beacon

ブラサカの“パーパス”とは? 競技支えるアクサ安渕CEOとJBFA松崎専務理事が対談「ブラサカに恋して」ノーカット版

このエントリーをはてなブックマークに追加

安渕CEO(左)と松崎専務理事が語るブラサカの“パーパス”とは

 躍進を続けるブラインドサッカー日本代表。世間の認知度が低いときからチームを支え続けたのが、アクサ生命と日本ブラインドサッカー協会(JBFA)だ。2006年からプレー環境の整備や認知向上と普及を支援してきたアクサ生命の安渕聖司代表取締役社長兼CEOと、JBFAの松崎英吾専務理事の対談が実現。ブラサカの“パーパス”、そしてブラサカが目指す“混ざり合う社会”について、意見を交換した。

 5月末から6月頭にかけて行われたブラインドサッカー国際大会「Santen IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 2021 in 品川(以下、Santen ブラサカグランプリ 2021)」で、ブラインドサッカー日本代表は国際大会初となる決勝進出を果たし、準優勝という戦績を残した。「ブラサカは面白い」「日本代表は強い」という印象を多くの人々に与えた。今後、ブラサカがさらに広がっていく可能性とは。7月17日にTOKYO MX「週末ハッピーライフ! お江戸に恋して」の企画「ブラサカに恋して」で放送された、安渕CEOと松崎専務理事の対談は、ブラサカの目的、未来についての内容となった。今回ゲキサカでは、放送で入りきらなかった部分も含め、特別ノーカットでお伝えする。


■ワールドグランプリを振り返って



松崎専務理事
「御社所属の川村(怜)キャプテンの活躍があって、ワールドグランプリはいい成績を残すことができました。強化はずっとやり続けていることなんですけど、コロナでそれが難しくなったときに、所属企業の皆さんの理解や、その他の応援いただいている企業の皆さまの応援もあって、早期に練習を再開することができたというのが、この大会の好成績につながったのではないかと思っています」

「フランスもそうですし、スペインもそうですし、日本より格上の国に少し調整不足が見えるなっていうところもあったので、難しい一年半をうまく過ごせたことがこの成果なのかなって思っています」

安渕CEO
「私が見ていて思ったのは、たとえばサイドフェンスのところの競り合いにすごく強くなったなと。体型や体格が違うにもかかわらず、非常にフィジカルが強くなったなという印象を受けました。あと連係ですよね。特にフランス戦の、川村選手のシュートにつながるところのパスの流れとかが、非常に美しくて感動します。何か練習方法や戦略とかを変えられたんですか」

松崎専務理事
「いまの高田敏志監督になってから5年目になります。少しずつ体のつくり方から、戦術の理解度合ということを、少しずつ仕上げてきました。結果が出ない期間もあったんですけど、今それが結果に結びつくようになってきたというのが、率直な感想です。新しいことをこの大会のために特別やったわけではなくて、着実に準備を進めてきた成果なのかなと思っています」

安渕CEO
「データも活用されていると川村選手がwebサイトで話していました。色んなデータのインプットをもらって動いているということも選手が言っていましたけど、それはどういう風にやっておられるんですか」

松崎専務理事
「試合中もスタッツが取れるように、彼らの背中に心拍数などが測れる小さなチップが入っているんです。ベンチの横の監督がiPadでリアルタイムに彼らの心拍数を把握できていて、どれくらい上がったらパフォーマンスが一気に落ちるから、その前に止めておこうとか、ほかのサッカーの取り組みやスポーツの取り組みの中でも、かなり先進的な取り組みをやっているんではないかなと」

安渕CEO
「すごいですね。心拍数と実際のパフォーマンスの差をきちんと測っておられるんですね。それは驚きです。まさにデータサッカーですね」

松崎専務理事
「そうですね。どの国よりもデータを活用していると思いますし、何日間にもわたる大会ですので、終わった試合をその日のうちにどう分析するかとか、どういうスタッツを取るかっていうことも含めて、こだわりを持って強化しています」

