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勝ち取れるか正式契約…ビジャ主催トライアウト合格者2人がスペイン4部に練習参加! 上智大DF関、C大阪U-18代表候補DF西村

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上智大サッカー部のDF関大陽(写真左)と、セレッソ大阪U-18のDF西村昴(右)

 元スペイン代表FWのダビド・ビジャ氏が率いる『DV7グループ』は6月、トライアウトプロジェクト「Road to Spain 2021」を開催し、2人の合格者がスペイン挑戦の権利を手にした。すでに4部リーグ所属のUDアルシラにテスト生として練習参加しており、正式契約を狙う。

 合格したのは上智大サッカー部のDF関大陽(3年=湘南U-18)と、セレッソ大阪U-18のDF西村昴(3年)。2日間にわたって行われた試合形式のセレクションでアピールに成功した。『ゲキサカ』ではスペイン渡航前の両選手にインタビューを行った。

●関大陽(21)
(せき・たいよう)
■生年月日
2000-04-19
■身長体重
182cm/80kg
■経歴
FC下田-MareFC伊豆-湘南ベルマーレU-18(平塚学園高)-上智大

 上智大のセンターバックとサイドバックを担う21歳は、理工学部情報理工学科に在籍する理系プレーヤー。プログラミングや人工知能などを学んでいる。卒業後の進路を考えるにあたって「就職するのか、大学院に進学するのかも含めてフラットに考え始めると、サッカー選手になりたい思いが強かった」といい、「もう一度サッカーで勝負をかけたい」と受験した。

 地元静岡県のFC下田、MareFC伊豆でプレーした後、高校年代では湘南ベルマーレU-18に所属。「トキさん(時崎悠監督/現・福島トップチーム監督)に厳しく指導してもらい、自分に向き合ってもらったことがいまでも生きている」。トップチーム昇格を果たしたFW和田響稀(JFL青森)、GK真田幸太(関西1部おこしやす京都に期限付き移籍中)の1学年後輩で、MF柴田壮介(湘南)の1学年、MF田中聡(同)の2学年先輩。「高校時代の同期とか先輩、後輩からも刺激を受けることが多く、彼らにも負けたくないと思った。それも自分がサッカーで生きていきたいと思った原動力になった」と語る。

 クラブユースの練習をこなしながら入学を掴んだ上智大では1年時、東京都1部リーグで1勝もできず、最下位で2部に降格。昨季も1部昇格を逃した。「やり切れない気持ちがある。もっと上のレベルで戦って、もっといい選手と対戦してみたいというサッカーへの思いがどんどん強くなった。将来を考えていてもサッカーでの向上心が出てきたので、その気持ちがあるうちは頑張ってみよう」とチャレンジすることを決意した。

 セレクションでは「普段は対戦できないレベルの選手が多く、より高いレベルでプレーできて楽しかった」一方、「周りの選手が受かるかもな」という感触だったという。それでも「守備面においての1対1の対人、危機察知能力、カバーリング、守備範囲の広さ」といったプレー面に加えて、「リーダーシップやコミュニケーション、さまざまなポジションもできる」ところが高評価。練習参加の権利を勝ち取った。

 スペイン挑戦は「自分にとって大きなターニングポイント」。夢の舞台に向けて「自分がプロになるためにこのチャンスを活かすしかないし、なんとか契約を勝ち取りたい思いは強い。レベルは相当高いけどいずれ3部、2部とステップアップしていくためにすごく大事な1か月になる。サポートしていただいている中でのチャレンジなので、全てをかけて頑張りたい」と意気込みを語った。

●西村昴(18)
(にしむら・すばる)
■生年月日
2003-06-13
■身長体重
177cm/79kg
■経歴
FCエストレージャ-C大阪U-15-C大阪U-18

 昨年12月にはU-17日本代表候補にも選ばれた18歳にとって、シーズン途中の異例の挑戦となる。「セレッソが現状プレミアリーグで勝てていないという中で行くというのは葛藤もあったし、なんとかして勝ってから行きたかったけど、自分の人生は一度しかない」。そのトライを全国大会を控えるチームもサポート。指導者、選手からは「頑張ってこい。向こうで契約を勝ち取って帰ってくるなよ」と励ましの声を受けたという。

 海外挑戦への気持ちが芽生えたのは昨年のコロナ禍から。「これまで海外の試合をあまり見てこなかったけど、時間があったのでたくさん見るようになった。自分と同世代の選手がEUROにも出ていたし、いま海外に行かないと遅い。自分はいま18歳だけどそれでも遅いと感じているくらい」。卒業後は大学進学の選択肢も考えていたが、「大学からプロと普通の道を通るのは好きじゃない」と決意を固めた。

 昨季はセレッソ大阪U-23でJ3リーグ18試合にするなど、トップチーム世代との対戦経験は豊富。センターバックとしては小柄だが、「対人の強さ、守備範囲の広さを売りにしていて、そこには自信を持っている」というアジリティタイプで、リーダーシップも含めて挑戦先のスペインで名を馳せたDFカルレス・プジョルのような選手を目指しているという。

 C大阪からは近年、DF瀬古歩夢、DF西尾隆矢といった優れたセンターバックが年々輩出されており、西村も道こそ違えど後に続く構えだ。「偉大な選手がいるので、追いつき追い越せで頑張っていって、日本を代表する選手になりたい。まだスペインに行くことは決まったけど、プレーができる保証があるわけではないので、積極的にチャレンジして契約を勝ち取れるようにしたい」と意気込む。

 その先にはコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)でのジャイアントキリングや、さらなる夢舞台も見据えている。「まずは契約を勝ち取り、コパ・デル・レイに出て、1部の強豪クラブに勝ってスカウトに評価してもらいたい。長い目標ではCLで優勝すること、そして日本代表を初めてW杯優勝に導きたい」と野望を語った。

 両選手は8月中旬までテスト生として練習に参加。正式契約を勝ち取るべく、異国の地でサバイバルレースを繰り広げる。

(取材・文 竹内達也)

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