beacon

見据える先にはトップで活躍する偉大な“先輩”が。京都U-18MF遠山悠希は「あと少し」を追い求める

このエントリーをはてなブックマークに追加

京都サンガF.C.U-18を牽引するキャプテン、MF遠山悠希

[7.3 プレミアリーグWEST第9節 京都U-18 2-3 名古屋U-18 東城陽G]

 苦しい状況なのは間違いない。キャプテンとしての責任も、心に突き刺さるほど痛感している。だが、前を向くしかないことも、自分たちで光を手繰り寄せるしかないことも、とっくにわかっている。「今年はキャプテンをやらせてもらって、声で引っ張るのはもちろんですけど、やっぱり一番はプレーで引っ張ることが大事だと思っていて、点を決めるとか、アグレッシブにプレーするとか、キャプテンというよりもチームの中心というイメージで、自分がプレーで周りを引っ張っていくというのは意識しています」。京都サンガF.C.U-18の絶対的中心、MF遠山悠希(3年=京都サンガF.C.U-15出身)は今、生みの苦しみの真っ只中でもがいている。

 この日も決して悪いゲームではなかった。常に先行される展開にも、粘り強く2度も追い付き、流れは間違いなく引き寄せつつあったが、最後はPKでの失点で2-3と敗戦。これで開幕から5戦未勝利。キャプテンマークを巻き、攻守に奮闘した遠山は、悔しそうに90分間を振り返る。

「2点目を追い付いた時に、正直『これは行けるな』と思ってしまった自分がいて、このままの勢いで相手を圧倒できると感じたんですけど、自分としてはそこで油断が出てしまったし、チーム全体もそういう雰囲気になってしまったのかなと。そこでしっかり油断せずにやり切っていたら、3点目が取れて逆転できていたかもしれないですし、そういう所が反省点かなと思います」。

 チームを率いる志垣良監督も「どの試合も我々は圧倒された試合は1つもなくて、今日もセットプレーで3点やられてはいるんですけど、本当に前向きな姿勢で、トップチームと同じようにインテンシティ高くプレスを掛けたり、前へ走ったりという姿勢が見えたのは凄く良かったと思います」と明言。良いゲームができているだけに、勝ち点が付いてこない状況がとにかくもどかしい。

 だが、光は少しずつ、確実に差し込みつつある。「あと少しなんです。それが何かと言われたらハッキリしたものはわからないんですけど、あと一歩、あと少しの所を突き詰めていけるようになったら、勝ちという結果に繋がっていくのかなと思います。気持ち的な部分なのか、プレー的な部分なのか、『あと、もう少し』というのは感じています」。その『あと少し』を縮めるため、またトレーニングに向き合う日々を重ねていく。

 明確な目標として、2年前までボランチでコンビを組んでいた “先輩”であり、トップチームで主力として活躍している川崎颯太の存在は、遠山にとってもとてつもなく大きな刺激になっている。

「刺激というか、もう尊敬しかないですね。『尊敬している選手は誰ですか?』と聞かれたら、もう颯太くんっていつも答えています。でも、尊敬で終わるのではなくて、自分もそこに追い付かないといけないし、それを追い越すぐらいのレベルにならないといけないとは思っているので、ゴールのような目に見える結果を残して、颯太くんやその他のボランチの、トップの人たちと張り合っていきたいなとは、自分でも意識しながらプレーしています。隣でやっていた人ができて、自分にできない訳はないと思いたいですし、できると自分では信じているので、追い付け追い越せでやっていきたいと思います」。

 勝負の1年。見据える未来もハッキリと口にする。「これからトップに上がれるか上がれないかが懸かってくる時期なので、トップの練習や練習試合にも行きたいですし、自分のプレースタイルや特徴を出して、チョウ監督やトップのスタッフの人に認めてもらって、まずはサンガのトップに上がるというのが目標です」。

 『あと少し』は個人にとっても、グループにとっても確かな伸びしろ。それが埋まった時に見えてくる景色を信じて、遠山は尊敬する“先輩”も背負った7番と共に、その両足で前へ、前へと進んでいく。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2021特集

TOP