安渕CEO
「それらすべてを選手がインプットして、この動き方を変えようとか、そういうことが日々の試合につながってくると」

松崎専務理事
「監督は、選手たちが情報過多になると変に頭を使わせてしまうだけになってしまうので、何を入れて、何を入れないかということを大事にしているようです。教えない情報も実はたくさんあるという風には聞いています」

安渕CEO
「なるほど、それは監督の腕の見せどころなわけですね。ずいぶん進化していたのでびっくりしました」

松崎専務理事
「はい、科学的なサッカーになっています」

松崎専務理事
「私は国際組織側の運営管理者として、大会をちゃんと成功させるという立場で現場に入ってました。現場にはいたんですけど、代表としていたわけではなくて、むしろちゃんと進行であったり、コロナ対策であったりということが、執り行われているかという観点で入っておりました」

「品川区民の皆さんに応援されて育ってきた大会なので、今回寄せ書きも頂きました。ずっと応援していただいたのですが、感染対策から観戦者を入れられず。そうすると、区内の小学校や施設の皆さんが協力して、メッセージを書いてくださいました。応援メッセージを書いたからみんなで観ようという流れも含めて、ケーブルテレビさんにも生中継してもらって。やっぱり区民の皆さんへの感謝が大きいです。引き続き応援していただきたいですね」


■感染リスクも伴った大会運営



松崎専務理事
「ほかのスポーツも国際大会を再開しているんですけど、やはり大人数でたくさん検査があればあるほど、陽性者が出てしまうというところがあるんですね。ただ我々の場合、濃厚接触の定義にもよるんですけど、身体接触が伴うので感染リスクが高いスポーツだと思っているので、一蓮托生感がすごくあった大会でした」

「通常であるとみんなライバルなので、協力関係ってなかなかないんです。でも、一人でも陽性判定が出たら、大会の途中でも中止になってしまうんじゃないかっていうことを、数か月前からずっとお話をしていました。誰かが僕らはこれくらいいいだろうってなってしまうと、大会全体がキャンセルになってしまう。そういうリスクを共有できていたことが、うまくいった理由なのかなって思っています」

安渕CEO
「だから、今回は国際的にも注目された大会だったわけですよね。こういった環境下でも感染者を出さずに、最後まで決勝までしっかりやり切ったっていうことが、すごく評価されて、私はこれでブラインドサッカーの色んな意味での認知度や理解度が上がったんじゃないかと思っています」

松崎専務理事
「ありがとうございます。本当に、感染対策が想像以上に大変でした。決勝戦の当日の朝まで、ゲームができなくなる可能性があったので、進行をすればするほどキャンセルリスクが高くなるという、リスク評価としては、かなり高いリスクの中でやった大会だと思います」

松崎専務理事



■ブラサカを草創期から支えているアクサのパーパスとは



安渕CEO
「私たちがもともとブラインドサッカーを支援しようと思ったのは、ブラインドサッカーの“当たり前に混ざり合う社会”を作るという、この理念に非常に賛同したからなんです。アクサのパーパス、つまりアクサの存在意義というのは、『すべての人々のより良い未来のために。私たちはみなさんの大切なものを守ります』というもので、大切なものを守っていくというところが、ブラインドサッカーとすごくシンクロしてくるなと思っています。やはり、アクサのパーパスと非常にマッチしたことによって、さらに私たちが支援しているということに、大いに意味が出てきたんだなと思っているところです」

松崎専務理事
「ありがとうございます。“混ざり合う社会”というのは、実はアクサ生命さんと出会っていく中で、ブラッシュアップしていった言葉遣いなんです。ブラインドサッカーって聞くと、スポーツの団体、パラスポーツ競技になっていて、とにかく日本代表を強くしたいんだよねとよく言われます。その日本代表を強くするとは、何のためか。当事者である視覚障がい者の日本での環境って、どんな不便さや不利があるのかといったときに、それらに貢献していくスポーツでありたいと思ったんです」

