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ハンド新ルール、Jリーグでは出足順調? JFA扇谷氏「しっかり対応していただいている」

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湘南ベルマーレ柏レイソルでは難しいハンド判定が続いたが、いずれも適切なジャッジだった

 日本サッカー協会(JFA)は9日、今年度の第3回レフェリーブリーフィングをオンラインで開催した。審判委員会の扇谷健司Jリーグ審判デベロプメントシニアマネジャーが出席し、6月中旬からJリーグでも適用されている2021-22シーズン向けの新競技規則の現況を、報道陣に対して説明した。

 今回のルール改正において、最も大きな争点は「ハンド」の反則について。これまで明文化されていなかった「競技者の手や腕にボールが触れることのすべてが、反則にはならない」という原則が明確に示された上で、手や腕の位置とプレーとの関係性が重視されるようになり、より審判員の裁量に委ねられる範囲が拡大している。(詳しくはこちら)

 同じく新ルールが導入されているEURO2020(欧州選手権)ではやや選手たちが不満をあらわにするシーンが見られたものの、Jリーグでは新ルール特有の目立った混乱はなし。扇谷氏は3つの例を用いて、新ルール適用後の判定を振り返った。

①J2第19節 ザスパクサツ群馬vsFC町田ゼルビア
 後半26分、町田のMF平戸太貴が右からのFKをゴール前に送り込むと、こぼれ球が群馬DF高橋勇利也の腕に当たった。腕は身体から離れていたため、手や腕の位置を重んじる旧ルールではハンドの可能性がある場面。町田の一部選手もハンドをアピールしたが、藤田優主審はノーハンドの判定を下した。

 この場面について扇谷氏は「手や腕が不自然には大きくされておらず、また近くにいる味方競技者からのボールで予期できない状況でもある。このような状況でボールが手に当たってもノーファウル」と主審の判定を支持。「以前の競技規則では腕が広がっていたらハンドというケースも見られたが、こういったケースにおいて、サッカー競技の中での妥当性が求められる判定はノーファウルだと思う」と新規則に準拠したレフェリングだったと振り返った。

②J1第20節 湘南ベルマーレvs柏レイソル 後半3分
 後半アディショナルタイムにハンドにまつわる「非常に難しいジャッジ」(扇谷氏)が続き、大きくスコアの動いた一戦となったが、新旧ルールのいずれにおいても正しい判定であることが映像で確認できるため、今回のブリーフィングでは後半3分のシーンが例示された。柏MF瀬川祐輔のシュートをDFオリベイラが腕を使って防ぎ、柏にPKが与えられた場面だ。

 扇谷氏はこのシーンについて「左腕を不自然に大きくしてシュートをブロックした。ボールは至近距離から速いスピードで来たとはいえ、このような状況で競技者の手または腕にボールが触れることはハンドの反則になる」と指摘。新競技規則でもハンドにあたるという見解を示し、「主審の判断は正しいものだった」と原判定を支持した。

③J3第13節 カマタマーレ讃岐vsロアッソ熊本
 前半7分、熊本は敵陣右サイドで獲得したFKをMF杉山直宏が左足でゴール前に蹴り込むと、ファーサイドで熊本MF伊東俊と競り合おうとジャンプした讃岐MF岩本和希の手にボールが直撃し、熊本にPKが与えられた。

 岩本はジャンプの予備動作に入っており、手とプレーの関係性が争点となったが、他の競技者と接触したわけではないことから「自分からボールに向かって左腕を高く上げている」と判定。扇谷氏もこれを支持した。一方、互いの選手がぶつかって体勢を崩し、手や腕が誤って高く上がってしまっていた場合はハンドにならないケースもあるようだ。

 Jリーグでは今季、例年7月下旬あるいは8月上旬に行っているルール改正を、6月中旬に前倒して行い、新ルールで行われる東京五輪に備える対応を取った。そのため、選手だけでなく審判員も急ピッチでの対応を迫られたが、扇谷氏は「少し混乱が生じるかなと思ったが、しっかり対応していただいている」と前向きに振り返った。

(取材・文 竹内達也)
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