beacon

『(T)尖った(D)大胆さ、(K)くれよ』。TDKとブラウブリッツ秋田が欲する『尖った大胆さ』

このエントリーをはてなブックマークに追加

 「ひたむき、熱中さは、日頃からの想いでなければ、ピッチで表現できない。ボールへの想いが出るピッチコンディションですけれども、秋田の選手はこれからも、『尖った大胆さ』で勝負できる選手たちだと思います」。土砂降りの雨に見舞われた90分間を終え、オンライン会見に現れた吉田謙監督は、そう言って胸を張った。2021年にTDK株式会社が打ち出した企業ブランドキャンペーンのキャッチフレーズ、『(T)尖った(D)大胆さ、(K)くれよ』。まさに、ブラウブリッツ秋田はJ2というステージで、TDKはこの閉塞感が漂っている日本社会で、『尖った大胆さ』で勝負し続けていく。

 7月11日。明治安田生命J2リーグ第22節。ジェフユナイテッド千葉とのホームゲーム。ピッチへと歩みを進めていくブラウブリッツの選手たちの胸には、『TDK~尖った大胆さ、くれよ』の文字が浮かぶ。クラブ初の夏限定ユニフォームとして、この日からホームの3試合で着用されるTDKとのコラボレーションユニフォームが、お披露目となった。

 様々なカラーの“尖った“図形を組み合わせ、一人ひとりの個性の重なりでうまれる未来の楽しさや鮮やかさや、『尖った大胆さ』を表現するグラフィックがあしらわれたユニフォームは、斬新の一言。スタンドでもこの限定ユニフォームを着用し、ピッチの選手たちに手拍子で声援を送るサポーターの姿が見られた。


 今回掲げられたキャッチフレーズ、『尖った大胆さ、くれよ』には、TDKが歩んできた歴史や、現在の事業内容も含めた会社としての理念、取り組みの意義がこめられている。

 そもそもTDKは、大学発のベンチャー企業であることをご存じだろうか。創業のきっかけとなったのは、カセットテープやコイルにも使用されている“フェライト”を発明した東京工業大学の加藤与五郎博士と武井武博士。彼らが発表した論文は世界中に驚きを与え、その加藤と面会した秋田県由利郡出身の実業家・齋藤憲三が、“フェライト”の工業化を目指して設立したのが、東京電気化学工業株式会社(Tokyo Denki Kagaku Kōgyō)。のちに、この頭文字をとってTDKへと社名変更した。

 最も代表的な例が、世界初の音楽用カセットテープだ。カセットテープは発売当時、音質が低く、会議の録音用としての用途が主だった。このカセットテープに音楽を詰め込んで、「音楽を外に持ち出す」という尖った考え方をTDKは具現化した。また、その販売戦略も尖っている。日本からマーケットを広げるのではなく、音楽の中心地であるアメリカを起点として世界にマーケットを広げた。その後も尖った大胆な創造から最先端の技術を生み出し続け、今や世界30以上の国と地域に、140の拠点を持つ日本発のグローバル企業として、DXとEXを通して社会に貢献し続けている。

 この尖ったDNAは現在の従業員にも引き継がれている。たとえば品質保証本部には、気象予報士試験に合格した強者が。技術知財本部には、『世界初の充放電可能な表面実装型のオールセラミックス全固体電池』の研究開発や事業化などで、米国セラミックス協会から賞を受賞した研究者も。また戦略本部には、かつて自身が実況者として携わっていたサッカーを媒介に、ブラウブリッツ秋田のPR事業に勤しむ者も。既成概念に囚われず、自分の強みを生かすことで、それを結果的に企業の利益に還元できる人材が揃っている。

 それを束ねるのが、石黒成直・代表取締役社長だ。TDKのホームページ上でも、若手社員の質問に対して、気さくに答える動画が掲載されているが、先日その人柄を垣間見る機会があった。前述の7月11日。ソユースタジアムの上空からは、前半途中から信じられないほどの大雨が降り注ぐ。そのハーフタイム。もともとこのタイミングで決まっていた挨拶のために、石黒社長がメインスタンド側に設置されたマイクの前に姿を現す。