「選手たちも、実際に話を深く聞いてみると、もちろん勝った負けたは大好きで楽しいんですけど、その過程で今まで少し距離のあった、スポーツが好きで障がいに興味がない若い人たちとつながれるとか、こうして企業の中でも応援される存在になるとか、そういう中で、まさに混ざっていくと。そういうことが、このスポーツに携わる喜びなんだよねっていうことを、非常に多く聞きました」

「もちろん、目標としては代表が世界一になることも掲げていますし、そのためにクラブチームの裾野がどんどん広がっていくこともその一つとして持っています。しかし、それが何のためかといったとき、やはり彼らがスポーツの場、そしてスポーツの場を越えても、日常で区別とか差別されることなく、当たり前に混ざっていくような状態というのが、私たちのビジョンであると言っています。まさに目的として、我々が目指していることなんだろうなって思っています」

安渕CEO
「私たち自身もかなり長期的にビジネスをやってきています。アクサは200年以上続いている会社なんですけど、これから100年、200年と将来もやっていく。そうすると、我々の存在意義で社会が良くなっていく。それがたとえば、インクルージョン&ダイバーシティ、まさに混ざり合う社会を作っていくことだったりしますし、競技そのものとその周りに広がっていくという効果が当然あると思うんですね」

「いま、スポ育っていうのをやってますよね。ブラインドサッカーとはコミュニケーション。どうやってコミュニケーションを取るのかということが、逆に晴眼者の人たちにも、子どもたちにもすごく参考になる。コミュニケーションを良くして、あるいは自分とちょっと違った人たちを、より良く理解することによって、子どもたちが本当に普通に接することができるようになる。これは私が川村選手から聞いて、なるほどなと、すごくいいことだと思いました」

松崎専務理事
「ありがとうございます。すごくブラサカを理解してくださっていて、本当にありがたいです。まさにおっしゃるとおりで“混ざり合う社会”と掲げていなければ、あの活動も普通にスポーツを知ってくださいという活動になっていたと思います」

「やはり、このスポーツを通じて、子どもたちにどうしてほしいのかというとき、彼らが将来育って社会に出たときに、マイノリティの人や少数派の人たちを見たときにも、そういう眼差しで見ないような種を植えるようなプログラムであるべきだよねと思っています。コミュニケーションなどのテーマを中心にしながら、視覚障がい者との出会い直しプログラムのように考えているんですけど、楽しく笑顔で出会って、身体を動かして、障がい者ってこんな人なんですよって教えるんじゃなくて、一緒に体を動かす中で学んでいく。それがまさに大事なのかなって思っています」

安渕CEO
「そうなんですよ。私は『人生100年の歩き方』というのを、会社のウェブサイトでやっていて、色んな人と対談をするんですけど、川村選手とも対談したんです。その中でスポ育の話も出て、最初に出会った子どもたちはやっぱりどうしても距離があると。ちょっと目が見えない人に言ってはいけないことがあるんじゃないかとか、しちゃいけないことがあるんじゃと思っているのが、あっという間に90分でガラッと変わって、距離がグッと近くなって、普通に接することができるようになるっていう。それは子どもたちの力でもありますし、それが広がっていくと、明らかに世の中が良くなるよねっていうことを、川村さん自身もすごく自覚してやっています。我々もそういったことが、アクサの大きなパーパスにすごく沿っているなと。私たちが多くを学べる取り組みで広がっていけばと思って、ずっと支援をしているわけです」

松崎専務理事
「ひとつ質問があったんですけど、ダイバーシティ&インクルージョンじゃなくて、インクルージョン&ダイバーシティと順番を入れ替えているじゃないですか。これはどうしてなんですか」

