)」。意識しているゴール前でのモットーをこのシーンでも実行。相手の心を折るような一撃を決めたMFは歓喜のダッシュの途中で足を攣らせたが、プレー続行を直訴し、そのまま走り続けた。そして、延長後半開始直後にGKとDFとの間へ絶妙な右クロスを通し、決勝点をアシスト。文句なしのマン・オブ・ザ・マッチで優勝の立て役者となった。

 鈴木雅人監督はその林に大きな期待を寄せている。「別格ですね。練習見てても、(引き続き努力すれば、感覚的にプロへ)行くと思いますよ。上田と『同じ香り』がします」。法政大を経て鹿島入りし、昨年、今年とゴールを連発して東京五輪切符を勝ち取った教え子・上田と似たものを持っているという。練習で見せる雰囲気、そして、「こういうところで決めるじゃないですか」(鈴木監督)。1-0決着だった準決勝・古河一高戦でも決勝点を決めたMFは、一躍ブレイク候補に名乗りを上げている。

「嫌なDFはいたけれど、全然抜けないというのはないです」というドリブルが最大の武器。この日の前半は前を向く回数こそ少なかったものの、PA内で2人を剥がして左足シュートを打ち込み、ワンツーから絶妙なクロスを上げていた。追撃ゴールの直前にも縦への仕掛けからシュートシーンを演出。特別なスピードがある訳でも、相手の足を見ている訳でもないが、「何か抜ける」というMFは、狭いスペースでの崩しを含め、攻撃の中心になっていた。
 
 多くのテクニカルな選手を輩出している埼玉の街クラブ、1FC川越水上公園で小学1年生から中学3年生まで技術を磨いてきた。当時は県トレセンに選ばれたこともないというが、鈴木監督の指導を求めて進学した鹿島学園でその才能と、積み上げてきた力を発揮し始めている。

 守備や運動量の課題も改善中。その林は全国大会へ向けて「初めての全国なので、それまでに自分を鍛えて、全国で通用するようにしたいです。どこも強いので、どの相手でも通用するようにしたい」と意気込んだ。「上田と同じ香り」がするMFが、インターハイでもそのドリブルやシュートによって鹿島学園を勝利へ導き、「林結人」の名を全国に広める。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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