 大雨の中、石黒社長は1人で傘を差して登場した。一見当たり前のことのように思えるかもしれないが、企業の社長クラスの方が雨の中で挨拶をする際に、周囲が傘を差す光景を目にすることは決して少なくない。だが、石黒社長は1人で現れ、軽妙な語り口で場内の拍手を誘い、颯爽と去っていった。このリーダーにして、このキャッチフレーズあり。もちろん石黒社長が着用していた限定ユニフォームの胸には、『尖った大胆さ、くれよ』の文字が躍っていた。

 試合前。スタジアムの外では、『尖った大胆さ、くれよ』のオリジナルグッズ販売も行われていた。コラボレーションタオルは、ブラウブリッツの武器の1つであるロングスローにちなみ、『スローインタオル』と一回り小さなサイズの『フェイスタオル』の2種類を販売。募金した人の中には、中には1円玉を握りしめた子どもの姿もあった。15日にはTDKの社員2人とブラウブリッツの井上直輝と安田祐生が、タオルの売上金全額284,866円を秋田県内の子ども食堂へ寄付した。


 また、人気のスタジアムグルメ店『チキチキチキンキッチン』とは、からあげでコラボ。キャンペーンカラーをあしらった『尖ったからあげ、くれよ』というのぼりも立てながら、串に刺さった3つのからあげの先に、ピンクグレープフルーツを加えるという『尖ったからあげ』を販売。芝生では制服を着た女子高生たちが、『尖ったからあげ』を美味しそうに頬張る姿も印象的だった。

 場内のビジョンでは2つの映像が流れた。1つはブラウブリッツを応援し続け、先日惜しまれながらこの世を去ったおばあちゃん・笈川カヨさんのストーリー動画。カヨさんと息子さんが大好きだったブラウブリッツの中村亮太、前山恭平クラブコミュニケーターも登場し、彼女の思い出を偲ぶというもの。5分近い力作に、アウェイの千葉サポーターも思わず見入っていた。この動画はTDKの公式Twitterでも見ることができる。

 もう1つは、ブラウブリッツの選手たちが登場する、この千葉戦に向けたスペシャルムービー。5人の選手のプレーシーンが収められており、映像のクオリティもハイレベル。GKの田中雄大は、「そんな大々的なものだとは僕たちもわかっていなくて、撮影が始まったらカメラもたくさんあって、ドローンもあって、関係者の人も多くて、『あれ、これって大事なヤツじゃない?』って(笑)。でも、『カッコ良かったな』と思いますね」と笑いながら撮影時を振り返った。

 試合はプールのようなピッチコンディションの中で、通常のようなサッカーは望めない展開に。とりわけ後半は、お互いに前方へボールを蹴り出す、ある意味でよりサッカーの本質が問われるような状況となる。後半3分にはFKから齋藤恵太のヘディングでブラウブリッツが先制したものの、その2分後に追い付かれると、そこからスコアは動かず。1-1のドローとなったが、双方の意地がぶつかり合う一戦は、見応えのある90分間でもあった。

 今シーズンのブラウブリッツは、J2の舞台で持てる力を最大限に発揮しながら、中位以上の順位をキープしている。第22節終了時では、いわゆるトップハーフと呼ばれる順位表の1枚目、22チーム中11位というのがその立ち位置。初挑戦となるカテゴリーだけに苦戦を予想する向きもあったが、良い意味でそれを覆す戦いを続けてきた。

 中でも最も『尖った』個性を輝かせているのは、吉田監督ではないだろうか。インタビュー時の独特の雰囲気とワードセンスには、見るものを魅了する何かが滲み出ている。いわゆる熱血漢タイプではあるものの、試合を見ていればわかるようなロジカルさも持ち合わせており、そのキャラクターはJ2の他のクラブのサポーターにも確実に認識され始めている。

 新型コロナウイルスの感染が拡大して、早1年半が経とうとしている。なかなか収束の見えない状況に、日本経済も疲弊感が色濃くなってきていることは間違いない。だが、こういう時期だからこそ、前に進んでいくには『尖った大胆さ』が必要不可欠だ。『(T)尖った(D)大胆さ(K)、くれよ』。TDKとブラウブリッツは、希望にあふれる明日を切り拓くために、このキャッチフレーズを自らにも、周囲にも、ひたむきに問い掛けていく。



Sponsored by TDK

TOP