安渕CEO
「ダイバーシティは、必要条件だと思っています。たとえば多様性があることによって、新しいアイデアが生まれたり、イノベーションの部分であったり、多様性があることによって、色んな人が会社に来てくれる。働いてくれたり、多様性があることによって、お客さまをより良く理解できたりするんです。この多様性という、色んな人がいるということを生かすために不可欠な十分条件があるんですよね。これがインクルージョンです。違った意見を聞く力、違った意見を否定しないで、それ違うけど面白いねって言える土壌。それを私はフラットでオープンでと言っていて、上下関係をあまり気にせずに、しかも色んなアイデアに対してオープンにやっていこうと言ってます。そのためにより必要なのは、インクルージョンだろうと。ということで、インクルージョンを先に持ってくるということをやっています」

松崎専務理事
「それを聞いてすごく納得しました。私たちが伝えたいのがまさにそのメッセージで、多様な状態ってある種、転がっているわけですよね。ただ、目が向かなかったり、自分たちが育ってきた性質を、それが当たり前だと思いすぎてしまうところがあったりする中で、それをフラットにオープンにどう出会うかというところでいくと、スポーツという手段がすごく効果的なんじゃないかと。勉強で学ぶことももちろん大事なんですけど、そういう外発的な動機付けじゃなくて、スポーツを通じて身体で感じることで内発的に変わっていくこと。それが本当の意味でのインクルージョンにつながってくるんじゃないのかなって思っています」

安渕CEO
「ブラインドサッカーを見れば、目が見えなくてもこれだけのことができるんだって、すごく良くわかりますよね。自分たちが目をつぶってやろうとしてもできないわけですけど、ものすごい能力があるなっていうことはすごくわかります。それは障がいではなくて、違うすごい能力を持った人たちという風に、見方も変わってくると思うんです。すべての障がいというのはそういうところがあって、要するに、ある基準を引いてそこが足りないんじゃなくて、ひとつないことによって、ほかの4つがものすごくなっているっていうことなので、それぞれの人の突出した能力を持つ人たちっていうことだと思うんですね。それは実感として、スポーツで観るとものすごくよくわかります」

松崎専務理事
「まさにそのとおりだと思います」


■ブラサカが今後、新しい日常において果たす役割と、それを支える企業の思いとは



松崎専務理事
「やはりコロナは色んな意味で象徴的だったと思っています。世の中のデジタルシフトにスピードがついた時期でもありますし、ひとつの大きな変化によって、世界がこれだけ短期間で動いたっていうことは、歴史上そんなになかったと思うんですよね。そういう中で、私たちは視覚障がい者とともに働いているんですけど、私たちですらその変化と一緒に歯車を合わせて、視覚障がい者と歩んでいくことはすごく難しかったんです」

「弱視の人も含めて、お店に行って値札を見るのに、手に取って見なければいけなかった行為自体が、世の中からなんとなく嫌がられてしまう。それをサポートすることが、タイムリーにできなかったわけですよね。後からどうしてもそういうことになってしまう。でも、同時にスポーツの祭典などのような象徴的な社会運動があった中で、取り残して後から拾おうではなくて、一緒に変わっていこうというのが“うねり”だったと思うんです。それが難しくなってしまった。我々、混ざり合うとか掲げているのに、どうしたらいいんだろうっていうのが、実は2020年くらいに自問自答していたことだったんですね」

「でもそれで、ブラサカらしさを失わずに、笑顔で出会うとか、一緒に身体を動かしてオープンマインドで出会うというところが、やっぱり大事だと思いました。たとえばオンラインになっても、それを大事にしながら活動をやってきたんですね。なので、こういう状況になって、活動の意義が薄れてしまったんじゃないかなって感じた時期もあったんですけど、あえてそこに改めて向き合って、視覚障がい者にもっと直接的な支援もしていくべきだなと。スポーツを通じたネットワークを使って、視覚障がい者とともに、置いていかずに一緒に歩むということを、大事にしなきゃなっていうことを改めて学んだ一年でしたね」

