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195cmGK谷口璃成ら擁した明秀日立は2-0から逆転負け。安定した力、違いを発揮できるチームへ:茨城

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明秀日立高は2-0から無念の逆転負け

[6.23 インターハイ茨城県予選決勝 明秀日立高 3-4(延長)鹿島学園高]

 掴みかけていた全国切符は、その手からこぼれ落ちた。J注目の195cmGK谷口璃成(3年)やともに1年時から先発の10番MF中沢駿斗主将(3年)とCB長谷川皓哉(3年)、関東大会予選5戦連発のFW根本琳生(3年)ら注目選手擁した明秀日立高は、立ち上がりから縦への速い攻撃を起点に右SH山田翔遥(3年)の仕掛けなどで鹿島学園高を押し込む。

 そして11分、左サイドで技巧を発揮していたMF村田楓太(2年)とMF岩間翔大(3年)が粘ってキープ。そして左SB岩崎柊太(3年)が左足で1タッチクロスを上げると、これがGKの頭上を越えてそのままゴールネットに吸い込まれた。

 幸運な形で先制した明秀日立はGK谷口のビッグセーブなどゴール前での堅い守備によって無失点を続ける。そして28分、右サイド後方からSB大山比呂(3年)が前線へ配球。これを準決勝ハットの180cmFW角遥夢(3年)が競ると、相手CBが足を滑らせた隙を逃さずに根本が右足で追加点を挙げた。

 前半を2-0で終えた明秀日立は中沢が中盤で献身的な動きを続け、ハイボールは174cmながら抜群の高さを発揮していた長谷川や182cmMF岩間が跳ね返していく。加えて、CB木村海斗(3年)が素早いカバーリングでピンチの芽を摘むなど2-0の時間帯を継続。逆にセットプレーから長谷川が惜しいシュートを放つなど3点目のチャンスも作っていた。

 だが、相手がDFラインを押し上げて来る中、セカンドボールの攻防で劣勢に。後半半ばまでリードしていたとは言え、明秀日立の内容が良かった訳ではなかった。萬場努監督も「良いパフォーマンスだったかというと、そんなことはなかったなというのが正直なところ」と振り返る。幸運なゴールもあり、悪いながらも2-0の状況。それはあっという間に崩れてしまった。後半24分、相手のロングスローをクリアしきれず、最後は個で打開されて失点すると、32分にも相手のサイドからの仕掛けへの対応が甘く、同点ゴールを許してしまう。

 萬場監督は「メンタル的に受けてしまった。あと、縦に速く行くのは良いんですけれども、もう少しマイボールで幅を作りたかった」。34分には自陣セットプレーから高速カウンター。交代出場MFアウン・カリム(3年)とのワンツーから村田が抜け出し、GK不在のゴールへ左足ミドルを打ち込む。ボールはわずかにゴール右へ外れたものの、同点に追いつかれてからはサイドを活用して攻めるシーンが増えるなど、狙いとする戦いもできていた。

 だが、延長前半開始直後にDFライン背後のスペースを突かれて失点。同後半開始から長谷川を前線へ上げたが、DFラインが簡単に起点を作られ、クロスから再び失点してしまう。延長後半4分に長谷川のゴールで1点差とし、さらに攻め立てたが、4点目を奪うことはできず。萬場監督は「結果は残念ですけれども、力が出せていないというのが一番問題だと思います」。

 関東大会直後に始まったインターハイ予選で決勝まで駒を進めたが、「ここで勝つ・勝たないが大きいから、もう一つ皮が剥けないとダメかなと。(プリンスリーグに参戦して)日常的なところをもっと積み上げないと。関東大会やプリンスレベルで違いを出していくところを見出していかないといけない」(萬場監督)。この後は、プリンスリーグ昇格のかかった県1部リーグでの勝利を目指しながら、自力を高めること。そして、どの試合でも安定した力を発揮できるチーム、違いを出せるチームになって選手権で雪辱を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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