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ロス五輪世代のU-16日本代表候補が年上と練習試合2連戦。市立船橋戦は堀川先制ミドルも逆転負け

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FW小田晄平(昌平高)らU-16日本代表候補が高校3年生中心の市立船橋高に挑戦

[7.7 練習試合 U-16日本代表候補 1-2 市立船橋高]

 28年ロサンゼルス五輪世代に当たるU-16日本代表候補は千葉合宿3日目の7日午後、市立船橋高(千葉)、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)と練習試合を行い、第1試合(45分×2本)の市立船橋戦は1-2で逆転負けした。

「今回は大きなテーマとしては色々な意味で『チェンジ』という、基準を変えたり、目標を変えたり、自分の習慣を変えたりするきっかけになる合宿に」とU-16日本代表・森山佳郎監督。計29名が招集(1名辞退、1名離脱)され、4日間の短期合宿で「チェンジ」することを目指した。

 この日、2チームを編成(鳥栖U-18GK小池朝陽のみ2試合出場)したU-16日本代表候補は、年上のU-17日本代表候補合宿で活躍したFW貴田遼河(名古屋U-18)や、ゲーム主将の右SB桒原陸人(G大阪ユース)らが第1試合に先発。対する市立船橋は、FW平良碧規主将を除くとプレミアリーグEAST・柏U-18戦(4日、1-1)と同じメンバーでU-16代表候補を迎え撃った。

 序盤押し込まれたU-16代表候補だったが、経験値高いCB林奏太朗(鳥栖U-18)や桒原が中心となってボールを奪い返し、11分にはMF堀川大夢(流通経済大柏高)のパスから強いゴール意欲を見せ続けていた貴田が右足シュート。その後も左SB木下太陽(山形ユース)が高い位置でサポートするU-16代表候補は厚みのある攻撃を続け、MF宮原勇太(興國高)らがサイド攻略にチャレンジする。

 14分には、パス交換からこの日前線で怖さのある動きを見せていたFW小田晄平(昌平高)がDFを剥がして右足を振り抜く。さらに18分には、投入直後の左SB廣畑俊汰(神戸U-18)が堀川の右クロスをファーサイドでコントロールし、決定的な左足シュート。切り替え速くボールを奪い返し、攻撃を繰り出す時間帯もあったが、前半半ば以降は市立船橋に主導権を握られる展開となった。

 U-16代表候補は守備時に前線、中盤の選手が上手く中間ポジションを取れず、またDFラインが背後を警戒するあまり、コンパクトさを欠いてしまう。その点を市立船橋に突かれ、縦パスを通される回数が増加。また、攻撃面でもミスが多く、CB針谷奎人やCB小笠原広将をはじめ、球際の強度高い市立船橋にボールを奪い返され、また攻められた。

 27分、コンビネーションから抜け出してきた1年生MF郡司璃来の右足シュートはGK小林将天(FC東京U-18)がストップしたものの、その後も1年生MF太田隼剛のスルーパスなどで簡単にDFラインの背後を取られてしまう。

 U-16代表候補はGK小林が2度3度と1対1をストップ。何とか0-0の状況を続けると、CB荒木健斗(札幌U-18)の縦パスを胸コントロールした貴田がターンでDFを振り切ったり、MF石渡ネルソン(C大阪U-18)のボール奪取やサイドチェンジ、また丁寧にショートパスを繋いでからの攻撃で押し返す。

 そして39分、敵陣左中間でMF皿良立輝(C大阪U-18)が粘って奪い返し、ボールを受けた堀川が右足一閃。豪快なミドル弾をゴールに突き刺して先制した。45分にも貴田との連係でMF篠田翼(昌平高)が右サイドを抜け出し、その折り返しを貴田が狙う。だが、このチャンスを逸するとアディショナルタイムにMF武藤寛の仕掛けのこぼれ球を郡司に右足で叩き込まれ、1-1で前半を終えた。

 森山監督は「(2試合通じて)もっと柔軟に距離感だったり、ボールが緩くなることを前提としたサポートの距離、角度を工夫したり、ボールスピードを上げたりしないといけないところだったんですけれども、なかなかボールスピードが上がらず、基本のところでミスが出てしまって、ボールを相手に渡してしまって守備する時間が増えてしまった」と分析する。

 前日のトレーニングまでは雨の影響でピッチが濡れ、パススピードが上がったが、この日は速度が下がり、ミスに繋がった。相手に走らされる展開になったことに加え、前日までの涼しい気候からこの日は気温が上昇。高校1年生中心で90分ゲームの経験が少ないU-16代表候補は、足を攣らせる選手が増えていた。

 後半、市立船橋はメンバーを総入れ替え。だが、U-16代表候補は、先発メンバー以上にエネルギーのある動きを見せる相手から勝ち越し点を奪うことができない。逆に21分、U-16代表候補は自陣で市立船橋MF荒木廉生にインターセプトされると、FW松井達誠のスルーパスからMF土岐泰斗にゴールを破られて1-2。29分には小田がインターセプトからそのまま持ち込むが、左足シュートを外してしまう。

 U-16代表候補は第1試合、第2試合ともに、体力的に厳しい時間帯で頑張りも見せる。市立船橋にゲームをコントロールされる中、凌いで相手ゴール前までボールを運び、貴田のシュートなどで反撃した。だが、相手を飲み込むまでには至らず、試合終了。第1試合は黒星となった。
 
 U-16代表候補は今回の合宿で10人近くを初招集。例年のように海外遠征で「チェンジ」するきっかけが得られない一方、多くの選手たちを招集し、国内合宿で「チェンジ」する機会を与えている。今回も中軸候補のメンバーとチャンスを得た選手たちが競争。特に、新たにチャンスを得た選手たちの意欲的な姿勢をコーチ陣は実感していた。

 海外経験の無さを年上との練習試合などで埋め、同世代で「やれている」選手は上の世代の代表チームへ個人昇格。森山監督は「プランを持って強化を進めていかないと、この経験の無さみたいなものが5年後、10年後に響いていかないように。本当に真剣になって強化を進めていかないといけない、と非常に重く受け止めてますね」。今回の試合でできないことを実感した選手たちは、成長のためにまず日常を「チェンジ」させる。

(取材・文 吉田太郎)

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