安渕CEO
「誰も取り残さないっていうのがすごく大事だと思いますし、こうやって社会に問題が起こったときっていうのは、社会の、どうしても一番弱い部分にしわ寄せがいくという傾向があると思うんです。そこをいかに、しっかりと、みんなが一緒に歩いて行けるようにしていけるかという意味では、このブラインドサッカーというのは意味があると思います」

「私たち保険会社は、色んな意味でリスクの専門家で、強い領域のひとつがたとえば,健康と病気予防なんですね。弱視というのも、早めに発見すれば、対応が取れたりするわけです。したがって、ブラインドサッカーをきっかけに、視力というものとか、そういったものに目を向けてもらって、弱視を早期発見したり、予防したりするというのを、色々な形で貢献できると思っています。ブラインドサッカーにより、人が集まってくることによって、もちろん視力の弱い人が活躍できるということもあると思うんですけど、ちょっと皆さんも、自分の目、視力っていうのをちゃんとよく見てみましょうといったことも、大いに社会的な意義があると思います」

「だから、さっきの混ざり合うの続きですけど、私たちアクサ生命も、元々3つの会社が交わってできていますので、そこでやっぱり、インクルージョンっていうのはすごく大事なんですね。こういった時代には、もっとこれが必要だと思うんです。だから、障がいのある方、ない方という区分だけではなくて、世の中を見てみると、違いが出てしまっている部分が、コロナによってより鮮明になっている。そういった人たちが、本当にみんな一緒になれるって、どうしたらいいのって。それが将来、何十年後かに、そういう社会になっていたほうがいいよねという『I have a dream』の世界ですよね。そういったことも、やっぱりすごく企業としても思います」

松崎専務理事
「おっしゃる通りです。目の診断とか、目の健康ってあまり気にしていない世の中だなって思っていて、目は進行を抑制したり、悪くなることを遅らせたりすることは今だいぶ長けてきているわけですけど、戻すことはできないんですよね。だからやっぱり早期発見が大事。健康診断の中でどれだけ意識するかというのが大事なんですけど、でも今は視力だけ測って、眼圧が高いか低いかしか見られていなかったりする。なかなか目の健康に目が向かないんだろうなと思っています」

「そういう中でいくと、ブラインドサッカーやロービジョンフットサルの広がりが、世の中の目の健康の啓発にお役に立てるような使命というのは、これからまさに追っていきたいなと考えていた領域ですね」

安渕CEO
「もうひとつ、大きな発見がありました。川村選手と話していて、実はブラインドサッカーの選手っていうのは、空間を認識する能力を付けていくというのです。それによってサッカーができる。その空間認識のための練習をすると、脳の視覚野というところが実は刺激を受けていて、本来視覚がないのに視覚野が動くということですね。脳科学的にも意味があるということで、そうすると、目が見えない方もブラインドサッカー的なトレーニングを取り入れることによって、より日常生活が過ごしやすくなるということがあるようなんです。これはすごいことだと思います」

松崎専務理事
「すごい情報を知っていますね(笑)。まさかご存じだとは思わなかったんですけど、そのとおりで、視覚野の中でもかなり原始的な部分をブラインドサッカー選手は使っているということは、科学者の研究でわかってきているところなんです。それが運動能力を司っている感覚と同じなんですね。視覚野の原始的な部分を刺激することができると、ご高齢になったときの体のコーディネーションの能力の低下を抑制することができるんじゃないかともいわれています。意外とブラインドサッカーが持つ可能性はすごく幅広いなと」

安渕CEO
「そうですよね。新しいトレーニング方法が、実は誰でも使えて、運動能力が維持できたり、向上できたりすることの可能性も十分にあるんですよね。それはすごい可能性だなって思って、私も聞いて驚いたんです」

松崎専務理事
「サッカーはスポーツですし、ピッチの上で勝った負けたがあります。それが表面だとすると、裏面で本当に世の中の健康に貢献できるかもしれないし、目の健康に対して、我々が啓発できる、すごく大きな存在になれるかもしれない。まだまだすごく豊かな可能性を秘めているんだなということを、私は関わっている当事者ですけど、それでもなお、深く思わされる事実がどんどん発見されていくなという気がしますね」

