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昨年の静岡王者・藤枝明誠はMF谷澤恵人中心の攻撃で好機作るも……より厳しさを持って夏秋へ

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藤枝明誠高MF谷澤恵人はボランチの位置からのドリブル突破など存在感ある動きを見せた

[7.10 プリンスリーグ東海第10節 清水桜が丘高 2-0 藤枝明誠高 J-STEP東]

 昨年度全国高校選手権ベスト16の藤枝明誠高(静岡)は、内容と結果が伴わなかった。試合開始直後に「僕はドリブルが強みです」というボランチMF谷澤恵人(3年)のスペースを巧みに突いたドリブルから、MF達城椋(3年)が決定的な右足シュート。その後も前線へ縦パスを通し、そこからコンビネーションでの崩しでチャンスを作り出していた。

 だが、相手GKのファインセーブにあうなど活かすことができない。得点を奪えないまま迎えた前半45分にサイドをワンツーで崩されて失点。後半、左サイドにドリブラーのMF阿部陸門(3年)を投入し、ギアを上げたいところだったが、なかなか攻め切ることができなかった。

「全国制覇」「王国静岡復活」を掲げて戦う藤枝明誠だが、この日は1本へのこだわりや決めるべきところでのミスに対する厳しさなどが希薄だった。大黒柱のCB増田七翔主将(3年)やFW李度玭(3年)を欠く中での戦いだったことは確かだが、物足りなさも残る試合に。後半も昨年から先発のCB野口楓真(2年)を中心に守り、セカンドボールの回収含めて攻守に存在感のあった谷澤のチャンスメークなどから、10番MF渡辺翔太(3年)や期待のCB山本蒼太(2年)がチャンスを迎えていたが、決めることができない。

 そして、後半アディショナルタイムにカウンターから失点して0-2で敗戦。松本安司監督は「まだ明誠というチームは全国クラスのチームになっていない。自分たちでどれだけ厳しくやれるか。(現状は)それが欠けている」と指摘する。より一つ一つのプレーにこだわり、相手以上に走り、貪欲に、必死に白星を勝ち取りにいかなければ大目標を達成することはできない。

 個人個人が先輩たちを越える選手になることも大事。昨年の静岡MVP・MF賀茂大紀(現東京国際大)の後継者としてボランチを務める谷澤は、「賀茂さんは守備が強くて、選手権の準決勝、決勝でも点を取っている。ああいう選手にならないといけない」。怪我人が戻ってくれば、昨年以上のサイズ感があるチームとなるだけに、選手たちは自分たちから変わることができるか。

 谷澤は「夏厳しい練習が続くと思うんですけれども、自分たちに負けずに、自分たちから声を出して、(松本)監督から言われるからやるんじゃなくて、自分たちから成長していきたいと思っています」。選手権では先輩たちの全国16強を越えて、4強、その先へ。楽しく、攻撃的なサッカーを目指す一方、結果を残すために全国レベルの強豪校のような厳しさを持って夏秋を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)
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