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「勇気を持って立候補してくれた」…森保監督も賛辞、名乗りを挙げたPKキッカーたち

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PK戦に臨んだU-24日本代表の選手たち

[7.31 東京五輪準々決勝 U-24日本 0-0(PK4-2) U-24ニュージーランド カシマ]

 0-0のまま迎えたPK戦。勝てば準決勝へ、負ければ大会から姿を消すことになる。プレッシャーの懸かる状況であることは間違いなかった。森保一監督は「選手の思いを大切にした」とキッカーを、選手たちの挙手で決めた。

 守備に重心を置いたニュージーランドに苦しめられた。なかなか好機を創出できず、逆に危機を招く場面も幾度となく訪れた。しかし、両守護神の好セーブもあり、得点は生まれることなく0-0のまま延長戦を含めた120分間を終える。

 勝敗の行方を委ねることとなったPK戦。PKの順番について、「いろいろな決め方がある」と語った指揮官が選択したのは、選手による挙手制だった。

「私やスタッフで順番を決めることも少し考えていた。でも、選手たちの疲労度や、PKキッカーとしての思いもあると思った。挙手で自信を持って蹴れる選手、自分が決めてやるという思いを持ってキッカーとして立候補してくれる選手たちの思いを大切にした」

 1番手として登場したのはFW上田綺世(鹿島)。森保監督は思い返す。東京五輪世代の初陣となった17年12月のM-150杯。決勝戦となったウズベキスタン戦は2-2のままPK戦にもつれ込む。5人目のキッカーを務めた上田のシュートがゴールバーに当たり、PK戦を3-4で落としていた。

「綺世はチームの立ち上がりのタイで行われた大会でPKを蹴って外した。そういうのを振り返っても、このチームで俺が決めてやるという思いを持って先陣を切ってくれたのは素晴らしかった」。ウズベキスタン戦では外したPK。ニュージーランド戦ではきっちり沈め、チームに勢いをもたらした。

 2番手はDF板倉滉(マンチェスター・シティ)、3番手はDF中山雄太(ズウォレ)と97年早生まれ組。東京五輪世代の年長組で、チームの先頭に立って長年けん引してきた2人も、しっかりとネットを揺らした。「五輪チームを自分たちが支えてきて、今につながっているというところ。そして、あと2試合につなげていくところで、より強い思いを持って、彼らが決めてくれて準決勝に進めたのは、これまでの選手たちの活動を振り返っても嬉しいこと」。

 そして、4人目として登場したのがDF吉田麻也(サンプドリア)だった。「最後にオーバーエイジとしてチームに加わってくれ、チームをまとめてくれた麻也が最後に決めてくれると。皆でつなげてPK戦に勝ち、次に進めたと思っている」と、最後のキッカーを務めたキャプテンへの思いを語った。

 5人目には同じくオーバーエイジのMF遠藤航(シュツットガルト)が控えていた。「5人だけではなく、もっとたくさんいたと思うが、選手たちは勇気を持ってキッカーとして立候補してくれた。その勇気やこの試合を自分が決めて勝ち切るという思いが、PK戦の勝利につながったと思う」。指揮官は、強い思いを持った選手たちへの賛辞を惜しまなかった。

(取材・文 折戸岳彦)
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