安渕CEO
「したがって、ブラインドサッカーの選手が将来はたとえばコーチだったり、教育者だったり、研究者だったりと、色んな可能性が出てきます。彼ら独自で持っている、自分の身体感覚を使って、色んなことに貢献できるんじゃないかと思っています」

安渕代表取締役社長兼CEO



■ブラインドサッカーの未来について



松崎専務理事
「国内か海外かという軸は、先進国か途上国かに近い軸だと思っています。先進国の目に関する課題って、それこそ白内障とか緑内障とか、残されている医療領域が非常に限られてきているんですよね。白内障が失明の原因になることって、日本では5%未満って言われているんです。世界で見ると、白内障が実は4割が失明原因であったりとか、世界で6割から7割くらいの失明原因は、日本だと失明原因にならないものだったりするんですね」

「医療へのアクセスや目に関する眼科という領域が、病院の中にあるかないかでいくと、ガーナでは国に3か所しかないとかですね。そういう中でいくと、まだまだ目に関する医療が不十分な状態というのが、世界の中の事実なのかなという風に思っています」

「そういう中でいくと、先ほどまさにおっしゃっていただいた、視覚障がい者スポーツが広がることで早期発見できたりだとか、失明が避けられたりすることがあるのではないでしょうか。サッカーはグローバルスポーツで、どの国に行ってもサッカーって人気です。サッカー界とのつながりの中で、そういうことがより啓発できていくと、早期発見であったりとか、不要な失明や不要な視力の低下を防げることができたりというような、そんな貢献が私たちにできるんじゃないのかなと思っています。その上で、どうしても見えにくい状態になった人たちに対して、クオリティオブライフを維持、向上できる手段としてのブラインドサッカーといった存在意義もあたりまえに混ざるに加えて私たちの目指すところなのかなとも思います」

安渕CEO
「私も今回、大会を見ていて思ったんですけど、たとえばアルゼンチンやスペインの選手が、普通のサッカーと同じように、色んな国に行ってまたプレーをする。サッカーのチーム自体がグローバルになっていくっていうことも、ブラインドサッカーのチームの今後のひとつの可能性だと思います。この国際大会がもっと広がって、スポーツとしての広がりというのもできてきて、それがいわゆるサッカー、ブラインドサッカーというひとつの大きなサッカー界みたいになってくるというのも、すごく楽しみだなと思います」

「たぶんまだ、スポーツとしてしか見ていないところが多い。松崎さんがおっしゃったような、医療とか予防ということにも、大きな意味があるし、いわゆるソーシャルインクルージョンという社会を変えることにもすごく役に立つということを、我々としても広げていければっていう風に思っています」

松崎専務理事
「ありがたいですね。まさに、アクサさんはグローバル本社がフランスですし、フランス語圏のセネガルで最初に空港を出て、見た看板がアクサだったんですよ。やっぱりすごい会社なんだなっていうことを、世界で見ていても思います。そういう会社さんと、協賛してくださいっていうお金の部分ではなくて、こういうムーブメントとして、味方を増やしていきながら、どう広げていくかがすごく大事だと思っています。私たち日本もそうですけど、海外での取り組みとかに対しても、ぜひご一緒できることがあれば、やらせていただきたいなと思っております」

安渕CEO
「そうですね。今回の大会の出場国のアルゼンチンやタイ、ドイツでも事業を行っていますし、もちろんフランスはパリに本部があります。そういった意味では今大会で来ていたような国は、私たちも多くの仲間が仕事をしているところですし、ブラインドサッカーというものを紹介したりもできます。話を戻すと、やっぱり我々のパーパスにすごく沿っていること。これを実現していくということは、我々のパーパスのとおりに仕事をして、普及活動を通じて、社会にも貢献できるということになります。お話をしているだけで広がっていくような気がするんですよね」

松崎専務理事
「ちなみに先日のワールドグランプリは、次の開催国がフランスを予定しています。日本発の大会なんですけど、引っ越して行くということも初めてやってみようと思っています」

安渕CEO
「グランプリを海外に輸出するわけですね。それは楽しみですね」

松崎専務理事
「ぜひボランティアで、御社の社員の皆さんにも携わってもらえるような機会を設けられればいいなと思っております」

安渕CEO
「私もなんとか出張を作りたいと思います(笑)」


■サポーターができること、考えること



松崎専務理事
「大会があるからとか、障がい者も一緒に生きていく世の中だからとかではなくて、こういう外からの理由付けではなくて、やっぱり好きな人と一緒に見て、フラットに楽しむこと、それが心のバリアを溶かしていくことにはすごく大事だと思うんですね。なので、フラットにオープンに見てほしいですね。見たものは、私たちが自信を持っている、素晴らしいプレゼンテーション。それを見ていただければ、次の変化につながっていくだろうなと思っているので、難しいことを考えずにフラットに見てほしいなっていう風に思いますね」

安渕CEO
「見ているほうとしては、良かったり、感動したり、すごいなって思ったことを、ただ友達に伝える。それでまた輪が広がる。それがSNSの力でもあるので、そういったことが広がっていくだけで嬉しいなって感じですよね。個人の中から出てくる体験なので、それをしっかり伝えていくというのはすごく大事だと思います。それがサポートの輪で広がっていくし、今回おそらく、かなり広がったんだと思います」

松崎専務理事
「ちょっと余談なんですけど、大会をやるときって国際視覚障害者スポーツ連盟の公式チャンネルで中継することが普通です。もちろんそこでもやっていたんですけど“混ざり合う社会”と考えた目的に照らしてみると、誰とどう楽しんで見るかって結構大事だなって思いました。そのチャンネルでやっている生中継を、そのままミラーするということが、いまのテクノロジーでは可能で、それで個人のチャンネルで流してもらったんです。そうすると、個人のチャンネルのファンの皆さんが、一緒に、ファンである対象のインフルエンサーの人と一緒に盛り上がっていくっていう形になって。タイムラインを見ると、公式のタイムラインの盛り上がりとは全然違った盛り上がり方をするんですね。その盛り上がりこそが、心の枷を溶かしていくというか、余計な知識を与えずに、楽しみながら感じてもらえる場になったんだなっていうのは強く感じた大会でした」

安渕CEO
「いまYoutuberってものすごく影響力ありますからね。そういった人のチャンネルにすごく人が集まっているので、見てるんだ、こんなのあるんだ、ということで、うわーってまた広がっていきます。そうすると、また純粋な感動ですよね」

松崎専務理事
「平日午後1時の試合で、Youtuberのコハロンさんのチャンネルで、最大視聴者数が同時に4,000人くらい。終わってみると2万5,000人くらいで、普通出ないですよね。コハロンさんも叫びながらやっていて、その空間自体が楽しくて、気づいたらブラインドサッカーだったよねっていう状態じゃないですか。あれが私たちとして目指すべき在り方なんだろうなっていう気はしましたね」

「ちなみにそこのタイムラインの人気は、アルゼンチンのマキシ選手でした。日本に立ちはだかった選手で『マキシすげえ』と言われていました。日本を越えた選手のすごさとかも伝わるんだなっていう感じで、私たちにも学びが多い大会でした」

安渕CEO
「あとは、世界レベルすごいとか、決勝進出すごいとか。決勝で日本が見られるのがすごいという感動が、今回すごくあったと思いますね」



▶アクサ生命ブラインドサッカー特集ページはこちら
https://www.axa.co.jp/cr/activity_3

#安渕の未来ダイアログ第7回 川村怜さんと人生100年時代
https://www.axa.co.jp/100-year-life/tags/dialogue_with_yasubuchi/

Supported by アクサ生命

TOP